中・高木 庭木

ハナミズキ

  • 学名…Cornus florida
  • 和名…アメリカヤマボウシ(亜米利加山法師)
  • 別名…ハナミズキ(花水木)
  • 科名…ミズキ科
  • 属名…ミズキ属
  • 原産国…北アメリカ東部~メキシコ北東部
  • 花色…白、ピンク、赤
  • 樹高…3m~20m
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:5 to 9

ハナミズキとは

ハナミズキ

ハナミズキは、北アメリカに分布するミズキ科ミズキ属の落葉高木です。
分布域は、北アメリカ東部を中心に、カナダ・ケベック州、アメリカ合衆国・メイン州からオンタリオ州、イリノイ州、カンザス州南部、フロリダ州、テキサス州、メキシコ・メキシコ州まで広がっており、森林の縁などに自生しています。
アメリカ原産の花木の中で最も美しいものの一つと言われ、ミズーリ州、バージニア州の州花に選定されています。

日本へは1915年に渡来しています。
当時の東京市長であった尾崎行雄氏が、ワシントン市にサクラを贈った返礼としてハナミズキの木を贈られました。
現在では、庭木として植栽される他、街路樹や公園樹として広く普及しています。
「アメリカヤマボウシ」の和名があり、ヤマボウシとは同属の近縁種です。


ハナミズキの花期は4月中旬~5月中旬。
花期になると、小枝の先に花序を付け、小さな花を咲かせます。
花序は径1~2㎝程度の大きさで、一つの花序には15~30個の花が密生します。

▼ハナミズキの花序

ハナミズキの花序

花は花径5㎜程度の4弁花で、淡い緑色をしています。

▼ハナミズキの花

ハナミズキの花

花序の外側には4個の苞(ホウ)と呼ばれる葉に近い性質のものがあり、白い花弁のように見えます。
苞は長さ2~6㎝、幅1~4.5㎝の倒卵形で、先端が凹みます。

▼ハナミズキの花序と苞

ハナミズキの花序と苞


花色(苞の色)は基本種の白の他、ピンク、赤。

▼赤い花を咲かせるハナミズキ

赤い花を咲かせるハナミズキ

果実は長さ1㎝程度の楕円形で、秋になると赤く熟します。
近縁種のヤマボウシの果実は食べることが出来ますが、こちらは食用ではありません。

▼ハナミズキの果実

ハナミズキの果実

葉は対生し、長さ5~12㎝、幅2~7㎝の広卵形~楕円形で、先端が尖ります。
葉柄は0.3~2㎝、葉の表面には葉脈が目立ちます。

▼ハナミズキの葉の様子

ハナミズキの葉


樹皮はコルク状で、0.5~1㎝の長方形の割れ目が入ります。

▼ハナミズキの樹皮

ハナミズキの幹

樹高3~20m程度に成長し、樹形は横幅のある円錐形になります。
花は2m程度の樹高で付きます。

▼たくさんの花を咲かせるハナミズキ

たくさんの花を咲かせるハナミズキ

葉は秋になると美しく紅葉します。

▼ハナミズキの紅葉

ハナミズキの紅葉

耐寒性に優れており、北海道中部、南部以南での栽培が可能です。
九州や四国などの暖地の場合は、冬場の休眠が不十分になるため、生育が悪くなることがあります。

ハナミズキの主な品種

アメリカで古くから品種改良が盛んに行われており、非常に多くの品種があります。
現在では日本でも数々の品種が作出されるようになり、ヤマボウシとの交配種など流通しています。

ホワイトラブ(Cornus florida 'White Love')

ハナミズキ・ホワイトラブ

1998年に住友林業緑化株式会社より作出された品種です。
従来のハナミズキに比べ枝の横張りが少なく、樹形はコンパクトな円錐形に整います。
ハート形の白い総苞片を付けます。

チェロキー・チーフ(Cornus florida 'Cherokee Chief')

ハナミズキ・チェロキー・チーフ

古くからある赤花の代表品種で、総苞片が大きく華やかです。

チェロキー・サンセット(Cornus florida ‘Cherokee Sunset’)

ハナミズキ・チェロキーサンセット

葉に黄色い斑が入る斑入り品種で、総苞片は赤色です。
花のない時期にも美しい葉に高い観賞価値があります。

他にも数多くの品種があります。

ハナミズキの近縁種

ハナミズキが属するミズキ属は、世界に約60種が分布しています。
観賞用として栽培されている代表的なものには本種の他以下のようなものがあります。

ハナミズキの育て方

ハナミズキの育て方

植え場所

日当たりを好みますが、夏場の強い西日が当たらない場所が適しています。
暑い時期に乾燥すると樹勢が弱まり、葉を落としてしまうことがあります。
街路樹のハナミズキに夏の乾燥のせいです。
夏場に一日中陽が当たるような場所で育てる時は、株元を敷き藁などで覆い、乾燥から守って下さい。

冬越し

耐寒性は高く、北海道中部、南部以南で栽培可能です。
特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、根付くまでは土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。
その後はほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が続くようなら水やりを。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをして下さい。

肥料

庭植えの場合は2月頃、寒肥として堆肥と有機肥料を株の周辺に埋め込みます。
寒肥を施さなかった場合は、花後に化成肥料を株元に施して下さい。

鉢植えの場合も同様に、2月頃に化成肥料を寒肥として施します。
寒肥を与えなかった場合は、花後に化成肥料を施して下さい。

植え付け・植え替え

適期は落葉期の12月~3月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、植穴の底に緩効性化成肥料を入れておきます。
根鉢を軽く崩して植え付けて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土を使います。
小さな苗木(樹高100㎝以下)なら6~7号鉢に植え付けることが出来ます。

植え替え

鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行って下さい。
根鉢を軽く崩して一回り大きな鉢に植え付けます。

剪定

枝数が少なく、自然樹形の美しい樹木なので、基本的には剪定は行いません。
不要な枝やひこばえを切る時は、落葉期の12月~3月に行います。
この時期になると翌年の花芽がはっきりと分かるので、不要な枝を見分けやすいです。

樹高を低く仕立てたい場合

主幹を大きく切るときは、落葉期の2月頃に行います。
あまり剪定に強い樹ではありません。
強剪定でいきなり小さくしてしまうより、毎年少しずつ切り戻していく方が安全です。

剪定は好みの位置で行いますが、切っていいのは枝分かれしている部分です。
幹や枝の途中の何もないところで切ってはいけません。
3本に分かれた枝の真ん中の枝を根元から落とし、残った枝がきれいなY字になるように仕立てます。
これを繰り返し、全体を一回り小さく仕立てて下さい。

※太い枝を切った場合には切り口に癒合剤を塗っておきます。

増やし方(接ぎ木、種まき)

接ぎ木と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
※挿し木もできますが、活着率は5~10%と低く成長も遅いです。

接ぎ木

適期は3月~4月です。
台木には実生のハナミズキの3年苗を使うことが多いようです。
台木苗を育てる必要があり、一般家庭ではあまり行われません。

種まき

野生種の場合は親株と同じ花が咲きますが、園芸品種の場合は親株と同じ花は咲きません。

種の採取

秋に赤く熟した果実を採取して、果肉の部分を取り除いてきれいに洗って下さい。
種はそのまますぐにまくか、保管しておいて翌春にまきます。
ハナミズキの種は乾燥すると極端に発芽率が下がるので、乾かさないように注意して下さい。
保管する場合は、湿らせてかたく絞った新聞やキッチンペーパーに包み、ジップロックなどのビニール袋に入れて冷蔵庫で保管します。

種まき

とりまきの場合は採取してすぐ、保管した場合は翌3月が適期です。
箱まきかポットまきで覆土は1㎝程度。
本葉が3~4枚に育ったら鉢上げして下さい。

病気・害虫

うどんこ病

葉に白い粉をかけたような病変が現れる病気で、梅雨の時期に発生しやすくなります。
放っておいても枯れることはありませんが、美観が損なわれ、早く落葉したりします。
発生した場合は早目に薬剤で対処して下さい。

アメリカシロヒトリ

葉を食害する毛虫です。
発見したら捕殺するか薬剤で対処します。

カミキリムシ(テッポウムシ)

幼木の時に発生することがあります。
株元におがくずのようなものが落ちていたら幹の中にカミキリムシの幼虫が潜んでいます。
放っておくと樹が弱ったり枯れてしまったりするので、早目に駆除して下さい。
幹に開いている穴から薬剤を注入するか、針金などを突っ込んで補殺します。
薬剤の場合は、駆除の確認のため、新しいおがくずの発生に注意して下さい。

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