一年草・二年草

ホウセンカ

  • 学名…Impatiens balsamina L.
  • 和名…ホウセンカ(鳳仙花)
  • 科名…ツリフネソウ科
  • 属名…ツリフネソウ属
  • 原産国…東南アジア、インド
  • 花色…赤、紫、白、ピンク、複色
  • 草丈…30㎝~60㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:2 to 11

ホウセンカとは

ホウセンカ

ホウセンカは、東南アジア、インドを中心に分布するツリフネソウ科ツリフネソウ属の一年草です。
分布域は、東南アジアからバングラデシュ、インドにあり、草原や道端、川辺などに自生しています。
美しい花を咲かせることから世界の広い地域で栽培されています。

日本には江戸時代に渡来し、観賞用の花として広く普及しました。
種からの栽培が容易なため、植物観察の対象としてよく栽培されます。
最近では庭に植えられている姿を見かける機会が少なくなりましたが、馴染み深い植物の一つとなっています。


ホウセンカの花期は6月~9月。
花期になると、茎の上部の葉の付け根から、短い花柄を伸ばし、横向きに花を咲かせます。
花は直径2.5~5㎝程度の大きさです。

▼ホウセンカの花

ホウセンカの花

花には3個の花弁があり、上側の花弁1個は丸みを帯びた軍配団扇形で、背面に突起があります。

▼ホウセンカの上側花弁

ホウセンカの花弁

側花弁2個はそれぞれ上下に2裂しており、上裂片は小さく、下裂片は大きな円形で、さらに浅く2裂しています。

▼ホウセンカの花弁の様子

ホウセンカの花弁

萼は2~3mm程度の小さな側萼片2個と、下部の大きな舟形の萼片、計3個があります。
下部の萼片からは距(きょ)が伸びています。

※距(きょ)…花弁や萼片の基部から突き出ている袋状の部分。
内部に蜜腺を持つものが多い。

距は長さ1~2.5㎝。

▼ホウセンカの萼と距

ホウセンカの萼と距

ホウセンカの名前は、中国名の「鳳仙花」をそのまま音読みにしたものですが、この花姿に由来しています。
ひらひらと波打つような花弁を、鳳凰が羽ばたく様子に見立てています。

花色は赤、紫、白、ピンク、複色。
一重咲きの他、八重咲き、さらに花弁の多い椿咲きなどの品種が流通しています。

▼紫色の花を咲かせるホウセンカ

紫色の花を咲かせるホウセンカ

果実は長さ1~2㎝の紡錘形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼ホウセンカの果実

ホウセンカの果実

果実は熟すと勢いよく裂け、中の種子を弾き飛ばします。
種子は直径1.5~3㎜の球形。


葉は互生し、長さ4~12㎝、幅1.5~3㎝の披針形で、縁に鋸歯があります。

▼ホウセンカの株の様子

ホウセンカの葉の様子

茎は直立し、花を咲かせながら草丈30~60㎝に成長します。

▼椿咲きのホウセンカ

椿咲きのホウセンカ

耐暑性に優れ、育てやすい植物です。
こぼれ種でもよく発芽し、種から容易に育ちますが、やや病害虫に弱い性質です。

ホウセンカの近縁種

ホウセンカが属するツリフネソウ属は、世界に約1000種が分布する巨大な植物群です。
多くはアフリカ、アジアの熱帯・亜熱帯地域に分布しており、いくつかの種が観賞用として栽培されています。
観賞用として栽培されるのは本種の他、以下のようなものがあります。

ホウセンカの育て方

ホウセンカの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけが良い場所が適しています。
ある程度の耐陰性があるので、半日蔭程度なら育ちます。

連作障害が出やすい植物なので、一度ホウセンカを植えた場所には少なくとも1年以上の期間を開けてから植えるようにして下さい。

夏越し

耐暑性が高く、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いてきたらたっぷりと。
ホウセンカは乾燥に弱い植物です。
夏場の水切れには特に注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥の必要は特にありませんが、生育が悪いようなら肥料を施して下さい。

鉢植えの場合は、6月頃に緩効性化成肥料を施して下さい。

用土、植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い土壌を作ります。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土か、赤玉土(小粒)7・腐葉土3の配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで使います。

移植を嫌う植物なので、ポット苗を植え付ける時は根鉢を崩さないように気を付けて下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、こぼれ種でもよく発芽します。

種の採取

花後に出来た果実が熟すとパチンと弾け、種が周囲に飛び散ります。
指で触ると弾けるので、採取には袋を使います。
熟した鞘にお茶パックなどを被せて指で触れて弾けさせて採取するか、鞘が熟す前にお茶パックなどを被せて種が自然に弾けるのを待って下さい。

採取した種は封筒などに入れてしばらく乾燥させ、そのまま乾燥剤と一緒にビンや缶に入れて冷暗所で保管して下さい。

種まき

適期は4月~5月です。
発芽温度は20℃~25℃です。

移植を嫌うので、花壇や鉢に直まきするか、ポットに種をまきます。
こぼれ種でもよく発芽するので、直まきがオススメです。
覆土は種が隠れる程度に軽く。
発芽までに5日~10日ほどかかります。
発芽後は、元気な苗を残して適当に間引いて下さい。
ポットに蒔いた場合は、本葉が2~3枚程度になったら根を傷つけないように注意して定植します。

病気・害虫

うどん粉病

梅雨時期に発生しやすい病気です。
風通しの良い環境を保つことである程度は予防できます。
発生すると、葉や茎に白い粉をまぶしたような白いカビが生えます。
発生前に殺菌剤を散布しておくと効果的です。

センチュウ

根に寄生して植物の養分を吸い取ります。
根を確認することはなかなか出来ませんが、生育環境に問題が無いのに生育が悪いような時は、センチュウの寄生を疑います。
発生すると対処はなかなか難しい害虫です。
マリーゴールドと混植すると良いと言われています。
また、同じ場所に連作すると、特定のセンチュウが繁殖して被害を受けることがあるので、連作をしないようにします。

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