低木 庭木

ハギ

  • 学名…Lespedeza thunbergii
  • 和名…ハギ(萩)
  • 別名…ミヤギノハギ(宮城野萩)
  • 科名…マメ科
  • 属名…ハギ属
  • 原産国…栽培種
  • 花色…赤紫、ピンク、白、複色
  • 樹高…1.5m~2m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

ハギとは

ハギ

ハギはマメ科ハギ属の落葉低木です。
「ハギ」という名前は特定の種を指すものではなく、ハギ属に分類されている植物の総称として用いられますが、特に、日本や中国など東アジアに分布するハギ属の仲間やその園芸品種を「ハギ」と呼ぶのが一般的です。

ハギ属の植物は東アジアからインド、北アメリカ、マレーシア、オーストラリアに約60種が分布しています。
日本にはヤマハギ(Lespedeza bicolor)やケハギ(L. patens)、マルバハギ(L. cyrtobotrya)など十数種のハギが自生しおり、また中国では25種のハギが知られています。

その中で最も多く栽培されているのが、枝垂れる枝が美しいミヤギノハギ(L. thunbergii subsp. thunbergii f. thunbergii)です。
ミヤギノハギは自生種の確認がされていないことから園芸品種であると考えられていますが、そのルーツははっきりしていません。
本州日本海側に分布するケハギ(L. patens)と酷似した姿をしているため、ケハギの選抜品種であるとする説、ミヤギノハギが野生化したものがケハギであるとする説、ケハギの亜種または変種であるとする説、中国原産とする説などがあり、現在も詳細については不明です。

ここではミヤギノハギに代表される品種の他、一般的に「ハギ」と呼ばれる植物について紹介しています。


ハギの花期は7月~9月。
花期になると、上部の枝の葉の付け根から花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は総状、枝先では円錐状になります。

▼ハギの花序

ハギの花序

花は花径1㎝程度の蝶形花(ちょうけいか)です。

※蝶形花(ちょうけいか)…左右対称で蝶の形に似た花。マメ科マメ亜科特有。
上側の旗弁(きべん)1個、側方の翼弁(よくべん)2個、下側の竜骨弁(りゅうこつべん)2個からなる。

▼ハギの蝶形花

ハギの蝶形花

雄しべ、雌しべは竜骨弁の中にあり、昆虫が吸密しようと花に乗ると、竜骨弁が開いてしべが現れる仕組みとなっています。

▼ハギの雄しべと雌しべ

ハギの雄しべと雌しべ

基本種の花色は赤紫色~ピンク色ですが、白い花を咲かせる品種もあります。

▼白い花を咲かせるハギ

白い花を咲かせるハギ

果実は長さ1㎝弱の豆果(とうか)。

豆果(とうか)…マメ科に見られる果実の形。鞘(さや)の中に種子が入っている。
乾燥すると縫合線に沿って裂開し、種子がこぼれる。

▼ハギの果実

ハギの果実
写真はヤマハギの豆果

葉は3出複葉、いわゆる三つ葉で、小葉は長楕円形~楕円形です。

▼ハギの葉の様子

ハギの葉の様子

多数分枝し、樹高1.5~2m程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるハギ

たくさんの花を咲かせるハギ

耐寒性、耐暑性共に優れており、丈夫な性質です。
病害虫の発生もほとんど無く、育てやすい植物です。

ハギの主な園芸品種

ミヤギノハギ(宮城野萩:Lespedeza thunbergii subsp. thunbergii f. thunbergii)

ミヤギノハギ

自生種が確認できないため、園芸品種であると考えられています。
「宮城野」の名前は、ミヤギノハギの産地が宮城野(現在の仙台市)にあったことに由来するとされています。
※詳細は不明。

宮城県の県花となっていますが、全日本観光連盟や日本交通公社、植物友の会によって郷土の花として選定されたもので、自生地が宮城県にあるという訳ではありません。

花色は赤紫。
葉は先の尖った楕円形~卵形で、枝は地面に着くほど枝垂れます。
庭木として植栽されるハギの多くはミヤギノハギです。

シラハギ(Lespedeza thunbergii subsp. thunbergii f. alba)

シラハギ

ニシキハギ、またはミヤギノハギの園芸品種とされていますが、現在ミヤギノハギの園芸品種という説が主流となっています。
こちらもよく植栽されるハギです。

江戸絞り(Lespedeza ‘Edo-shibori’)

ハギ・江戸絞り

白地に紫の絞り模様が美しい品種です。
他のハギのように枝が枝垂れず、最も木質化し低木状に育ちます。

他にも数多くの品種が流通しています。

ハギの育て方

ハギの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
ハギの根には根粒菌が共生しており、やせ地でもよく育つため、古くから砂防などにも植栽されています。
乾燥にも強く、日当たりさえ良ければ元気に育ちます。

夏越し、冬越し

耐暑性、耐寒性共に高く、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
真夏にひどく乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。

肥料

特に必要ありませんが、大きく育てたい時や花付きが悪くなった時などに、緩効性化成肥料や固形の油粕を寒肥として施して下さい。
鉢植えの場合は肥料は不要です。

植え付け、植え替え

適期は厳冬期を避けた落葉期の、11月~12月、2月下旬~3月中旬です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥などを混ぜて水はけの良い環境を作って下さい。
枝を長く枝垂れさせて横に広がります。
植える場所にはそれなりのスペースを確保して下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土5・鹿沼土(細粒)2・腐葉土3などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりをしているようなら植え替えを行います。
地上部の枝は短く刈り込み、根を傷付けないように植え替えて下さい。

庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。

剪定

適期は花後の10月~11月です。
ハギは萌芽力が強く、強剪定をすることが出来ます。
※江戸絞りは通常、強剪定は行いません。

強剪定

株元からバッサリと切り戻して下さい。
花が咲く頃には2m近く伸びた枝を美しく枝垂らせます。

江戸絞りなど低木状のハギ

大きくしたくない場合は、枝元から10㎝程度の位置でバッサリと剪定して下さい。
大きく育てたい場合は、枝元からある程度の長さを残して切り戻します。
全体を丸く刈り込むように剪定をして樹形を整える方法もあります。

どちらの場合も、6月頃までなら間引き剪定を行うことも可能です。
枝が伸びて来て込み合うようなら適度に間引くとスッキリします。

増やし方(株分け、挿し木)

株分けと挿し木で増やすことが出来ますが、挿し木は発根しにくいこともあり、株分けが一般的です。

株分け

適期は落葉期の2月下旬~3月中旬です。
出来るだけ根を切らないように注意して株を掘り上げます。
スコップなどで株を縦に割って、株分けして下さい。

挿し木

適期は6月下旬~7月上旬です。
春から伸びた新梢を10~15㎝ほどの長さに切って使います。
下の葉を2/3ほど取り除いて挿し穂を作ります。
十分に水揚げをしたら挿し木用土に挿しますが、挿し穂の2/3程度が用土に埋まるように挿して下さい。

密閉挿しをすると成功率が上がります。
密閉挿しとは、挿し木床を透明なビニールで覆って密閉する方法です。
ビニールが挿し穂に当たらないように、ワイヤー2本を十字に交差させてドーム状の骨組みを作ります。
上から透明なビニール袋を被せて口を紐で縛って密閉して下さい。
水は底面給水で管理します。
明るい日陰で管理して、芽が動き出したらビニールの上部に2か所ほど穴を開けて徐々に環境に慣らしていき、最終的にはビニールを外して下さい。

病気、害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

-低木, 庭木
-