- 学名…Leucanthemum x superbum (Bergmans ex J.W.Ingram) D.H.Kent
- 和名…シャスタデージー
- 科名…キク科
- 属名…フランスギク属(レウカンテマム属)
- 原産国…園芸品種
- 花色…白
- 草丈…50㎝~80㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 9
シャスターデージーとは
シャスターデージーは、キク科フランスギク属(レウカンテマム属)の常緑多年草です。
フランスギク属の植物は、ヨーロッパ、北アフリカを中心に約20種が知られています。
その中の数種の交配を元に作出されたのが本種シャスターデージーです。
交配に利用されたのは4種のキク科植物で、1901年にアメリカの育種家ルーサー・バーバンク(Luther Burbank)によって作出されました。
バーバンクは思い描く理想のデージーの花を求め、1884年にフランスギク(Leucanthemum vulgare)の育成から手掛け選抜を繰り返します。
その後、フランスギクより花の大きいレウカンセマム・マキシマム(Leucanthemum maximum)を花粉を受粉させ、より大きな花を咲かせることに成功します。
さらにポルトガル原産のレウカンセマム・ラクストレ(Leucanthemum lacustre)の花粉を散布し、理想に近い花を作り出しました。
この花は大きくたくさんの花を咲かせ、病気に強く理想に近い花でしたが、バーバンクが求める真っ白のデイジーではありませんでした。
バーバンクはこれらのハイブリッドに日本のハマギク(Nipponanthemum nipponicum)の花粉を受粉させます。
ハマギクは日本固有種のキク科植物で、小さく真っ白な花を咲かせます。
交配した最初の世代には変化がありませんでしたが、その交配種を互いに掛け合わせた結果、より大きく強く、より美しく、真っ白な花を咲かせる種が生まれました。
作出までに17年、これが現在のシャスターデージーです。
「シャスターデージー」の名前は、カリフォルニア州にあるシャスタ山に由来します。
万年雪に覆われたこの山の近くで育成されたとも、純白の花を雪の白さに見立てたとも言われています。
シャスターデージーの花期は5月中旬~7月。
花期になると、伸びた茎の頂部に頭花(とうか)を咲かせます。
頭花とは、主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(とうじょうか)とも呼ばれます。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ぜつじょうか)と、中心部分の小さな管状花(かんじょうか)から作られた集合花です。
▼シャスターデージーの頭花
シャスターデージーの頭花は直径5~10㎝程度の大きさです。
舌状花は白色、管状花は黄色です。
※淡い黄色の舌状花を持つ品種もあります。
一重咲きの他、筒状花が花弁状に変化した八重咲き、筒状花が大きくなった丁字咲きなどがあります。
▼丁字咲きのシャスターデージー
根生葉はへら状、茎葉は互生し、長楕円形で深い緑色をしています。
▼シャスターデージーの茎葉の様子
花期以外の時期は根生葉を放射状に広げてこんもりと茂り、花期になると茎を伸ばして一斉に花を咲かせます。
草丈25㎝程度の矮性種から80㎝にもなる高性種などがあります。
▼たくさんの花を咲かせるシャスターデージー
耐寒性は高いのですが、暑さにやや弱い性質で、暖地では夏になると生育が止まり花が咲かなくなります。
種が販売されていることがあり、種からも容易に育てることが出来ます。
秋まきでは翌々年開花、春まきでは翌年開花になります。
関連図鑑
シャスターデージーが属するフランスギク属(レウカンセマム属)は、ヨーロッパ、北アフリカに約20種が分布しています。
かつてフランスギク属であったノースポール、ムルチコーレは、現在それぞれマウランセマム属、コレオステフス属に分離しています。
シャスターデージーの主な品種
フリーク(Leucanthemum x superbum ‘Freak!’)
羽のような純白の舌状花が何列にも並ぶ、花径7㎝前後の大きな花を咲かせます。
エンジェリナ(Leucanthemum x superbum ‘Engelina’)
細かい舌状花が無数に重なる千重咲き品種です。
サマースノーボール(Leucanthemum x superbum ‘Summer Snowball’)
白い舌状花が多数付く、純白の品種です。
ベッキー(Leucanthemum x superbum ‘Becky’)
草丈90~120㎝に成長する高性種。
花径7~10㎝程度の花を咲かせ大きく育ちますが茎が強く、倒れません。
シャスターデージーらしい古典的な有名品種です。
その他にもたくさんの品種が流通しています。
シャスターデージーの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
夏場の強い西日を嫌うので、暖地で庭植えの場合は、西日の当たらない場所で育てて下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植え、鉢植えともに、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月、9月中旬~10月上旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は高性種で30㎝程度、矮性種で20~25㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
生育旺盛なので、鉢植えの場合は毎年植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合も、大株になると根腐れを起こしやすいので、2年一度、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
花がら摘み
花が終わった花茎は、根元の部分から切り取って下さい。
増やし方(株分け、挿し芽、種まき)
株分け、挿し芽、種まきで増やすことが出来ます。
株分け
適期は植え替え時の、3月~4月、9月中旬~10月上旬です。
掘り上げた株を、1株に2~3芽が付くように分けて植え付けて下さい。
挿し芽
適期は5月~7月上旬です。
茎を10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の葉を取り除き水揚げをして、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
種まき
適期は4月中旬~5月、9月中旬~10月です。
秋まきでは翌々年開花、春まきでは翌年開花になります。
発芽温度は15℃~20℃です。
種は、播種箱やポットに重ならないように注意してバラまきます。
覆土は2㎜程度。
播種箱にまいた場合は、本葉が2~3枚程度になったらポット上げして下さい。
ポットに根が回ったら花壇や鉢に定植します。
秋まきで苗が小さい場合は、霜よけを設置したり、株元をマルチングしておくと安心です。
病気・害虫
アブラムシ
春先にアブラムシが発生することが多いです。
発生した場合は薬剤などで駆除して下さい。