別名…ゲラニウム、ゼラニューム、テクジクアオイ
科名…フウロソウ科
属名…テンジクアオイ属(ペラルゴニウム属)
原産国…南アフリカ
花色…赤、ピンク、オレンジ、白、紫、複色
草丈…20㎝~70㎝
日照…日なた
難易度…

USDA Hardiness Zone:10 to 11
ゼラニウムとは
ゼラニウムの仲間は、南アフリカ、オーストラリア、シリアなどに約280種が分布するフウロソウ科の植物です。
その形態は、一年草から多年草、低木状のものなど、多岐にわたります。
その中で一般に「ゼラニウム」として流通しているものは、南アフリカケープ地方原産のペラルゴニウム・ゾナレ種(Pelargonium zonale)と、インクイナンス種(P. inquinans)を主な交配親として作出された品種群で、ホルトルム(P. × hortorum)と呼ばれています。
ゼラニウムには多くの品種があり、半ツル性の「アイビー・ゼラニウム」、葉茎に芳香がある「センテッド・ゼラニウム」、パンジーのような小さな花を咲かせる「パンジー・ゼラニウム」などが流通しますが、ここでは一般的に「ゼラニウム」と呼ばれているホムトルムについて紹介しています。
ホルトルムの交配親となった両種は、18世紀にはイギリスに渡り交雑種が生み出されています。
その後、北欧各国で盛んに品種改良が行われ、第二次大戦後にはアメリカでも品種作成のブームが到来し、非常に多くの品種が作出されました。
日本には1868年前後に渡来し、昭和初期に盛んに品種改良が行われています。
ゼラニウムの主な花期は4月~11月。
※温度があれば年間を通して開花します。
花期になると、上部の茎の葉の付け根から長い花柄を伸ばし、散形花序を形成して多数の花を咲かせます。
花は花径3~5㎝程度の5弁花で、中央には10本の雄しべと、1本の雌しべがあります。
雄しべと雌しべは開花当初は寄り添っており、雌しべは見えません。
雄しべが先に成熟して花粉を出した後、雄しべの間から雌しべが顔を出して成熟し、花柱の先端を開きます。
雌しべが成熟する頃には、雄しべの葯の多くは脱落しています。
▼ゼラニウムのしべの様子
花色は赤、白、オレンジ、ピンク、紫、複色。
一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。
▼八重咲きのゼラニウム
葉は長い葉柄を持ち、円形で縁に浅い鋸歯があり、茎に互生します。
品種によっては掌状または羽状の切れ込みを持つものもあります。
葉に白や黄色の斑が入る品種も数多くあり、花色と共にバラエティに富んでいます。
▼ゼラニウムの葉
葉茎には軟毛が密生しており、独特の匂いがあります。
茎は分枝しながら草丈20~70㎝程度に成長します。
茎は経年と共に木質化します。
寒さにはやや弱い性質ですが、関東以西の暖地であれば戸外での冬越し可能です。
暖かい室内で育てれば、冬の間も花を咲かせます。
※現在はペラルゴニウム属に分類されていますが、かつてはゼラニウム属に属しており、その名残から「ゼラニウム」という名で呼ばれています。
本来のゼラニウム属は園芸上は「ゼラニウム」と呼ばれることはありません。
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本来のゼラニウム属はフウロソウ、またはゲラニウムと呼ばれています。
ゼラニウムの主な品種
【アメリカーナ】シリーズ
栄養系品種のゼラニウムです。
生育旺盛で花が大きく、育てやすいシリーズです。
星咲きゼラニウム
近年よく流通するようになった変わり咲き品種で、花弁が深く切れ込んで、星のような形の花を咲かせます。
「ファイヤーワークス」や「スターテル」などのシリーズが有名です。
もみじ葉ゼラニウム
紅葉のような掌状の葉形と葉色が美しい品種です。
秋にはさらに美しく発色します。
花色は赤、ピンク。
寄せ植えのアクセントとしても利用されます。
他にも様々な花姿、葉姿の品種が流通しています。
ゼラニウムの近縁種
ゼラニウムが属するテンジクアオイ属は、南アフリカ、オーストラリア、シリアなどに約280種が分布しており、本種以外では以下のようなものが栽培されています。
ゼラニウムの育て方
栽培環境
日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。
真夏の暑さで葉が白っぽくなったり株が弱ることがありますが、秋になると回復します。
夏場の強い西日が避けられる場所だと最適です。
夏越し・冬越し
夏越し
高温過湿の環境が苦手です。
夏場はできるだけ涼しい環境で育てて下さい。
鉢植えの場合は、梅雨の時期には軒下などの雨の当たらない場所に移動して下さい。
庭植えの場合は、梅雨の時期に切り戻し、蒸れを予防します。
冬越し
関東以西の暖地であれば、戸外で冬越し可能です。
鉢植えの場合は、霜の当たらない軒下などに移動して下さい。
庭植えの場合は、株元をマルチングし霜よけを設置して下さい。
寒冷地の場合は、霜が降りる前に室内に取り込んで、日の当たる暖かい場所で管理します。
※品種によって耐寒性に差があります。
比較的寒さに強い品種であれば、多少の霜に当たっても春に再び芽吹きます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面がよく乾いてからたっぷりと。
過湿な環境が続くと、根や葉が腐ってしまいます。
水のやりすぎには注意して下さい。
冬越し中はやや乾燥気味に管理します。
肥料
庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は4月~6月、9月~11月の間に、緩効性化成肥料の置き肥をして下さい。
液体肥料を使う場合は、月に3回程度施します。
鉢植えの場合も同様です。
植え付け・植え替え
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土や緩効性化成肥料を混ぜ込みます。
弱アルカリ性の土壌を好むので、苦土石灰でpH調整をしておいて下さい。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を利用するか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2の混合土に緩効性化成肥料を入れて用土を作ります。
植え替え
適期は4月~5月、9月です。
鉢植えの場合は、根詰まり防止のため毎年植え替えを行ってください。
根鉢を崩し、根が伸びすぎているようであれば、1/3程度切って植え替えを行います。
庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。
切り戻し
草姿が乱れたら切り戻しを行います。
切り戻しの高さは好みでよく、脇芽のついた節の上で切り戻します。
花がら摘み、枯葉取り
出来れば、終わった花はその都度取り除き、花房の全体が咲き終わったら花茎の付け根から取り除いて下さい。
枯れた葉があれば同様に取り除きます。
増やし方(挿し木)
挿し木(挿し芽)で増やすことができます。
挿し木(挿し芽)
適期は春と秋です。
3節ほどついた枝を用いますが、先端に新芽がついたものを使うと成功率が上がります。
下の節の葉を取り除き、葉を取り除いた節が埋まるように挿し木用土に挿して下さい。
ゼラニウムの茎は水分を多く含んでいるため、水揚げの必要はありません。
挿した後は、水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
病気・害虫
灰色カビ病
枯れた花や葉はその都度取り除き、風通しの良い環境で管理することで発生の予防に努めて下さい。
発生した場合は、病変を取り除き殺菌剤を散布します。
ヨトウムシ、ハマキムシ
葉や茎が食害されていたり、フンを見つけたらヨトウムシが発生しているかもしれません。
葉の一部が巻いていたり引きつっていれば、ハマキムシです。
見つけた場合は、捕殺するか薬剤で対処して下さい。