多年草・宿根草

オダマキ

  • 学名…Aquilegia
  • 和名…オダマキ(苧環)
  • 科名…キンポウゲ科
  • 属名…オダマキ属
  • 原産国…北半球
  • 花色…ピンク、紫、白、赤、オレンジ、黄色など
  • 草丈…20㎝~50㎝
  • 日照…日なた(夏は半日蔭)
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 7

オダマキとは

オダマキ

オダマキはキンポウゲ科オダマキ属の多年草です。
オダマキ属の植物は、北半球の温帯に約70種が知られており、日本にもミヤマオダマキとヤマオダマキの二種が分布しています。

一般的に栽培されるオダマキは、大別すると日本原産のミヤマオダマキのグループと、ヨーロッパ原産の西洋オダマキのグループで、両種のオダマキを交配親として数多くの園芸品種が作出され、流通しています。


オダマキの主な花期は、4月~6月中旬。
花期になると、上部で分枝した茎の頂部に、花径3~8㎝程度の花を下向きに咲かせます。
※品種によっては上向きに咲くものもあります。

▼オダマキの花

オダマキの花

外側にあるのは萼片で、花弁はその内側にあります。
萼片5個は平らに開き、花弁5個はほぼ直立しています。

▼オダマキの萼片と花弁

オダマキの萼片と花弁

花弁の基部は距(キョ)となって後ろに突き出します。

※距(きょ)…花弁や萼片の基部から突き出ている袋状の部分。
内部に蜜腺を持つものが多い。

▼オダマキの距

オダマキの距

雄しべは多数、雌しべは5個。
雄しべと雌しべの間には葯を持たない鱗片状の仮雄しべがあります。

▼オダマキの雄しべと雌しべ

オダマキの雄しべと雌しべ

花色は、青、ピンク、紫、白、赤、黄色、オレンジなど。
多くの園芸品種があり、豊富な花色が揃います。


果実は円筒形の袋果(たいか)。

※袋果(たいか)…一本の線で裂開する袋状の果実。一つの心皮からなる。

▼オダマキの果実

オダマキの果実

種子は熟すと黒くなり、果実が裂けます。

▼オダマキの種子

オダマキの種子

根出葉は長い葉柄があり、2回3出複葉(にかいさんしゅつふくよう)です。

※3出複葉(さんしゅつふくよう)…軸の先から3枚の小葉が出ている葉の形。
3出複葉が集まってさらに大きな3出複葉を構成している場合、その回数に合わせて2回3出複葉、3回3出複葉と呼びます。

▼オダマキの2回3出複葉

オダマキの葉の様子

小葉は浅裂、または深裂しており、鋸歯は丸くなっています。

茎葉は互生し、1~3回3出複葉です。

▼オダマキの葉の様子

オダマキの葉の様子

花を咲かせながら草丈10~50㎝程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるオダマキ

たくさんの花を咲かせるオダマキ

冬に地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。

比較的短命な多年草のため、3~4年ほどで株の更新が必要になりますが、こぼれ種でもちょこちょこ増えます。
絶やしたくない場合は、種を採取しておくのが確実です。

オダマキの主な品種

ミヤマオダマキ(深山苧環:Aquilegia flabellata var. pumila)

ミヤマオダマキ

日本、朝鮮半島北部、樺太に分布するオダマキです。
日本では北海道から中部地方以北の地域に分布しており、亜高山・高山地帯に自生する高山植物です。

草10~20㎝程度に成長します。
花色は青から青紫。
やや暑さに弱い性質です。

園芸品種では紫やピンク、白花を咲かせるものもあります。

オオヤマオダマキ(大山苧環:Aquilegia buergeriana var. oxysepala)

ヤマオダマキ

日本、朝鮮半島、中国、ロシアに分布するオダマキです。
日本ではヤマオダマキの変種とされていますが、中国、ロシアでは別種(Aquilegia oxysepala)とされています。

萼片は紫褐色、花弁は黄色~淡緑色で、距の部分が紫褐色になります。
草丈30~60㎝程度に成長します。

距が内側に曲がるのが特徴で、ヤマオダマキの距は真っすぐに伸びます。

それぞれ萼片まで黄色く、黄色一色の花を咲かせるものがあり、キバナノオダマキ(A. buergeriana var. oxysepala f. flavescens)、キバナオオヤマオダマキ(A. buergeriana var. oxysepala f. pallidiflora)と呼ばれます。

▼キバナノオオヤマオダマキ

キバナノオオヤマオダマキ

クロバナオダマキ(黒花苧環:Aquilegia viridiflora var. atropurpurea)

クロバナオダマキ

中国、モンゴル、ロシアに分布するオダマキです。
萼片、花弁共に暗紫色をしており、花には香りがあります。
草丈15~30㎝程度に成長します。

園芸品種のチョコレートソルジャー(Aquilegia viridiflora ‘Chocolate Soldier’)が流通しています。

カナダオダマキ(Aquilegia canadensis)

カナダオダマキ

アメリカ、カナダに分布するオダマキで、森林や岩の斜面、崖などに自生しています。
萼片は赤、花弁は黄色で距の部分が赤くなり、雄しべが長く突出します。
野生種では個体差が大きく、草丈15~90㎝程度のものまであります。

黄色やピンク色の花を咲かせる園芸品種もあります。

セイヨウオダマキ(西洋苧環:Aquilegia vulgaris)

セイヨウオダマキ

ヨーロッパから北アフリカに分布するオダマキです。
草丈30~70㎝程度に成長し、多くの場合、萼片、花弁、距共に青~紫色の花を咲かせます。

本種にヨーロッパ原産種や北アメリカ原産の大輪種を掛け合わせ、数多くの品種が作出されています。
園芸上ではこの品種群と、その他の様々な交配種を合わせて「セイヨウオダマキ」と呼んでいます。
花色が非常に豊富で、八重咲き品種なども流通しています。

▼セイヨウオダマキ(園芸品種)の様々な花

紫色のオダマキ
ピンク色のオダマキ
白色のオダマキ
紫色の八重咲きオダマキ

オダマキの育て方

オダマキの育て方

栽培環境

水はけの良い日なたを好みますが、夏の強い日差しは苦手です。
庭植えの場合は、午後から日陰になるような半日蔭の場所が適しています。
鉢植えの場合は、夏場以外は日なたで育てて下さい。

夏越し、冬越し

夏越し

鉢植えの場合は、午後から日陰になるような場所に移動して下さい。
庭植えで日なたに植えている場合は、遮光して強い日差しと暑さから守ってやって下さい。
遮光率は30%~40%です。

冬越し

耐寒性の高い植物ですが、根が凍ってしまうと枯れてしまいます。
凍結の心配がある寒冷地の場合は、敷き藁などを敷いて凍結対策を施して下さい。
根が生きていれば春に再び芽吹きます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬場は地上部が枯れますが、完全に乾かさないように注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

鉢植えの場合は、3月~9月の間に液体肥料を月に3回程度施します。
夏場は規定量の2~3倍程度に薄めて与えて下さい。

植え付け、植え替え

適期は2月中旬~3月、9月中旬~10月です。

植え付け(用土)

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込みます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7に腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
ミヤマオダマキやヤマオダマキなどの場合は、山野草の培養土を使用して下さい。

植え替え

根詰まりを起こしやすいので、鉢植えの場合は基本的に毎年植え替えを行います。
根鉢を崩さないように気を付けて、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。

庭植えの場合は植え替えの必要はありません。

花がら摘み

種を採取しない場合は、花が終わったら花茎を切り取って下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。
オダマキは比較的短命な多年草なので、3~4年が経つと良い花が咲かなくなってしまいます。
種まきで株の更新をして下さい。

種の採取

花後に出来た鞘の先が茶色になった頃が採取のタイミングです。
晴れた日を選んで花茎ごと切り取って、新聞紙の上などで種を採取して下さい。
採取した種は冷蔵庫で保管します。

種まき

適期は3月中旬~5月です。

種は播種箱などに蒔き、好光性種子なので覆土は必要ありません。
発芽までは乾かさないように管理します。
発芽温度は18℃前後で発芽までは20~30日程度かかります。

発芽して本葉が2~3枚程度になったらポット上げをし、ポットのまま半日蔭の涼しい場所で夏越しをします。
秋の9月下旬~10月頃になったら定植して下さい。
冬になると葉が枯れますが、そのまま葉を取らずに冬越しします。
苗が小さい場合は霜柱などで根が持ち上げられて枯れてしまうことがあるので、霜よけを設置して下さい。

うまく育てば春に芽を出して花を付けます。

病気、害虫

ヨトウムシ

苗を植え付け直後に発生することが多いです。
根を傷つけないように株元の土を軽く掘ると出て来ることがあります。
見付けたら補殺して下さい。

ハダニ、アブラムシ

放置するとどんどん被害が広がるので、早目に薬剤などで対処して下さい。

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