多年草・宿根草

チョコレートコスモス

  • 学名…Cosmos atrosanguineus (Ortega) Voss.
  • 和名…ベニコスモス(紅秋桜)
  • 科名…キク科
  • 属名…コスモス属
  • 原産国…メキシコ
  • 花色…黒褐色~暗赤色
  • 草丈…30㎝~60㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 9

チョコレートコスモスとは

チョコレートコスモス

チョコレートコスモスは、メコシコ原産のキク科コスモス属の多年草です。
自生地はメキシコ中央部のグアナフアト州、ケレタロ州、サン・ルイス・ポトシ州にあり、標高1800~2450mの松やナラの林の中で見られます。

チョコレートコスモスとして流通しているのは、気難しい性質の原種チョコレートコスモス(Cosmos atrosanguineus)もありますが、育てやすいキバナコスモスとの交配種の方が一般的です。
日本へは大正時代に渡来し、近年になって浜名湖花博で取り上げられるなど急速に人気が高まっています。


野生種は絶滅したと言われていたチョコレートコスモスですが、2007年に始められたメキシコの植物学者によるコスモス属の研究プロジェクトによって新たに野生種が発見されています。

長い間絶滅したと考えられていたため、現在流通している原種チョコレートコスモスは1902年に導入された一株を挿し木によって増やしたクローン株となっています。

導入されたチョコレートコスモスは自家受粉では結実しない、あるいは結実しても正常な種子を形成しない性質(自家不和合性)を持っていました。
そのため、種で増やすことが出来ず、挿し芽、あるいは球根状に肥大した根を分球することによって増やされた株となっています。

※チョコレートコスモスは結実しないとされていましたが、ニュージーランドの遺伝学者が数十年に渡り種子から育てていたことが判明しています。
自家不和合性は、流通するクローン株の起源である個体が持つ性質であると考えられます。


チョコレートコスモスの花期は5月~11月。
※春から秋まで咲く品種と、秋咲きの品種があります。

花期になると、細く伸びた茎の頂部に、花径3~4.5㎝程度の頭花(とうか)を咲かせます。

頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
一輪の花に見える部分は、外周の花弁のような舌状花(ゼツジョウカ)と、中心部分の小さな管状花(カンジョウカ)から作られた集合花です。

▼チョコレートコスモスの頭花

チョコレートコスモスの頭花

舌状花は8~10個で、暗赤色~暗褐色~黒褐色です。
管状花は多数あり、外側から咲き進みます。

管状花は筒状で、先が小さく5裂しています。

▼チョコレートコスモスの管状花

チョコレートコスモスの管状花
多数の管状花から雌しべの柱頭が伸びている

花にはチョコレートを思わせる芳香があります。
これは、チョコレートの香り成分の一つであるバニリンが、チョコレートコスモスにも含まれるためです。
バニリンはバニラの香りの主要成分で、チョコレートの他にも多数の菓子類に使用されています。

▼チョコレートコスモスの花

チョコレートコスモスの花

キバナコスモスとの交配種では、赤い花を咲かせる品種もあります。

▼赤い花を咲かせるチョコレートコスモス

赤い花を咲かせるチョコレートコスモス

葉は長さ7~15㎝の大きさで羽状に分裂します。
小葉は長さ2~5㎝の披針形。

▼チョコレートコスモスの葉の様子

チョコレートコスモスの葉の様子

茎は褐色を帯び、花を咲かせながら草丈30~60㎝程度に成長します。

▼大きく成長したチョコレートコスモス

大きく成長したチョコレートコスモス

原種チョコレートコスモスは暑さ寒さに弱く、栽培の難易度は高めですが、一般的に流通している交配種は耐寒性、耐暑性ともにあり、栽培は比較的容易です。
冬には地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。

関連図鑑

チョコレートコスモスが属するコスモス属の植物は、熱帯~亜熱帯アメリカに約42種が知られています。
本種の他ではコスモス、キバナコスモスなどが栽培されています。

チョコレートコスモスの育て方

チョコレートコスモスの育て方

※春~秋まで咲く四季咲き品種と、秋咲きの品種があります。

栽培環境

日当たりが良く、風通しが良い環境が適しています。
日照時間が足りないと、徒長し、花付きが悪くなります。

原種チョコレートコスモスは高温多湿の環境が苦手です。
夏の間は半日蔭に移動するか、遮光するなどの対策をして下さい。

夏越し、冬越し

夏越し

原種チョコレートコスモスは、夏の直射日光に当たると葉が傷んでしまうことがあります。
鉢植えの場合は朝か夕方の短時間だけ日が当たる場所、または木漏れ日の下などに避難をして下さい。
庭植えで日を遮るものが無い場合は、遮光が必要になります。

交配種の場合は、特に対策の必要はありませんが、葉が枯れ込むようであれば、半日蔭に移動して下さい。

冬越し

花が終わったら、地上部を5㎝ほど残して刈り取ります。
庭植えの場合は、株元を腐葉土や敷き藁でマルチングするなどして、防寒対策を施します。

鉢植えの場合は、霜や凍結の心配のない場所に移動して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、生育期間中に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬越し中はやや乾燥気味に管理しますが、完全に乾かしてしまわないよう注意して下さい。
チョコレートコスモスの球根は乾燥に極端に弱く、完全に乾かしてしまうと枯れてしまいます。

肥料

庭植え、鉢植えともに、5月~10月の生育期に、緩効性化成肥料を控えめに施します。
肥料が多いと花付きが悪くなるので注意して下さい。

※原種チョコレートコスモスの場合は、真夏の7月~8月の間は肥料を与えないで下さい。

植え付け、植え替え

適期は4月~5月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、1~2年に一度の植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けます。

庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。

切り戻し

8月頃に切り戻しを行います。
花期が春~秋の品種は、切り戻すことで秋にもたくさんの花を咲かせます。
秋咲き品種は、切り戻すことでコンパクトに育てることが出来ます。

切り戻しの位置は根元から10~20cmの高さです。
各枝に葉が残るように注意します。

花がら摘み

花が終わったら、花茎ごと切り取ります。
こまめに花がらを摘むことで、風通しが良くなり、病気の発生を抑制することが出来ます。

増やし方(挿し芽、分球)

挿し芽と分球で増やすことが出来ます。

挿し芽

原種チョコレートコスモスは5月中旬~6月中旬、交配種は5月~8月が適期です。

芽の先端から2節ほどの長さで切り取り、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

分球

切り口から腐りやすいので、お勧めの方法ではありません。

適期は4月です。
掘り上げた球根を、芽を確認してナイフなどで2~3芽ずつに切り分けます。
ナイフは切れ味の良いものを使い、ウイルスなどの感染を防ぐために消毒しておきます。

病気・害虫

うどんこ病

春と秋に発生しやすい病気です。
風通しが悪いと特に発生しやすくなるので、注意して下さい。

ホコリダニ

発生すると葉が委縮したようになり、新芽が展開しなくなります。
多発した場合は切り戻しが必要です。

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