- 学名…Punica granatum L.
- 和名…ザクロ(石榴)
- 科名…ミソハギ科
- 属名…ザクロ属
- 原産国…西アジア
- 花色…朱色
- 樹高…2m~6m
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 11
ザクロとは
ザクロは、西アジアに分布するミソハギ科ザクロ属の落葉小高木です。
分布域はトルコ、ジョージア、アゼルバイジャンからヒマラヤにあり、標高2700mまでの乾燥気味の石灰岩の土壌に自生しています。
地中海地域で数千年に渡って栽培されており、17世紀にはアメリカに導入されています。
ヨーロッパや中東ではザクロジュースは古くからある定番のジュースで、現在ではアメリカやカナダでも広く流通しています。
その他、果肉や種子が料理にも利用されます。
日本には平安時代に中国から渡来しており、東北地方から沖縄まで広く植栽されています。
食用ではなく主に観賞用として栽培されています。
ザクロの花期は6月。
花期になると、枝先に朱色の花を咲かせます。
花は直径5㎝程度の大きさで、花弁は通常6個あり、薄く、しわがあります。
※花弁は5~9個あることがあります。
▼ザクロの花
萼は肉厚な筒状で光沢があり、先が6裂(5~9裂)しています。
▼ザクロの萼筒と花
▼ザクロの萼
雄しべは多数、雌しべは1個。
※雌しべの退化した不完全花(雄花)が付くことがあります。
▼ザクロの雄しべと雌しべ
果実は果托が発達したもので5~12㎝の球形、先端に萼片が残ります。
▼ザクロの果実
果実は熟すと不規則に裂開し、種子が顔を出します。
▼熟したザクロの果実
種子は透き通った淡紅色の種衣(しゅい)で覆われています。
種衣は甘酸っぱい液を多く含み、食用になります。
▼ザクロの種子
葉は対生し、長さ2~5㎝、幅1~2㎝の長楕円形です。
全縁で表面には光沢があります。
▼ザクロの葉の様子
樹皮は褐色で不規則にはがれ、樹高2~6mに成長します。
当年枝には4陵があり、短枝の先はトゲ状になります。
▼大きく育ったザクロの木
病気や害虫の心配があまりなく、基本的に丈夫な性質で育てやすい樹木です。
開花期が梅雨と重なるため、着果数は少なくなる傾向にあります。
また、果実に虫が入りやすいので、確実に収穫するには袋掛けや薬剤散布が必要になります。
ザクロの主な品種
ザクロは中東、ヨーロッパで広く栽培される果樹で、500を超える品種が登録されています。
日本では食用として利用されることは少なく、流通する品種もごくわずかとなっています。
ハナザクロ
主に花を観賞するザクロの品種を総称してハナザクロと呼びます。
多くは八重咲きの品種のためヤエザクロとも呼ばれます。
結実しない品種が大半です。
性質、育て方は基本種と同じです。
ヒメザクロ(Punica granatum ‘Nana’)
矮性の園芸品種、または変種と考えられています。
ヒメザクロは、1723年頃にスコットランドの園芸家フィリップ・ミラーが、自然発生の矮性変種を栽培したものが起源となっています。
1762年にはリンネが名前を付け、1803年には分類学者であるジョン・シムズによって絵に残されています。
その後長年に渡り、種子や挿し木によって繁殖され現在に至ります。
現在流通するヒメザクロが、フィリップ・ミラーが栽培した当時の変種と同じかどうかは不明ですが、古くから愛され続けている品種であることは確かです。
日本には江戸時代に中国から渡来しています。
樹高70~100㎝に成長します。
花は一重の他、八重咲きもあり、また花色も黄色や白い花を咲かせるものもあります。
ザクロの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
陽樹で日光を好みます。
日陰の場所では生育に影響が出るので、よく日の当たる場所で育てて下さい。
耐寒性
Hardiness Zone 8 ~11の地域で栽培が可能です。
(冬場の最低気温の平均が-12.1℃~-9.4℃以上)
詳細は日本のHardiness Zone Mapを参照下さい。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、春と秋に有機肥料、または即効性化成肥料を施します。
鉢植えの場合は上記に加え、花後にも肥料を施して下さい。
窒素分が多いと葉ばかりが茂り、花付き実付きが悪くなるので、リン酸やカリが多く入っているものを選びます。
勢いよく枝が伸び、花付きが悪いようであれば肥料が多すぎるので、減らします。
植え付け、植え替え
適期は落葉期の12月~2月です。
植え付け
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍の植穴を掘り、用土に腐葉土をたっぷりと混ぜ込みます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて土と根を馴染ませます。
必要であれば支柱を立てて下さい。
鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、2年に一度を目安に植え替えを行います。
根鉢の土を軽く落とし、一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けて下さい。
剪定
剪定の時期は落葉期の12月~2月です。
ザクロの花は前年枝の枝先から数節に付きます。
長く勢いよく伸びた枝や、細い枝には花芽が付きにくい性質です。
全体を刈り込むような剪定をすると花芽を落とすことになるので注意して下さい。
剪定は徒長枝や不要な枝、込み入った枝や枯れ枝を取り除く程度の留めます。
株元からひこばえがよく伸びるので、こちらは気づいた時に切り取って下さい。
人工授粉
開花の時期に長雨が重なると受粉がうまくいかないことがあります。
実付きが悪い場合などは人工授粉を行うと、結実する確率が上がります。
晴れた日に柔らかい筆などで花粉が出ている花の中を撫で、花粉を雌しべの柱頭に付けます。
増やし方
挿し木で増やすことが出来ます。
適期は春の3月中旬~4月上旬です。
剪定で落とした枝を使うことが出来ます。
枝を2~3節の長さに切り、挿し穂にします。
水揚げをしっかりとし、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。