- 学名…Astrantia major L.
- 和名…アストランチア
- 科名…セリ科
- 属名…アストランティア属
- 原産国…ヨーロッパ
- 花色…ピンク、赤、白
- 草丈…40㎝~80㎝
- 日照…半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:4 to 7
アストランティアとは

アストランティアは、ヨーロッパ原産のセリ科アストランティア属の植物です。
アストランティア属には約10種の植物が分類されていますが、栽培されるのは主にアストランティア・マヨール(Astrantia major)を元に品種改良された園芸品種です。
アストランティア・マヨールはヨーロッパ・中央部から東部にかけて分布する多年草で、森林の中の空き地や、牧草地、草原、河川に近い場所などに自生しています。
ヨーロッパでは古くから栽培されており、イングリッシュガーデンでは必ずと言っていいほど植栽されます。
日本での歴史は浅く、切り花や花壇用の苗が流通するようになったのはごく最近です。
冷涼な気候の水辺などに群生する植物で、暑さに弱く、暖地での夏越しは困難です。
アストランティアの花期は品種によってやや異なりますが、5月中旬~7月。
花期になると、長く伸ばした茎を上部で分枝させ、花序を出し多数の花を咲かせます。
花序は直径2~3㎝の傘形です。
▼アストランティアの花序

花弁のように見える部分は総苞(そうほう)で、実際の花は中心部分に小さく半球状に集まって咲いています。
※総苞(そうほう)…花序の基部にある苞葉のことを総苞片(そうほうへん)と呼び、その集合体を総苞と呼ぶ。
▼アストランティアの総苞と花

花は小さな5弁花で、外側が雄花、中心部分が両性花となっています。
▼アストランティアの花

花色は白、ピンク、赤。
▼白いアストランティア

根生葉は長い葉柄を持ち掌状で深く3~7裂。
分枝した上部の茎に付く葉は、細長く小さく3裂しています。
▼アストランティアの葉の様子

葉に白い斑が入る品種もあります。
※夏以降は普通の緑葉になります。
▼斑入り品種サニングデール・バリエゲイテッド

茎は真っ直ぐに伸びて上部で分枝し、花を咲かせて草丈40~80㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるアストランティア

寒さには強い性質ですが、暑さには弱く、関東以西の平地では夏越しの難易度は高めです。
寒冷地では乾燥にだけ注意すれば、丈夫で育てやすい植物です。
アストランティアの育て方

栽培環境
涼しい水辺に自生する植物で、冷涼な気候で適度な湿り気のある土地を好みます。
本来は日当たりを好みますが、半日陰程度の日照があれば育てることが出来ます。
寒冷地では日なたから半日陰の場所まで適応します。
全くの日陰では花付き、生育ともに悪くなるので、半日程度は日の当たる場所で育て下さい。
その他の地域では、出来るだけ涼しい半日陰の場所が適しています。
特に夏場に強い西日が当たるような場所は避けて下さい。
夏越し
地温の上昇を防ぐため株元をマルチングします。
半日陰の出来るだけ涼しく風通しの良い場所で管理して下さい。
水やりは朝か夕方に行います。
日中に水やりをすると水温の上昇から、根が傷んだり根腐れを起こしてしまうので注意して下さい。
水やり
乾燥に弱い性質です。
鉢植えの場合は、用土が乾き始めたらたっぷりと水やりをして下さい。
庭植えの場合は、乾燥が続くようなら水やりを行います。
肥料
庭植え、鉢植えのともに、春と秋に緩効性化成肥料を株元に置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月中旬~4月、10月上旬~11月下旬です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株元をバークチップや腐葉土で覆ってマルチングしておくと、地温の上昇や乾燥を防ぐことが出来ます。
鉢植えの場合は、市販の山野草の培養土を使うか、鹿沼土4・腐葉土3・軽石3などの配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。
庭植えの場合は、古株になると生育、花付きともに悪くなるので、3~4年を目安に株分けを兼ねて植え替えを行います。
増やし方(株分け、種まき)
株分け、種まきで増やすことが出来ます。
株分け
適期は3月中旬~4月、10月上旬~11月下旬です。
植え替え時に掘り上げた株を、数芽ずつの塊に分けて植え付けます。
あまり小さく分けすぎると花が付かないので注意して下さい。
種まき
適期は秋です。
発芽率が悪く低温処理が必要なため、寒冷地以外では難しい種まきです。
冬の間に根雪に覆われるような寒冷地では、日当たりの良い場所に直まきしておくと、春から夏までの間に発芽します。
発芽率はあまりよくないようですが、こぼれ種でも発芽するそうです。
それ以外の地域では種まきの難易度は高く、普通にまいたのではまず発芽しません。
寒冷地と同様に、種に厳しい冬を体験させる必要があります。
湿らせたキッチンペーパーに種を包み、乾燥しないようにビニールなどに入れて、冷蔵庫のチルド室などで1~3か月間保管します。
その後、発根した種をまいて育苗して下さい。
病気・害虫
セリ科の植物によくみられる、キアゲハやクロモンキノメイガなどの幼虫が葉を食害することがあります。
見つけ次第捕殺して下さい。