- 学名…Aesculus x carnea J.Zeyh.
- 和名…ベニバナトチノキ(紅花栃の木)
- 科名…ムクロジ科
- 属名…トチノキ属
- 原産国…園芸品種
- 花色…ピンク、赤
- 樹高…9m~12m
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 8
ベニバナトチノキとは
ベニバナトチノキは、ムクロジ科トチノキ属の落葉高木です。
同トチノキ属のマロニエ(セイヨウトチノキ:Aesculus hippocastanum)とアカバナアメリカトチノキ(Aesculus pavia)との交雑による園芸品種です。
マロニエはヨーロッパ南東部およびトルコ原産の高木、アカバナアメリカトチノキは北アメリカ南東部原産の低木~高木です。
両種から作出されたベニバナトチノキは、美しい花と葉、整った樹形を持っています。
落葉樹のため落ち葉の問題はありますが、公園樹や街路樹として日本の他、アメリカやヨーロッパでもよく植栽されます。
大きく成長するので庭木として利用されることはあまり多くありません。
ベニバナトチノキの花期は5月。
花期になると、枝先に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ15~20㎝の円錐形で、上向きに付きます。
▼ベニバナトチノキの花序
花はピンク色~赤色の4弁花です。
花には両性花と雄花があります。
▼ベニバナトチノキの花
両性花は花序の下部を中心に付き、雄しべ7個、雌しべ1個。
雌しべは花冠から長く突出します。
雄花は雄しべ7個、雌しべは退化しています。
▼ベニバナトチノキの両性花
果実は直径約3.8㎝の球形の蒴果(さくか)。
殻にわずかに棘があります。
※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。
中には2~3個の種子が入っています。
種子には毒性があります。
▼ベニバナトチノキの果実
葉は掌状複葉(しょうじょうふくよう)です。
※掌状複葉(しょうじょうふくよう)…葉柄の先に数枚の小葉が放射状に付く葉の形。
▼ベニバナトチノキの葉の様子
小葉は5~7個、長さ15~25㎝の卵状長楕円形です。
縁には粗い重鋸歯(じゅうきょし)があります。
※重鋸歯(じゅうきょし)…葉の縁の形で、大きな鋸歯の縁にさらに鋸歯があるもの。
▼ベニバナトチノキの葉の重鋸歯
樹高9~12mに成長します。
樹形は楕円形~丸。
▼成長したベニバナトチノキ
園芸品種も幾つかあり、赤い花を咲かせるブリオッティ(‘Briotii’)などが有名です。
※ブリオッティの樹高はやや低く成木で7~10m程度、樹齢8~10年になると赤い花が咲くようになります。
耐寒性が高く丈夫な性質で、樹形も自然と整います。
病気の発生はほとんどありませんが、葉を食害する害虫が発生することがあります。
広いスペースがあれば、育てやすい花木です。
関連図鑑
ベニバナトチノキと同じトチノキ属では、本種の他、マロニエ(セイヨウトチノキ)がよく栽培されます。
ベニバナトチノキの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い、肥沃な土壌を好みます。
半日蔭でも育ちますが、花付きは悪くなります。
乾燥しすぎる場所だと、葉焼けを起こすことがあります。
また、葉が大きいため強い風で傷むことがあるので注意してください。
大きく育つので、それなりのスペースが必要です。
※直根性のため、一度根付いた後の移植は困難です。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
水やり
根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に乾燥が続くようなら、水やりをして下さい。
肥料
冬の2~3月、秋の9月頃に有機肥料を株の周りに施します。
植え付け
適期は厳冬期を避けた落葉期の12月、2月~3月です。
根鉢の2~3倍の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い土を作ります。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて土を馴染ませて下さい。
苗木が倒れないように支柱を立てます。
剪定
自然樹形の美しい木で、放っておいても樹形が整います。
剪定は必ずしも必要な作業ではありません。
枝が混みすぎている場合は、落葉期に、不要な枝(内側に向かって伸びる枝など)などを取り除きます。
増やし方
結実は珍しく、また結実しても通常不稔性です。
繁殖はトチノキを台木に接ぎ木をすることになります。
病気・害虫
病気の発生はほとんどありませんが、まれに蛾の幼虫による葉の食害が起こります。
見つけ次第対処して下さい。