多年草・宿根草

宿根フロックス

  • 学名…Phlox paniculata L.
  • 和名…クサキョウチクトウ(草夾竹桃)
  • 別名…オイランソウ、フロックス・パニキュラータ
  • 科名…ハナシノブ科
  • 属名…クサキョウチクトウ属
  • 原産国…北アメリカ
  • 花色…白、ピンク、赤、赤紫、複色
  • 草丈…50㎝~120㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

宿根フロックスとは

宿根フロックス

宿根フロックスは、ハナシノブ科クサキョウチクトウ属の多年草です。
クサキョウチクトウ属の植物は、北米を中心に約67種が分布しており、幾つかの種が観賞用として栽培されています。

その中で宿根フロックスと呼ばれているのは、フロックス・パニキュラータ(Phlox paniculata)です。
フロックス・パニキュラータは、北アメリカ・東部および中央アメリカに分布しており、河川沿いの雑木林や森林などに自生しています。

美しい花を咲かせることから世界中で栽培されており、クサキョウチクトウ属の中では最も園芸品種の多い植物となっています。
そのため、栽培を逸出したものが野生化し、現在ではアメリカ大陸の他、ニュージーランドなどでも帰化植物として定着しています。

日本への渡来時期の詳細は不明ですが、江戸時代の書物に登場することから、栽培の歴史は古い植物と言えます。
和名はクサキョウチクトウ。


宿根フロックスの花期は6月~9月。
花期になると、直立した茎の頂部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は長さ15~20㎝の円錐形です。

▼宿根フロックスの花序

宿根フロックスの花序

種小名であるパニキュラータ(paniculata)はラテン語で「円錐花序の」という意味で、この花序の形に由来しています。

花は直径1.5~3㎝の高杯形で筒部は1.5~2㎝と長く、上部は5裂し平らに開きます。

▼宿根フロックスの花

宿根フロックスの花

花はキョウチクトウに似ており、和名「クサキョウチクトウ」の由来となっています。

花色は白、ピンク、赤、赤紫、複色など。
花後に切り戻すと、再び花を咲かせます。
花の少ない真夏の時期に長期間咲く花は、夏花壇の定番となっています。

▼白花の宿根フロックス

白花の宿根フロックス

果実は卵形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼宿根フロックスの果実

宿根フロックスの果実

葉は対生し、長さ3.5~9㎝、幅1~3.5㎝の披針形です。
ほぼ無柄。

▼宿根フロックスの葉

宿根フロックスの葉

葉に白い斑の入る斑入り品種も流通しています。

▼斑入りの宿根フロックス

斑入り宿根フロックス

茎は直立し、花を咲かせながら草丈50~120㎝に成長します。

▼たくさんの花を咲かせる宿根フロックス

たくさんの花を咲かせる宿根フロックス

耐暑性は品種によりやや異なります。
暑さに弱い品種だと夏に葉が枯れこむこともありますが、強い品種を選べば暖地で一日中日が当たるような場所でも問題なく育ちます。
耐寒性は高く戸外での冬越しが可能です。
冬に地上部が枯れて宿根し、春に再び芽吹きます。

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宿根フロックスの育て方

宿根フロックスの育て方

栽培環境

日なたから半日蔭の場所まで適応します。
風通しが良く、水はけの良い場所が適しています。
日当たりを好みますが、真夏に強い西日が当たる場所だと葉が枯れこんでしまうことがあるので、暑さに弱い品種は西日が当たらない場所に植えて下さい。

※耐暑性の高い品種は、一日中強い日差しが当たっても枯れこむことはありません。

夏越し、冬越し

夏越し

葉が枯れこむようなら、鉢植えの場合は半日蔭に移動して下さい。

冬越し

地上部が枯れたら株元を少し残して、切り戻して下さい。
耐寒性は高く、特に対策無しで庭で冬越し可能です。
根まで凍ってしまうような寒冷地の場合は凍結対策を施して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

どちらかと言うと肥沃な環境を好む植物です。

庭植えの場合は、元肥として堆肥や腐葉土、緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はありませんが、毎年春の発芽前に同様の肥料を株間にすき込むようにして下さい。

鉢植えの場合は、3月~6月、9月~10月の期間に、緩効性化成肥料を定期的に施して下さい。

植え付け、植え替え

適期は春の3月~5月、秋の10月です。

植え付け

庭植えの場合は、水はけが悪いようなら用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は30㎝~40㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、1~2年に一度、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

庭植えの場合は、3年位経つと大株になって株が込み合って来るので、株分けを兼ねて植え替えを行います。

摘心と切り戻し

摘心

草丈が15㎝程度の頃に摘心をすると、脇芽が増えてたくさんの花を咲かせます。

切り戻し

花が一通り終わったら花首の所で切り戻してやると、返り咲きを楽しむことが出来ます。

増やし方(株分け、根伏せ)

株分けと根伏せで増やすことが出来ます。

株分け

適期は春の3月~5月、秋の10月です。
植え替え時に株分けをして植え付けて下さい。
あまり小さく分けず、1株に5芽程度が付くようにに分けると生育も良く元気に育ちます。

根伏せ

植え替え時に株を掘り上げたら土を洗って落とします。
元気な若い根を選んで、7~12㎝程度の長さに切り取ります。
根の先端部分を切り落として、用土の入ったポットや箱に寝かせた状態で埋めて下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して発芽を待ちます。

病気、害虫

うどんこ病

葉や茎が白い粉をまぶしたように白くなります。
初期であれば、白い粉の部分を完全にふき取ることで対処することが出来ます。
その後、うどんこ病に効果のある薬剤を散布するなどして再発の防止に努めて下さい。

株が込み合って風通しが悪くなっていたり、肥料不足や日照不足になると発生が多くなります。
良い環境を整えて、発生を抑制して下さい。

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