低木 庭木

カシワバアジサイ

  • 学名…Hydrangea quercifolia W.Bartram
  • 和名…カシワバアジサイ(柏葉紫陽花)
  • 科名…アジサイ科
  • 属名…アジサイ属
  • 原産国…北アメリカ東南部
  • 花色…白
  • 樹高…1m~2.5m
  • 日照…半日蔭~日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 9

カシワバアジサイとは

カシワバアジサイ

カシワバアジサイは、北アメリカに分布するアジサイ科アジサイ属の落葉低木です。
分布域は、アメリカ南東部のテネシー州、ミシシッピ州からノースカロライナ州、フロリダ州にあり、落葉樹林や渓谷、河川流域の崖などに自生しています。

美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されているアジサイで、園芸品種も多数作出されています。


カシワバアジサイの花期は5月中旬~7月。
花期になると、枝先に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ9~32㎝、幅8~14㎝の円錐形です。

▼カシワバアジサイの花序

カシワバアジサイの花序

花のように見えるのはガクが大きく発達した「装飾花」と呼ばれる部分で、雄しべと雌しべが退化しています。
原種の装飾花は一重ですが、日本では八重の品種が多く植栽されています。

▼カシワバアジサイの装飾花(八重)

カシワバアジサイの装飾花

本来の花は装飾花の内側にある小さな両性花ですが、園芸品種には装飾花だけのものも多くあります。

▼カシワバアジサイの両性花

カシワバアジサイの両性花

装飾花は咲き始めは淡い緑色、咲き進むに従い、白から淡いピンク色へと変化します。

▼ピンクに色付いたカシワバアジサイ

ピンクに色付いたカシワバアジサイ

葉は対生し、長さ7~30㎝の掌状で、3~7裂しています。
この葉の形が、カシワの葉に似ていることから「カシワバアジサイ」の和名が付いています。

葉は秋になると赤く染まり、美しく紅葉します。

▼カシワバアジサイの葉の様子

カシワバアジサイの葉の様子
カシワバアジサイの紅葉

枝は分枝して樹高1~2.5mに成長します。

▼大きく成長したカシワバアジサイ

たくさんの花を咲かせるカシワバアジサイ

カシワバアジサイの美しい装飾花は世界中で愛され、イングリッシュガーデンでは定番の花木となっています。
装飾化は散ることなく長く残り、秋の紅葉も含めて、観賞期間の長い樹木です。

耐寒性、耐暑性共に優れており、他のアジサイと同じように育てることが出来ます。
北海道でも路地での冬越しが可能です。

アジサイの仲間

アジサイ属は、東アジアを中心に約73種が分布する低木です。
※一部は東南アジア、新世界にも分布しています。

美しい花を咲かせることから品種改良も盛んに行われており、園芸品種の数は2000種を上回るとされています。

カシワバアジサイの育て方

カシワバアジサイの育て方

栽培環境

水はけの良い半日蔭から日なたの場所が適しています。
日照時間が足りないと花付きが悪くなります。
逆に一日中強い日差しが当たる場所だと、夏場に葉焼けを起こしてしまいます。
明るい半日蔭くらいの場所が最適です。

夏越し、冬越し

耐寒性、耐暑性共にに優れているので、対策無しで夏越し、冬越しがに可能です。
鉢植えの場合は、夏場に葉焼けを起こすようなら半日蔭の場所に移動して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に長く乾燥が続くようなら、朝か夕方に水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
水切れを起こすと葉が枯れ込んでしまうので、注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料や堆肥、完熟牛糞などを混ぜ込みます。
追肥は寒肥として1月~2月に緩効性化成肥料や固形の油粕を施します。
花後にはお礼肥として、同様の肥料を株元に置き肥して下さい。

鉢植えの場合も同様です。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は3月~4月、10月~11月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料や堆肥、完熟牛糞などを混ぜ込みます。
根鉢の表面を軽く崩して植え付けて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりを起こすので2年に一度、植え替えを行って下さい。
根鉢の表面を軽く崩して、一回り大きな鉢に植え替えます。

庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。

剪定

カシワバアジサイは放任で育てると1本立ちになりやすい性質の花木です。
それを防ぐために若木の内に一度大胆に剪定する方法が一般的です。

若木の強剪定

適期は落葉期の11月~3月頃です。

地際から20㎝程度の高さで芽を残してバッサリと切り詰めます。
コンパクトに仕立て直したい時も同様に地際の芽を残して剪定します。
この剪定を行うと翌年の花は付きませんが、切り詰めた部分から複数の枝が出て、こんもりとした美しい樹形に仕立てることができます。

樹形を整えるための剪定

カシワバアジサイの花芽は前年の夏に作られます。
このため、樹形を整えるための剪定は花後すぐに行います。
花がついている枝を切ってしまうのは気が引けますが、翌年の花のために、なるべく早い時期に行って下さい。
細い枝や形の悪い枝を取り除いて、あまり大胆に切らずに、全体を丸くなるように仕立てます。

大きく育って多数の枝に花が付いているようなら、花を残す枝と切り取る枝に分ける方法もあります。
花を長く楽しんでから花序を切り落とすと、翌年の花は付きませんが、翌々年には花を付けてくれます。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は6月上旬~7月中旬です。

その年に伸びた枝の2~3節を使って挿し穂を作ります。
一番下の節1㎝の部分を斜めに切り、下の葉を取り除きます。
残った葉を半分に切り、水揚げをしたら挿し木用土に下の節が埋まるように挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

カシワバアジサイの発根は普通のアジサイよりも遅く、一カ月程度の時間がかかります。
水の管理が難しい場合はアナベルと同じように冬場に挿し木を行う方法も可能です。

病気・害虫

うどんこ病

葉の表面が白い粉をまぶしたようになり、病気が進行すると葉が枯れてしまうことも。
初期であれば、病葉や落葉した病葉を取り除くことで拡大をある程度防ぐことが出来ます。
風通しを良くして、発生を予防して下さい。

ハダニ

葉が茶色く変色します。
駆除がなかなか難しい害虫ですが、薬剤などを使って対応して下さい。

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