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ペチュニア

学名…Petunia
和名…ツクバネアサガオ(衝羽根朝顔)
科名…ナス科
属名…ツクバネアサガオ属(ペチュニア属)
原産国…南アメリカ
花色…赤、ピンク、黄、青、紫、白、複色
草丈…10㎝~40㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:10 to 11

ペチュニアとは

ペチュニア

ペチュニアの仲間は、中南米からメキシコにかけて約35種が分布するナス科の多年草です。
主に流通するのは、南アメリカに自生するペチュニア・アキシラリス種(Petunia axillaris)やビオラケア種(P. violacea)、インフラータ種(P. inflata)などを元に育成された交雑種です。
本来は多年草ですが、耐寒性が低く冬に寒さから枯れてしまうため、日本では一年草として扱うのが一般的です。

ペチュニアは現在最も品種改良が盛んな園芸植物の一つで、500以上の品種が登録されています。
品種改良の歴史は、1834年に上述のアキシラリス種とインフラータ種を交雑したことから始まります。
日本での品種改良も1800年代から行われていたとされ、1925年には坂田商会(現サカタのタネ)が、完全八重咲きの品種を作出し話題になりました。

▼八重咲き品種のペチュニア

ペチュニア

美しい花を咲かせるペチュニアですが、雨に弱く、梅雨の時期に花がボロボロになるという大きな欠点がありました。
ペチュニアの人気に火が付いたのは、1989年に日本の気候に適応できるよう改良された品種「サフィニア」が発表されてからです。
「サフィニア」はサントリーフラワーズと京成バラ園芸が共同開発した栄養系品種(挿し芽で繁殖する系統)で、それまで実生系(種で繁殖する系統)のみだったペチュニアでは初めての本格的な栄養系品種となり、欧州でも高い評価を得ています。
サフィニアの発売以降、ペチュニアは夏花壇に欠かせない定番植物としての地位を不動のものとしています。

ペチュニアの花期は4月~11月。
花期になると、分枝した上部の茎の葉の付け根から花柄を伸ばし、花径3~10㎝程度の花を咲かせます。
花は基部が筒状で花冠が浅く5裂して漏斗状に開きます。

▼ペチュニアの花

ペチュニア

花は大輪系で7~10㎝、小輪系で3~5㎝程度の大きさです。
真夏は花が少なくなりますが、長い花期の間次々と開花します。
花色は赤、ピンク、黄、青、紫、白、複色と鮮やかな色が豊富に揃います。
一重咲きの他、ボリュームのある八重咲き品種も流通しています。

▼黒い花を咲かせるペチュニア

ペチュニア

葉は卵形で茎に対生します。
葉茎には粘液を分泌する細かい毛が密生しており、べとつきます。
自生地である南米にはアリが多く、一部のアリがペチュニアの葉を食害します。
そのため粘液を分泌して、アリが這い上るのを防いでいると言われています。

▼ペチュニアの葉の様子

ペチュニア

茎はよく分枝して花を咲かせながら草丈10~40㎝程度に成長します。
立ち性の品種の他、這い性、中間タイプの品種が流通しているので、ハンギングなど用途に合わせて草姿や花色を選ぶことも可能です。

▼這い性のペチュニア

ペチュニア

耐寒性はあまり高くありませんが、暖地であれば霜を避けて冬越しが可能です。
ただし、2年目以降は病気などが発生し、あまり良い花が咲かないことが多いです。
現在流通しているのは比較的雨に強い改良品種ですが、やはり雨はあまり得意ではありません。
雨に晒されると花が傷みがちです。

ペチュニアによく似た小さな花を咲かせる植物にカリブラコアがあり、ペチュニアの名前で流通していることもあります。
これは近年までカリブラコアがペチュニア属に分類されていたためです。

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ペチュニアの育て方

ペチュニアの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
多湿な環境を嫌うので、風通しも良いと最適です。

泥はねで株に土が付着すると病気の原因になることがあります。
鉢植えの場合は、少し高い場所に置くなどして泥はねを防いで下さい。
庭植えの場合は、株元にバークチップなどを敷いて泥はねを防ぎます。

連作障害が出やすいナス科の植物です。
ナス科の植物を繰り返し同じ場所に植えると、生育不良を起こしたり病気にかかりやすくなります。
カリブラコアの他、観賞用トウガラシホオズキもナス科なので注意して下さい。

冬越し、夏越し

夏越し

梅雨前の時期に、草丈の1/2程度の高さで切り戻しを行います。
高温多湿で株が弱るのを防ぎ、秋になれば再び整った草姿で花を咲かせてくれます。

鉢植えの場合は、長雨の時期に軒下などの雨の当たらない場所に移動すると、花が傷むのを防ぐことが出来ます。

冬越し

暖地の場合は、霜を避けて戸外での冬越しが可能です。
日当たりの良い暖かい場所に置き、夜間に冷え込むようであれば室内に取り込みます。

その他の地域では、室内で冬越しさせるか、一年草として扱います。
室内ではよく日の当たる場所で、やや乾燥気味に管理します。

冬越しをさせた株は、春になったら植え替えを行って下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に乾燥が続くようなら、水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場の水切れには注意して下さい。

肥料

肥料切れを起こすと、花付きが悪くなります。
生育期間中は肥料を切らさないようにして下さい。

庭植え、鉢植えともに、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、3月~11月の生育期間中に、緩効性化成肥料を定期的に置き肥します。
鉢植えの場合はさらに、液体肥料を月に2回程度施して下さい。

植え付け、植え替え

適期は3月中旬~5月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
弱酸性の土壌を好むので、市販の培養土が弱アルカリ性や中性の場合は、赤玉土(小粒)やピートモス(酸度無調整)などを2割ほど混ぜると、生育が良くなります。

摘心

植え付けて1~2週間ほど経ったら、先端の芽を摘み取って下さい。
枝数が増えてたくさんの花が咲きます。

植え替え

冬越しした株は、春に新しい用土で植え替えを行います。
植え替えを行った株は、草丈の1/2程度の高さで切り戻しておくと、草姿が整います。

花柄摘み

花柄をそのままにしておくと病気の原因になったり、種が出来て株の栄養が奪われます。
花柄はこまめに摘んで、株を常に清潔な状態に保って下さい。

切り戻し

夏になると草姿が乱れて、良い花が咲かなくなります。
梅雨前の時期に、草丈の1/2程度の高さで切り戻しを行って下さい。

冬越しをした株も、春の植え替え時に同様に切り戻しを行います。

増やし方(挿し芽、種まき)

挿し芽と種まきで増やすことが出来ます。

挿し芽

適期は5月~6月、9月です。

茎を7~8㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

種の出来にくい品種もあります。
また、自家採取の種では親株と同じ花が咲くとは限りません。

種まきの適期は、3月中旬~4月です。
暖地の場合は、秋の9月~10月中旬にもまくことが出来ます。

種が非常に細かいので、播種箱やピートバンに種が重ならないよう注意して蒔きます。
好光性種子のため、覆土はしません。
水やりは底面吸水で行い、発芽後、本葉が3~4枚程度になったらポット上げします。
ポットに根が回ったら定植して下さい。

秋まきした場合は、ポット苗のまま日当たりの良い場所で霜を避けて冬越しします。
夜間に冷え込むような場合は、室内に取り込んで下さい。
または、室内のよく日の当たる場所で冬越しをさせます。

病気・害虫

灰色かび病

6月~7月の多湿な時期に発生しやすい病気です。
花柄や枯れ葉を取り除いて、株を清潔な状態に保つことで、発生を抑制することが出来ます。
また花に水がかかることでも発生しやすくなるので、花の咲いている時期は水がかからないよう注意します。

アブラムシ

新芽や蕾に発生しやすい害虫です。
アブラムシはウイルス病を媒介することがあるので、発生した場合は速やかに駆除して下さい。

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