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ペニセタム

  • 学名…Pennisetum
  • 別名…ペンニセツム、ペニセツム
  • 科名…イネ科
  • 属名…チカラシバ属
  • 原産国…世界の熱帯~温帯
  • 穂色…黒、茶、白、赤など
  • 草丈…30㎝~150㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:品種による

ペニセタムとは

ペニセタム

ペニセタムは、世界の熱帯から亜熱帯、温帯に約80種が分布するイネ科チカラシバ属の多年草、または一年草です。
元来の分布はアフリカ、アジア、オーストラリア、南アメリカでしたが、現在は北アメリカやヨーロッパの広い地域でも分布を広げています。
日本ではチカラシバ(Pennisetum alopecuroides)の他、アオチカラシバ(P. alopeculoides)など、数種が自生しています。

チカラシバ属の多くは飼料として利用されており、一部の種は食用穀物として栽培されていますが、美しい穂を持つ幾つかの種が観賞用として栽培されています。

ここでは観賞用として栽培されるチカラシバ属の植物をペニセタムとして紹介しています。


ペニセタムの主な観賞期は6月下旬~11月上旬。
花期になると、伸びた茎の頂部に特徴的な穂を出します。
穂は円柱形で、直立するもの、柔らかく枝垂れるものなどがあります。

▼ペニセタムの穂の様子

ペニセタムの穂の様子
ペニセタムの穂の様子

葉は多くの種で細長く、葉色は緑葉のものから銅葉など、品種により様々です。
草丈1m以上に育つ高性種から、草丈30㎝程度で根出葉を多く出してこんもりと茂る品種まで、様々な品種が流通しています。

耐暑性が高く、育てやすい植物です。
耐寒性は品種によって様々で、戸外で冬越しできる品種もあります。

ペニセタムの主な品種

チカラシバ(Pennisetum alopecuroides)

チカラシバ
USDA Hardiness Zone:6 to 9

日本在来種のペニセタムで、中国、南北朝鮮、台湾、東南アジア、インドなどにも分布しています。
日本ではごく一般的な道端の雑草ですが、ヨーロッパやアメリカなどでは観賞用として栽培されています。
小穂がピンク色や紫色、白色をおびる品種などがありますが、日本ではあまり流通しません。

学名ペニセタム・アロペクロイデスの名前で流通することもあります。

パープルファウンテングラス(Pennisetum setaceum ‘Rubrum’)

ペニセタム・パープルファウンテングラス
USDA Hardiness Zone:9 to 10

熱帯アフリカ、東アフリカ、中東を中心に分布するペニセタム・セタケウムの園芸品種です。
赤紫の長い穂が美しい品種で、草丈50~90㎝程度に成長します。
葉は深いワインレッドで、カラーリーフとしての観賞価値があります。

耐寒性はあまりありませんが、年間の最低気温が-5℃以上であれば冬越し可能です。
ただし降雪、降雨があると用土が凍結する恐れがあるので、影響を受けない軒下などの環境の方が安全です。

筆者宅(最低気温-3℃、積雪なし)では庭植えで数年間元気に育っていましたが、-7℃の大寒波の年に枯れてしまいました。
ほとんど結実しないので、種をとることが出来ません。

ペニセタム・ファイヤーワークス(Pennisetum ‘Fireworks’)

ペニセタム・ファイヤーワークス
USDA Hardiness Zone:9 to 10

パープルファウンテングラスの斑入り品種です。
葉の基部は緑葉に白の覆輪、先になるに従い深いワインレッド、覆輪はピンク色に変化します。
華やかな葉色は、カラーリーフとしても利用価値が高く、寄せ植えなどにも利用されています。
小穂は鮮やかな紫色になります。

パープルファウンテングラス同様にこちらも結実しにくい品種です。

ペニセタム・ビロサム(シロガネチカラシバ:Pennisetum villosum)

ペニセタム・ビロサム
USDA Hardiness Zone:8 to 10

北東アフリカとアラビア半島の一部に分布するペニセタムです。
ふわふわとした白い穂が美しい品種で、草丈50㎝程度に成長します。
和名はシロガネチカラシバ。

ギンギツネの名前でも流通しています。
パープルファウンテングラスなどに比べるとやや耐寒性が高く、最低気温が-10℃程度であれば冬越し可能です。

ペニセタム・パープルマジェスティ(Pennisetum glaucum 'Purple Majesty')

ペニセタム
USDA Hardiness Zone:10 to 11

パンやクスクスの材料となるトウジンビエ(クロキビ)の園芸品種です。

トウジンビエは、紀元前2000年には栽培が始まっていたと考えられる古い歴史を持つ植物で、起源は熱帯アフリカだとされています。
その園芸品種であるパープルマジェスティは、銅葉と真っ直ぐに伸びる暗紫色の穂が特徴的な品種です。
春の芽出しの頃は緑葉ですが、日差しが強まると共に色付いていきます。

草丈100~150㎝程度に成長する大型品種で、全体の草姿がスッキリした印象のペニセタムです。
耐寒性は低く日本では冬を越せないため、一年草として扱うのが一般的です。

種から簡単に育てることが出来ますが、F1交配種のため、親株と同じ草姿で育つとは限りません。

他にも様々な品種が流通しています。

オーナメンタルグラス

ペニセタムの他では以下のようなものがオーナメンタルグラスとして栽培されています。
大半はイネ科の植物ですが、一部キジカクシ科、カヤツリグサ科などの植物もあります。

ペニセタムの育て方

ペニセタムの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと、葉色が褪せたり徒長してしまいます。
美しいカラーリーフや草姿を楽しむためには、日当たりの良い場所で育てて下さい。

冬越し

耐寒性は品種によって大きく異なりますが、基本的に寒さに強い植物ではありません。
心配な場合は室内で冬越しをするか、種を採取して春に播種します。

耐寒性がある品種

ビロサムなどは耐寒性があり、冬に地上部は枯れますが戸外でそのまま冬越し可能です。
地上部が枯れたら切り取り、株元を腐葉土などでマルチングして凍結対策を施して下さい。
鉢植えの場合は、霜や凍結の心配のない軒下などの暖かい場所に移動します。
冬越し中は水やりの必要はほとんどありません。

耐寒性が無い品種

耐寒性のない品種の冬越しは、室内での管理が基本になります。
11月頃になって寒くなって来たら室内の暖かい場所に取り込みます。
冬越しには概ね5℃以上の気温が必要になります。
冬越し中は乾燥気味に管理し、肥料は与えません。
気温の低下で地上部が枯れてしまうことがありますが、根が生きていれば春に芽吹く事があります。
無事に冬越しをしたら植え替えを行って下さい。

耐寒性の無い品種は一年草と割り切り、種を採取して春に播種した方が簡単です。
※種の出来ない品種もあります。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。

肥料

庭植えの場合は、肥料はほとんど必要ありません。
生育が悪くなって来た場合のみ、春に緩効性化成肥料を株元に施します。

鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

植え付け、植え替え

適期は4月~6月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土などを混ぜ込んで水はけの良い土壌を作ります。
土地がやせている場合は、牛糞などの元肥を混ぜ込んで下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4の配合土などを使います。

植え替え

鉢植えの場合は根詰まりを起こしやすいので春になったら、植え替えを行います。
根鉢を崩して一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

庭植えの場合は、特に植替えの必要はありませんが、株が込み合っているようなら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。

増やし方(株分け、種まき)

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

株分け

大株に育っていたら株分けをすることが出来ます。
春の植え替え時に、掘り上げた株をスコップなどで切り分けて株分けを行って下さい。

種まき

種の採取

種は穂に出来ます。
完全に熟すとぽろぽろと落ちるようになるので、穂ごと収穫します。
穂のまま乾燥させて保管しておいても大丈夫です。
採取した種は、紙袋などに入れて涼しい場所で保管して下さい。

※種がほとんど出来ない品種(パープルファウンテングラスなど)もあります。

種まき

適期は3月下旬~4月です。
ポットなどに蒔くと、1~2週間で発芽します。
耐寒性のある品種は秋に種を蒔くこともできます。

病気、害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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