和名…チョウセンアザミ(朝鮮薊)
科名…キク科
属名…チョウセンアザミ属
原産国…地中海沿岸
花色…紫
草丈…150㎝~200㎝
日照…日なた
難易度…

USDA Hardiness Zone:7 to 10
アーティチョークとは
アーティチョークは、地中海西部地域原産のキク科チョウセンアザミ属の多年草です。
栽培の歴史は古く、紀元前8世紀頃にはギリシャの詩人ホメロスとヘシオドスによって、園芸植物として言及されています。
アーティチョークは、野生のアザミだったものが、古代ギリシャ・ローマ時代以降、品種改良を加えられ現在の姿になりました。
ヨーロッパやアメリカでは定番の野菜で、広く栽培されており食用として普及しています。
日本へはオランダ経由で江戸時代に渡来しましたが、栽培環境などの問題で普及することはありませんでした。
和名の「チョウセンアザミ」は外国から渡来したアザミに似た植物という意味合いで、朝鮮原産というわけではありません。
若い蕾を食用にしますが、非常に大型な植物の割に可食部はごく僅かです。
アーティチョークの花期は6月~8月。
花期になると、高く伸びた茎の頂部に径15㎝前後の大きな頭状花を咲かせます。
頭状花は小さな筒状花が集まって形成されており、花柱が長く突出し、花姿はアザミに似ています。
花を包む総苞片は肉厚な披針形~広卵形で、棘はほとんど無ありません。
花色は紫のみ。
▼アーティチョークの花
葉は羽状に深く裂け、茎に互生します。
葉の先端部分が棘状になります。
表面は灰緑色、裏側には白い毛が密生しており、グリーンシルバーの葉色が美しい植物です。
葉の長さは50㎝にも達し、草丈は150~200㎝程度に成長します。
シルバーリーフを広げた姿は非常に雄大で、花のない時期にも観賞価値があります。
▼アーティチョークの葉
冬場はロゼット状に葉を出して越冬します。
非常に大きく育つので植栽にはかなりのスペースが必要になります。
耐寒性はそこそこあるのですが、高温多湿の環境が苦手なため暖地では夏の時期に傷んでしまう事が多々あります。
夏を無事に越して2年目になると、大きく育った株にたくさんの蕾が付くようになります。
アーティチョークの食べ方
可食部は蕾の部分です。
収穫時期は好みですが、直径10~15㎝程度になる頃から開花直前まで収穫できます。
収穫時期によって味が変わってくるので、好みの時期に収穫して下さい。
すぐに花が咲くのでタイミングを逃さないように気を付けます。
収穫した蕾は茎を切ってそのまま塩ゆでにするか蒸し器で蒸します。
茹でる場合は、茹で汁にレモン汁と塩を加えて20~40分程度。
蒸す場合は、先端部分を切り取って上下を逆さまにして20~40分程度。
どちらも竹串が中心までスッと入るようになったら完成です。
食べるのはガクの根元の肉厚になった部分とハートと呼ばれる蕾の一番下の部分です。
ガクの部分は一枚一枚はがし、歯でしごくようにして食します。
ハートは毛のような多数のしべの下にあるので、しべをむしりとって食します。
お好みで塩やマヨネーズを付けて下さい。
アーティチョークとカルドンの違い
カルドン(Cynara cardunculus)は、アーティチョークと同属の近縁種で、同じように食用にされます。
アーティチョークは蕾の部分だけを食用としますが、カルドンは葉柄も食用として利用されます。
アザミがカルドンに改良され、さらに改良が加えられてアーティチョークになったとする説があり、草姿、花、性質がよく似ています。
葉の違い
よく似た草姿の2種ですが、葉に違いがあります。
▼アーティチョークの葉
▼カルドンの葉
どちらも羽状で深い切れ込みを持つシルバーグリーンの葉ですが、形状がやや異なります。
トゲの有無
▼カルドン
「カルドンにはトゲがあり、アーティチョークにはありません」と大概の図鑑には記されていますが、カルドンのトゲには個体差があります。
写真のように鋭いトゲのある品種もありますが、トゲが無いように見える品種もあります。
一見してトゲの見えない品種でも、カルドンの茎や葉の縁には小さなトゲがあり、皮膚に触れると痛みを感じます。
現在では品種改良によってトゲの無いカルドンも作られており、見分け方としては確実な方法とは言えませんが、トゲがあればカルドンであることは確実です。
蕾の形状
▼アーティチョーク
▼カルドン
アーティチョークのガクには丸みがあり、カルドンのガクは尖っています。
ただ、こちらも個体差があるため、確実な方法とは言えません。
以上のような違いがあります。
非常によく似た2種ですが、カルドンの方が比較的耐暑性があり、丈夫な性質です。
アーティチョークの育て方
栽培環境
日当たり、水はけ、風通しの良い場所が適しています。
草丈も横幅もかなり大きくなります。
鉢で育てる場合は最低でも10号鉢以上の大きな鉢を使って下さい。
株が大きく育たないと蕾も大きくなりません。
冬越し
耐寒温度は-2℃程度です。
霜で多少葉が傷みますが、春になれば新しい芽が出てきます。
地面が凍結したり強い霜が降るような寒冷地では、株元を腐葉土や敷き藁でマルチングし、防寒対策を施します。
積雪で葉がつぶれてしまうようなら降雪対策も必要になります。
水やり
生育期に土が完全に乾くと枯れてしまうことがあります。
水切れには注意が必要ですが、常に土が濡れた状態が続くと根腐れを起こします。
水やりは土が乾いてからたっぷりと。
特に鉢植えの場合は、水切れ、過湿ともに注意が必要です。
肥料
元肥として用土に完熟堆肥と油粕を混ぜ込んでおきます。
追肥は4月と9月に緩効性化成肥料を株元に施して下さい。
鉢植えの場合は、生育期に月に2回程度、規定量に薄めた液体肥料を施して下さい。
植え付け、植え替え
直根性で移植を嫌います。
植え付け、植え替えの際には根を傷つけないよう注意して下さい。
植え付け
適期は3月中旬~4月中旬、9月中旬~11月中旬です。
草丈150~200㎝、横幅100~150㎝ほどになる大型の多年草です。
スペースには余裕をもって植え付けて下さい。
酸性土壌を嫌います。
植え付けの前に、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜ込んで土壌を中和しておきます。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、完熟堆肥と油粕を混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に川砂を1割ほど混ぜるか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・川砂1などの水はけの良い配合土に緩効性化成肥料を混ぜて土を作ります。
最低でも10号鉢以上の大きな鉢で育てて下さい。
植え替え
適期は9月中旬~11月中旬です。
直根性で移植に弱い性質で、大きく育つと根付きにくくなります。
鉢植えの場合は、根詰まりを起こしているようなら植え替えを行って下さい。
根を傷つけないように注意して、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えます。
花後の管理
花後に葉や茎が枯れて半休眠状態になります。
枯れた葉や茎は子株を残して株元から切り戻してやります。
翌年には茎数が増えて多くの花が付くようになります。
増やし方(株分け、種まき)
株分け
適期は9月中旬~11月中旬です。
株元から出ている子株を掘り上げて株分けをします。
葉が4~5枚程度、高さ30㎝以上の子株が目安です。
親株からごぼうのように太い根で繋がっているので、スコップ等で切り分けて新しい場所に植え付けます。
種まき
適期は3月~4月、9月~10月ですが、日本の気候では春まきの方が適しています。
種はポットにまき、覆土は5㎜程度。
発芽までは水を切らさないように管理します。
発芽後、本葉が5枚程度になったら定植して下さい。
大きく育つと根付きにくくなります。
花が付くのは翌年からになります。
病気・害虫
アブラムシ
アブラムシの発生がよく見られます。
見付け次第駆除して下さい。