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ウツギ

  • 学名…Deutzia crenata Siebold et Zucc.
  • 和名…ウツギ(空木)
  • 別名…ウノハナ
  • 科名…アジサイ科
  • 属名…ウツギ属
  • 原産国…日本、朝鮮半島
  • 花色…白、ピンク
  • 樹高…1m~2m
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 8

ウツギとは

ウツギ

ウツギは、日本、朝鮮半島に分布するアジサイ科ウツギ属の落葉低木です。
日本では北海道、本州、四国、九州に分布しており、山野の林縁や雑木林などで自生が見られます。

美しい花を咲かせることから、日本の他、世界でも庭木や生垣として栽培されている花木です。
中国や北アメリカの一部地域では栽培を逸出してものが帰化植物として定着しています。

ウツギ(空木)の名前は、幹の中が空洞になっていることに由来しています。



ウツギの花期は5月~6月上旬。
花期になると枝先に花序を出し、花を咲かせます。
花序は長さ5~10㎝程度の円錐形で、多数の花が下向きに付きます。

▼ウツギの花序

ウツギの花序

花は白い5弁花で、花弁は長さ0.8~1.5㎝の倒披針形です。

▼ウツギの花の様子

ウツギの花

雄しべは10個、内5個は短くなっています。
雌しべは3~4個の花柱を持ちます。

▼ウツギの雄しべ

ウツギの雄しべ

雄しべには両側に幅の狭い翼(ヨク)が付いており、翼は先に向かって少しずつ広がり、先端は歯状に尖ります。

▼ウツギの雄しべの翼と雌しべの花柱

ウツギの雄しべの翼と花柱

果実は蒴果で、直径4~6㎜の椀形です。
先端は小さく窪んでおり、花柱が残ります。

種子は長さ2.5㎜程度の長楕円形で、片側に膜質の翼があります。

▼ウツギの果実

ウツギの果実

葉は対生し、長さ4~9㎝、幅2.5~3.5㎝の先が尖った楕円形~卵状披針形です。
縁には細かい棘状の鋸歯があります。

▼ウツギの歯の様子

ウツギの葉の様子

株立ちになり、樹高1~2mに成長します。

▼たくさんの花を咲かせるウツギ

たくさんの花を咲かせるウツギ

耐寒性、耐暑性に優れており、病害虫の発生もほとんどありません。
丈夫な性質で枝が良く伸びるので、毎年の剪定が必要になりますが、基本的に育てやすい花木です。

ウツギの主な品種と近縁種

シロバナヤエウツギ(Deutzia crenata f. candidissima)

シロバナヤエウツギ

花が白く、八重咲きになる品種(変種)です。
性質は基本種のウツギと大差ありません。

サラサウツギ(Deutzia crenata f. plena)

サラサウツギ

八重咲きの花の外側が紅紫色になる品種です。

⇒サラサウツギの詳しいページはこちら

サクラウツギ(Deutzia x hybrida ‘Strawberry Fields’)

サクラウツギ

中国原産の Deutzia longifolia と Deutzia discolor の交雑による園芸品種です。

濃い紅色から淡い紅色へとグラデーションする花弁が華やかです。
樹高1.5~2.5mほどに成長します。

性質はウツギと大差ありません。

ヒメウツギ(Deutzia gracilis)

ヒメウツギ

日本の関東地方以西、四国および九州に分布するウツギの近縁種です。

ウツギに比べると花がやや小さく、樹高も低く育つのが特徴です。
樹高は大きくなっても1m程度です。

庭木としてはウツギよりもよく利用されます。

⇒ヒメウツギの詳しいページはこちら

マルバウツギ(Deutzia scabra)

マルバウツギ

日本の北海道、本州、四国、九州に分布するウツギの近縁種です。

ウツギより葉が丸いのが特徴です。
花の中心部に、オレンジ色の花盤(かばん)が輪のように見えます。

樹高1~2m程度に成長します。

⇒マルバウツギの詳しいページはこちら

ウツギの育て方

ヒメウツギの育て方

栽培環境

日当たりの良く、水はけが良く、乾燥しすぎない環境を好みます。
環境に対する適応力が高く、半日蔭の場所や、西日が当たるような場所でも問題なく育ちます。

冬越し、夏越し

耐寒性、耐暑性があり、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

庭植えの場合は、落葉期の1~2月頃に、株の周辺に緩効性化成肥料や骨粉入りの油粕などの有機肥料を埋め込みます。

鉢植えの場合は、落葉期に緩効性化成肥料を施し、さらに花後にも同様の肥料を施します。

植え付け、植え替え

適期は厳冬期を避けた落葉期の11月~12月、2月~3月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、完熟堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んでおいて下さい。
根鉢の2~3倍の植穴を掘り、植え付けた後は水をたっぷりとやって根と土を馴染ませます。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)5・腐葉土2・黒土3の配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行います。

根鉢を軽く崩し、一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けて下さい。

剪定

勢いよく枝が伸びるので、放っておくと樹形が乱れます。
一年に1~2度、剪定を行ってください。

適期は花後すぐと、落葉期の11月~2月です。
ウツギの花芽は7月中旬以降に作られるので、基本的な剪定は花後すぐに行います。

伸びすぎた枝を切り詰め、混みあった枝を間引きます。
落葉期には、花後の剪定以降に伸びた徒長枝や混みあった枝を軽く整理します。

増やし方

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は、4月と6~7月です。
4月に行う場合は前年に伸びた枝、6~7月の場合はその年に伸びた枝を使います。

枝を10~15cm程度の長さに切り取って穂木にします。
下の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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