- 学名…Nemesia
- 科名…ゴマノハグサ科
- 属名…アフリカウンラン属(ネメシア属)
- 原産国…アフリカ南部
- 花色…青、ピンク、紫、白、黄、赤、複色
- 草丈…10㎝~40㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:
ネメシアとは
ネメシアは、ゴマノハグサ科アフリカウンラン属の一年草、または多年草です。
アフリカウンラン属(ネメシア属)は、南アフリカを中心としたアフリカ南部に約69種が知られています。
アフリカウンラン属の植物の90%以上は南アフリカ固有種で、大半の種は南アフリカの西部から南部にかけて分布しており、一部がナミビアに分布しています。
花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。
以前はネメシアと言えば秋に種を蒔いて春に花を咲かせる秋まき一年草でしたが、近年では夏越しが比較的容易な多年草タイプが「宿根ネメシア」として数多く流通するようになりました。
主に栽培されるのは一年草であるウンランモドキ(Nemesia strumosa)やネメシア・ケイランサス(Nemesia cheiranthus)、多年草のシュッコンネメシア(Nemesia caerulea)やネメシア・デンティキュラータ(Nemesia denticulata)などから作出された園芸品種です。
ネメシアの花期は3月~6月、多年草タイプは秋の10月~12月にも花を咲かせます。
花期になると、分枝した茎の頂部に花序を出し、小さな唇形花(しんけいか)をまとまって咲かせます。
※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
▼ネメシアの唇形花
花は直径1.5~3㎝程度の大きさで、上唇は4裂、下唇は浅く2裂、または大きな1枚で、下唇の中央は隆起しています。
▼ネメシアの上唇と下唇の様子
花の基部は筒状になっており、後ろに距(キョ)が突出します。
※距(きょ)…花弁や萼片の基部から突き出ている袋状の部分。
内部に蜜腺を持つものが多い。
▼ネメシアの距
雄しべは4個、雌しべは1個、花冠の筒部の基部に付いています。
花色は青、ピンク、紫、白、黄、赤、複色。
花期の間は次々と花を咲かせ、最盛期には株が花で覆われます。
▼様々なネメシアの花
葉は対生し披針形~卵形で、多くは無柄です。
縁に鋸歯があることが多く、品種によっては全縁です。
茎は分枝して花を咲かせながら、草丈10~40㎝程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるネメシア
基本的に丈夫な性質ですが、耐暑性はあまり高くありません。
多年草タイプであっても暖地では高温多湿の環境から枯れてしまうこともあります。
よく似た花を咲かせる植物にディアスキアがあります。
ディアスキアはネメシアと同じく南アフリカ原産の植物で、性質もよく似ています。
ネメシアの主な品種
ネメシア(一年草タイプ)
主にウンランモドキ(Nemesia strumosa)を元に改良された品種群です。
花期は3月~6月で、赤、紫、ピンク、黄色、オレンジなどのカラフルな花色と大きめの花が特徴です。
ネメシア・KLM(Nemesia strumosa ‘KLM’)
イギリスで作出されたバイカラーの品種です。
KLMというのは「KLMオランダ航空」のことで、この品種の青と白の配色がオランダ航空を連想させることから付けられています。
ネメシア・デニッシュフラッグ(Nemesia strumosa ‘Danish Flag’)
紅白のバイカラーが美しい品種です。
シュッコンネメシア
ネメシア・カエルレア(Nemesia caerulea)やネメシア・デンティキュラータ(Nemesia denticulata)などの多年草タイプのネメシアを元に改良された品種群です。
※シュッコンネメシアはネメシア・カエルレアに付けられた和名ですが、デンティキュラータもシュッコンネメシアの名前で呼ばれることがあります。
花期は3月~6月、10月~12月。
花色は青、紫、白、ピンク。
淡い色合いの花が多く派手さはありませんが四季咲き性が強く、3℃程度の気温があれば冬の間も開花します。
花は一年草タイプに比べるとやや小さめです。
比較的耐暑性があり、夏場は半日蔭の涼しい場所で夏越し可能です。
ネメシア・ケイランサス・マスカレード(Nemesia cheiranthus 'Masquerade')
南アフリカに分布するネメシア・ケイランサスから作出された品種です。
白い上唇と黄色い下唇のコントラストが美しく、細い上唇がユニークです。
花には甘い香りがあります。
一年草タイプです。
他にも数多くの園芸品種が流通しています。
近年では一年草タイプと宿根ネメシアの交雑種も作出されています。
ネメシアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
多湿な環境を嫌うので、夏越しを考えているなら鉢植えの場合は、素焼きの鉢がオススメです。
雨に当たると花が傷むことがあるので、開花中は雨の避けられる場所が理想的です。
夏越し、冬越し
夏越し
花が咲き終わったら、1/2程度の高さで切り戻し、風通しが良い半日蔭の場所で管理します。
雨が避けられる場所だと理想的です。
冬越し
宿根ネメシアの耐寒温度は-3℃程度です。
関東以南の暖地であれば戸外での冬越しが可能です。
一年草タイプのネメシアは、寒さに弱い性質のため、霜の心配の無い軒下などの日当たりの良い場所で管理して下さい。
寒波が来る場合などは、室内に取り込んだ方が安全です。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
肥料
庭植えの場合は、元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥の必要はありませんが、夏越し株には秋の9月~10月の間に、緩効性化成肥料を置き肥して下さい。
鉢植えの場合は、3月~6月、9月~10月の間に、薄めの液体肥料を2週間に1回程度施して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月~4月、9月下旬~11月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)2などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
宿根ネメシアは、年に一度、植え替えると生育がよくなります。
根鉢を軽く崩して、一回り大きな鉢に植え付けて下さい。
花がら摘み
咲き終わった花は摘み、咲き終わった花茎は元から切り取って下さい。
切り戻し
花のピークが過ぎた頃に、草丈の1/2程度の高さで切り戻すと、脇芽が伸びて次の花を咲かせます。
増やし方(挿し木、種まき)
挿し木、種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
挿し木(挿し芽)
適期は5月~6月、9月~10月です。
茎を2~3節程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
種まき
種の採取
花後にハートの形をしたサヤが出来ます。
種が熟すとサヤが茶色くなって上部が開くので、採取して下さい。
種まき
適期は10月頃です。
播種箱に清潔な用土を入れ、種をバラまきます。
発芽温度は15℃~20℃。
種は好光性のため、覆土はごく薄く。
発芽までは乾かさないように管理し、本葉が3~4枚程度になったらポット上げして下さい。
冬越しは鉢植えにして霜の当たらない場所で管理するか、庭植えの場合は、霜よけを設置して下さい。
病気・害虫
灰色かび病
葉茎が溶けるように腐り、灰色のカビに覆われます。
多湿な環境で発生しやすくなるので、長雨の時期は風通しの良い場所で管理するようにして下さい。
また、葉茎に付着した花がらからも発生することがあるので、花柄を取り除き、常に清潔な状態を心がけます。