低木 庭木

フヨウ

  • 学名…Hibiscus mutabilis L.
  • 和名…フヨウ(芙蓉)
  • 科名…アオイ科
  • 属名…フヨウ属
  • 原産国…中国
  • 花色…ピンク、白
  • 樹高…1m~2m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 9

フヨウとは

フヨウ

フヨウは、中国原産のアオイ科フヨウ属の落葉低木です。
中国から渡来し、日本では古い時代から花木として栽培されています。
四国、九州、沖縄など温暖な地域では野生化しており、渓流沿いなどで見かけることがあります。

一般的に「フヨウ(芙蓉)」というと本種を指しますが、同時にハスの美称でもあることから、本種をモクフヨウ(木芙蓉)と呼び区別することもあります。


フヨウの花期は8月~9月。
花期になると、上部の枝の葉の付け根に、淡紅色~白色の花を咲かせます。
花は花径10~15㎝程度の5弁花です。

▼フヨウの花

フヨウの花

雄しべは花糸が癒合して筒状になり、雌しべを取り囲みます。
雌しべの花柱は上向きに曲がり、柱頭は5裂しています。

▼フヨウの雄しべと雌しべ

フヨウの雄しべと雌しべ

花は朝咲いて夕方には萎む一日花ですが、花期の間次々と途切れることなく開花します。
花色はピンク、白。
基本種の一重咲きの他、八重咲き品種もあります。

▼八重咲きのフヨウ

八重咲きのフヨウ

萼は杯状で深く5裂しており、萼の下には副萼があります。
副萼は10裂しており、裂片は線形です。
※副萼片は萼状総苞片(がくじょうそうほうへん)とも呼ばれます。

▼フヨウの萼と副萼

フヨウの萼と副萼

果実は長さ2.5㎝前後の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

▼フヨウの果実

フヨウの果実

果実は熟すと裂け、中の種子が零れます。
種子は腎形で粗い長毛が生えています。

▼フヨウの種子

フヨウの種子

葉は互生し、長さ10~20㎝の五角形状で、掌状に浅く3~7裂します。
基部は心形で、縁には鈍い鋸歯があります。

▼フヨウの葉の様子

フヨウの葉の様子

枝はよく分枝してこんもりと茂り、樹高1~2m程度に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるフヨウ

スイフヨウ
スイフヨウ

耐暑性が高く、丈夫な性質で育てやすい樹木です。
耐寒性はあまり高くありませんが、関東以西の暖地あれば戸外での冬越しが可能です。
ハマキムシやフタトガリコヤガなどの害虫が発生しやすいので、注意が必要です。

フヨウの主な品種

スイフヨウ(酔芙蓉:Hibiscus mutabilis cv. Versicolor)

スイフヨウ

八重咲きの変種で、花色が変化する美しいフヨウです。

朝咲き始めに白かった花が、時間の経過と共に淡紅色へと変化します。
スイフヨウ(酔芙蓉)の名前は、花色変化の様子を、お酒が進むと共に赤くなる顔に見立てたものです。

育て方は基本種のフヨウと同様です。

スイフヨウの花色が変化する仕組み

スイフヨウ

スイフヨウの花が赤く染まるのは、アントシアニンという色素の働きが影響しています。
アントシアニンはスイフヨウに限らず、植物の果実や花、赤い色をしたものに含まれる色素です。

アントシアニンは紫外線により合成が促進されます。
紫外線は植物にとっても有害で、紫外線に当たると体の中に活性酸素が作られます。
活性酸素は生体にダメージを与えますが、植物の持っている緑色の色素、クロロフィルなどが抗酸化作用でそのダメージから体を守っています。

花には十分な葉緑素がありません。
そこで葉緑素と同じように抗酸化作用のあるアントシアニンを合成して、紫外線のダメージから体を守っているのです。

スイフヨウの花が時間と共に赤く染まっていくのはこのためです。
紫外線に当たらなければ、花は赤く染まりません。

▼淡紅色に変化したスイフヨウ

スイフヨウ

アルミホイルなどを被せて太陽の光が当たらないようにすると、花は白いまま、もしくは赤が控えめになります。
※酸度の関係で赤くなる場合もあります。

夏に咲く花や、赤道直下に生育する植物に鮮やかな赤が多いのは、アントシアニンの影響です。

フヨウの近縁種

フヨウが属するフヨウ属(ハイビスカス属)は、熱帯・亜熱帯地域を中心に約250種が分布しています。

観賞用として栽培されているフヨウ属の代表的な植物には、本種の他以下のようなものがあります。

フヨウの育て方

フヨウの育て方

※生育旺盛な樹木のため鉢植えには向きません。
ここでは庭植えでの育て方を紹介しています。

栽培環境

日当たりを好みますが、夏場の乾燥を嫌うので保水力のある土壌が適しています。

冬越し

寒さにはあまり強くありませんが、関東以西の暖地であればそのまま戸外で冬越し可能です。

寒さで枝の上部が枯れこむような地域

葉が落ちたら地際20㎝程度の高さで切り戻して、株元をマルチングしたりこもを被せるなどして防寒対策をして下さい。
挿し木用の枝を確保しておいて、春に挿し木をするという方法もあります。
その場合は、寒さで枝が枯れてしまう前に枝を切り取って、ビニール袋などに入れて春まで凍らないよう土に埋めるか、湿らせた砂に埋めて保管します。
暖かくなったら挿し木を行い、株を更新して下さい。

水やり

ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

肥料

元肥として、完熟堆肥や腐葉土を土に漉き込んでおきます。
追肥は落葉期の12月~1月の間に、寒肥として固形の油粕などの有機肥料を株元に施します。
また、7月~9月に緩効性化成肥料を少量与えると、花付きが良くなります。

植え付け

適期は3月下旬から5月上旬です。
根鉢より一回り大きな植穴を掘り、用土に腐葉土や完熟堆肥をたっぷりと混ぜ込んで植え付けて下さい。
植え付けた後はしっかりと水やりをし、根鉢と土を馴染ませます。

剪定

適期は落葉期の2月~3月です。
フヨウの花芽は春に伸びた枝に作られます。
萌芽力が強いので強剪定も可能です。

全体の樹形を見て、込み合っている枝や重なり合ってる枝などを基部から切り取り、株の中まで日が当たるようにします。
こうすることで花付きが格段に良くなります。
放っておくと年々大きく成長するので、あまり大きくしたくない場合は、先端の細い枝を切り詰めて樹形を小さく整えて下さい。

※冬に枝が枯れこむような寒い地域の場合は、12月頃に20㎝程度の高さでバッサリと切り戻します。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は3月~4月ですが、5月~6月、9月~10月にも行うことが出来ます。
3月~4月は芽が出る前の前年枝を使い、5月~6月、9月~10月の場合はその年の伸びた枝を使って挿し木を行います。

枝を15~20㎝程度の長さに切り取って、先端の葉を4~6枚程度残して水揚げをします。
挿し木用土に挿して、水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。
通常は約一カ月程度で発根します。

病気、害虫

フタトガリコヤガ

アオイ科の植物に発生しやすい毛虫です。
毒はありませんが、葉を食害し美観が損なわれます。
見付け次第、駆除して下さい。

ハマキムシ

葉を綴り合せ、中に潜んで食害します。
被害が拡大しやすい害虫なので、発生したら速やかに駆除します。
捕殺するか、オルトラン乳剤などで防除して下さい。

カミキリムシ

株元におがくずのようなものが落ちていたら幹の中にカミキリムシの幼虫が潜んでいます。
放っておくと株が枯れてしまうので、早目に駆除して下さい。
幹に開いている穴から薬剤を注入するか、針金などを突っ込んで補殺します。
薬剤の場合は、駆除の確認のため、新しいおがくずの発生に注意して下さい。

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