- 学名…Brachyscome
- 和名…ヒメコスモス(姫秋桜:Brachyscome iberidifolia)
- 別名…ブラキスコメ、姫小菊
- 科名…キク科
- 属名…ヒメコスモス属
- 原産国…オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド、ニューギニア
- 花色…ピンク、紫、黄、白
- 草丈…15㎝~30㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:9 to 11(品種による)
ブラキカムとは
ブラキカムは、オーストラリア、タスマニア、ニュージーランド、ニューギニアに分布するキク科ヒメコスモス属の多年草、または一年草です。
ヒメコスモス属には約97種の植物が分類されていますが、全ての種がオーストラリアに分布しており、一部の種がタスマニア、ニュージーランド、ニューギニアでも見られます。
観賞用として広く栽培されおり、数多くの品種が流通しています。
交配親にはブラキカム・グラミネア(Brachyscome graminea)や、ブラキカム・イベリディフォリア(Brachyscome iberidifolia)などがあります。
前者のグラミネアはオーストラリア南東部とタスマニアに分布する多年草で、海岸から山地に至る疎林に自生しています。
※旧学名アングスティフォリア(Brachyscome angustifolia)
後者のイベリディフォリアは、オーストラリア西部に分布する一年草で、粘土質の土壌や砂地、平野や湿地など広範囲の様々な土壌で自生が見られます。
両種ともに長年に渡って栽培されており、様々な花色の品種が作出されています。
日本国内で主に流通するのは多年草タイプのグラミネアの系統で、一年草タイプのイベリディフォリア系統はあまり流通していません。
ブラキカムの花期は3月~11月。
花期になると、分枝した茎の頂部に1個の頭花(トウカ)を咲かせます。
頭花とは、主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ゼツジョウカ)と、中心部分の小さな管状花(カンジョウカ)から作られた集合花です。
▼ブラキカムの頭花
ブラキカムの頭花は直径2㎝程度の大きさです。
舌状花は紫色~ピンク色、黄色、白色、管状花は黄色~黒茶色です。
管状花は外側から中心へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟して花粉を出し、その後で雌しべが伸びて成熟します。
▼ブラキカムの管状花
▼ブラキカムの管状花の雄しべと雌しべ
葉は根生葉と茎葉があり、根生葉は放射状に広がります。
茎葉は羽状に裂ける品種が多く、糸状に細い品種もあります。
花を咲かせながら草丈15~30㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるブラキカム
夏の高温多湿の環境がやや苦手ですが、基本的には丈夫な性質です。
花期が長く、次々と花が開花します。
ブラキカムの主な品種
ブラキカム・フレスコキャンディ(Brachyscome ‘Fresco Candy’)
イスラエルの育苗会社によって作出された、花がやや大きいのが特徴の有名品種です。
フレスコシリーズには他に、紫色の花を咲かせるバイオレットがあります。
姫小菊(ヒメコギク:Brachyscome hybrid)
ハルディンから販売されているブラキカムの品種群です。
矮性で株はこんもりとまとまり、花付きが良く、花期が長いのが特徴です。
紫~赤紫、ピンク、淡ピンクなどの花色が並びます。
ブラキカム・イベリディフォリア(ヒメコスモス:Brachyscome iberidifolia)
オーストラリア南東部、およぴタスマニアに分布する一年草です。
原種の花は直径2.5㎝程度で、舌状花は青~青紫、管状花は黄色~黒茶色です。
葉は羽状に細かく裂け、裂片は線状に細くなっています。
秋に種をまき、春に花を咲かせます。
ブラキカムの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
夏場の高温多湿を嫌うので、庭植えでは午後から日陰~半日蔭になるような場所に植えると、夏場の管理が比較的容易になります。
夏越し、冬越し
夏越し
庭植えの場合は、真夏は遮光して半日蔭になるようにします。
鉢植えの場合は、午後から日陰になるような半日蔭の場所に移動して管理します。
冬越し
寒さに強い性質ではありません。
庭植えの場合は、霜よけを設置して下さい。
鉢植えの場合は、霜の当たらない軒下などに移動します。
寒さの厳しい地域では、室内に取り込んで冬越しします。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら、水やりを行って下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を施します。
鉢植えの場合は、長い花期の間、肥料を切らさないよう、薄めの液体肥料を定期的に施します。
植え付け、植え替え
適期は春の3月~4月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土にパーライトを1割ほど混ぜて使うか、赤玉土6・腐葉土3・パーライト1などの水はけの良い配合土を使います。
植え替え
多年草タイプで鉢植えの場合は、毎年植え替えを行います。
根鉢を軽く崩し、新しい用土で一回り多きな鉢に植え付けます。
必要であれば、株分けを行います。
種まき
一年草タイプのイベリディフォリア系統は、種まきで育てることが出来ます。
種まき
適期は9月下旬~10月です。
播種箱に種をまき、覆土はごく薄く。
本葉が3~4枚になったら、ポット上げします。
冬の間は霜を避けて育苗し、春に植え付けます。
花がら摘み
花が終わったら、出来れば早めに摘み取ります。
切り戻し
7月頃に開花が鈍ったら、全体を軽く刈り込み、夏場の蒸れを予防します。
増やし方
株分けと挿し芽で増やすことが出来ます。
株分け
植え替え時に、地下茎や茎が伸びて子株が出来ているようであれば、株分けが出来ます。
切り離して、植え付けて下さい。
挿し芽
しっかりした茎を5㎝程度の長さに切り取って、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしてから、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
うどんこ病
風通しの悪い環境で発生しやすくなります。
風通しを良くして、発生を抑制して下さい。
また、ナメクジの食害が時々あります。
見つけ次第、対処して下さい。