ガーデニングの図鑑

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病害虫

毛虫の種類と駆除方法

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毛虫の種類と駆除方法

ガーデニングをしていると必ずと言っていいほど遭遇する毛虫。
大事な植物を食害するだけでなく、刺されて酷い目にあった、そもそも姿形を受け付けないなど、何かと嫌悪の対象となる害虫です。

そもそも毛虫とは?

そもそも毛虫というのは、チョウやガの幼虫の中で、体に毛や棘が生えているものの俗称です。
分類学上で明確な定義が成されている訳ではありません。
毛や棘の無い幼虫はイモムシと呼ばれ、さらにイモムシの中で体色が緑のものはアオムシと呼ばれています。

少しだけ毛の生えている幼虫はイモムシなのか、毛虫なのか。
明確な定義が無いので、見る人によって意見が分かれるところです。

フクラスズメ

上の写真は体表に細い毛がまばらに生えているフクラスズメの幼虫です。
管理人的には毛虫ですが、少し毛の生えたイモムシと言えなくもない。
皆さんはいかがですか?

よく毛虫はガの幼虫、アオムシはチョウの幼虫と言われますが、チョウになる毛虫、ガになるアオムシもいます。
ただし多くの毛虫はガの幼虫です。

ここではそんな毛虫の代表的な種類や毒の有無、駆除・予防方法などについて紹介していきます。

毛虫の種類

毛虫はその派手な外見から毒があって刺すというイメージが先行していますが、実際に人に害のある毒を持った毛虫は全体の2%程度に過ぎません。

毒のある毛虫

ここでは庭で遭遇する確率の高い、毒のある毛虫を紹介していきます。

ドクガ

ドクガ

終齢幼虫は35~40㎜。
幼齢の頃は頭部が黒で胴は淡いオレンジ色、成長と共に黒くなっていき側面や背面にオレンジの縞模様が現れます。

毒があるのは目立った長い毛ではなく、その内側にある毒針毛(ドクシンモウ)と呼ばれる微細な毛です。
その数は600万本と言われており、抜けやすいのが特徴です。
触れるとピリピリとした痒みを伴う皮膚炎を引き起こしますが、痒みは耐え難いほど激しく、2~3週間も継続します。
死骸や脱皮した皮、抜け落ちた毒毛針に触れても皮膚炎を起こすので、注意が必要です。

サクラ属、バラ属、クヌギ属など、100種以上の樹木や草花に発生します。
サクラ、ウメ、モモ、バラ、ツツジ、フジなどなど。

幼虫は8月頃に孵化し、集団で生活して越冬します。
大きくなると分散し、毒も成長と共に強くなっていきます。

チャドクガ

チャドクガ

終齢幼虫は25~30㎜。
幼齢の頃は淡黄褐色で、成長すると頭部は黄褐色で全体に黒い部分が多くなり、側面に白い線が入ります。

毒性はドクガに比べるとやや弱いものの、触れると数時間後に患部が赤く腫れ上がり、激しい痒みを伴います。
刺された時の痛みはほとんど無いため、症状が出てから気づくこともあり、やっかいな毛虫です。
一度刺されると体内に抗体ができるため、二度目はさらに激しい症状を引き起こします。
抜け落ちた毛などでも症状が起こるのはドクガと同じです。

ツバキ科の樹木であるチャやツバキ、サザンカなど庭木にもよく発生するため、最も被害の多いのがこのチャドクガです。

幼虫の発生は、4月~10月にかけて2回で、大きくなるまでは集団で生活しています。
チャやツバキ、サザンカの葉に整列している毛虫は、チャドクガと思ってまず間違いありません。
衣服に付いた毒針毛に触れただけでも症状を発症するので、注意が必要です。

キドクガ

キドクガ

終齢幼虫の体長は30㎜程度。
鮮やかな黄橙色の2本線が特徴です。

ドクガ、チャドクガ同様、毒針毛に触れると強い痒みを伴った炎症を引き起こします。
マンサク、リョウブ、タニウツギ、ケヤキなど、様々な樹木に発生します。

モンシロドクガ

終齢幼虫の体長は25㎜程度で、キドクガの幼虫に酷似しています。
頭部近くのオレンジ色の線が、Y字になっていればモンシロドクガです。

ドクガ、チャドクガ同様、毒針毛に触れると強い痒みを伴った炎症を引き起こします。
バラ科、ブナ科などの樹木に発生します。
桜や梅の他、リンゴやナシなど果樹の害虫として知られています。

年に2~3回発生し、幼虫で越冬します。

イラガの仲間

▼イラガ

イラガ

▼アオイラガ

アオイラガ

▼ヒロヘリアオイラガ

ヒロヘリアオイラガ

ヒロヘリアオイラガ

終齢幼虫の体長は20~25㎜程度。
毛虫というよりはウミウシのような姿形で、短い棘が体表に並びます。

棘の付け根の体内には毒の入った袋があり、外敵の皮膚に注入します。
触れると想像を遥かに超える激しい痛みが生じます。
鋭い痛みは1時間ほど続きますが、痒みや発疹を発することは稀です。
刺されると最も痛い毛虫として有名です。

バラ科のウメ、サクラ、アンズや、クリ、ヤマボウシ、カエデ類、ヤナギ類などに発生します。

幼虫の発生は夏から秋にかけて1~2回。
小さな頃は樹木の葉裏などで集団で生活し、大きくなると分散します。
終齢幼虫が繭の中で越冬し、そのまま蛹になりります。

マツカレハ

マツカレハ

終齢幼虫の体長は70㎜程度。
背面は銀灰色で腹面が茶褐色の大型の毛虫です。

胸部、頭部に黒い毒針毛を持っており、触れると激痛が走って腫れ、痒みが1~2週間程度続きます。
アカマツ、クロマツ、カラマツなどに発生します。

幼虫は7月~9月にかけて孵化し、秋になると幹から降りて根際や落ち葉の下などで越冬します。
春になると再び樹に上って葉を食害します。
マツの木にコモを巻くのは、このマツカレハをコモの中に集めて退治するためです。

毒の無い毛虫

毒のある毛虫はほんの少数ですが、なかなか識別は難しいものです。
ここではよく見かける毛虫の中で、いかにも毒がありそうなのに無い、そんな毛虫を紹介しています。

マイマイガ

マイマイガ

終齢幼虫の体長は50~75㎜。
頭部にある目のような一対の紋と、体にあるカラフルな2列の点々模様が特徴です。

ドクガやチャドクガと同じドクガ科の毛虫ですが、毒はありません。
毛がかなりの剛毛なので、触ると指に刺さって痛みを感じることがあります。
※1齢幼虫にはわずかに毒針毛があるので、触るとかぶれることがあります。

極めて広食性で、広葉樹、針葉樹、草花など知られる限りほとんどすべての葉を食害します。

幼虫の発生は春から初夏です。
孵化するとバラバラに散らばり、糸を吐いて枝からぶら下がり、風に乗って移動します。
この習性からブランコケムシとも呼ばれます。

アメリカシロヒトリ

アメリカシロヒトリ

終齢幼虫の体長は30㎜程度。
白い長毛で覆われ、幼齢の頃は淡い黄色で背面に黒い点が2列に並び、大きくなると背面が灰色、側面は黄色になります。

毒はありません。
広食性で、サクラ、ヤナギ、カキ、ミズキ、プラタナス、ポプラなど、様々な広葉樹に発生します。

幼虫は5月~9月の間に2回発生します。
幼齢の頃は糸を張った巣の中で集団生活をし、大きくなると分散します。
北米からの外来種で、都市部で多く発生し、街路樹などを丸坊主にして問題になります。

オビカレハ

オビカレハ

終齢幼虫の体長は60㎜程度。
水色の体にオレンジの線が特徴です。

マツカレハの仲間ですが毒はありません。
ウメ、サクラ、リンゴ、モモ、ナシ、ヤナギなど数多くの樹木に発生します。

幼虫の発生は3月~6月で年一回。
4齢幼虫までは糸を張って巣を作り、集団生活を行います。
この巣の様子からテントケムシ、天幕ケムシとも呼ばれます。

▼オビカレハのテント

オビカレハ

ツマグロヒョウモン

ツマグロヒョウモン

終齢幼虫の体長は30㎜程度。
黒い体に鮮やかなオレンジの線、体表のトゲが特徴です。
トゲは体の前半部分は黒く、後半部分では根元が赤くなります。

派手な見た目ですが無毒で刺すこともありません。
各種スミレ類に発生し、園芸種のパンジーやビオラも食害することがあります。

幼虫は年数回発生し、幼虫や蛹の状態で越冬します。
大量発生することはないのであまり問題にはなりません。
ちなみにこの毛虫はガではなくチョウになります。

▼ツマグロヒョウモンの成虫

ツマグロヒョウモン

フクラスズメ

フクラスズメ

終齢幼虫の体長は70㎜程度。
頭、足は黒またはオレンジ、側面に黒と白の線があり、背面には白の縞模様が入ります。

派手な見た目ですが毒はありません。
イラクサ科のイラクサやカラムシなどに発生します。

幼虫の発生は春から秋にかけて年2回。
食草を丸裸にして、餌を求めて周囲を徘徊する姿が有名です。
危険を感じると頭部を上げて緑色の液体を吐きながら、頭を激しく左右に振ります。

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毛虫の駆除と予防方法

毛虫の駆除

幼齢であれば基本的に群れていることが多いので、駆除は比較的に楽になります。
多くの毛虫は春先、秋口に発生するので、幼虫が小さな内に発見することが大切です。

ドクガ、チャドクガの駆除

ドクガ、チャドクガなど毒針毛を持つドクガ類の駆除には細心の注意が必要です。
出来るだけ肌を露出しないよう、長袖、長ズボン、手袋、帽子、メガネ、マスクなどを着用して作業を行います。
100均で売っている雨ガッパを使い捨てとして利用すると便利です。

通常のスプレータイプの殺虫剤などを使用すると、毒針毛が飛散して危険です。
スミチオン乳剤を使用する方法もありますが、チャドクガ専用の薬剤があるのでこちらがお勧めです。

チャドクガ、ドクガなどの毒針毛を持つドクガ類に有効で、噴射すると固着剤により幼虫は動けなって死にます。
その後、ドクガ類の発生している葉や枝を切り取って、ビニール袋などに入れて処分して下さい。

ただし幼虫の発生が大量の場合、または大きな樹木全体に分散している場合は、何本も使うことになってしまい経済的ではありません。
スミチオン乳剤で駆除できますが、対処が難しいと思ったら専門業者に依頼して下さい。

なお駆除の際に着用した衣服は、そのまま洗濯しても毒針毛は取り除けません。
衣服に付着した毒針毛に触れても炎症を起こすので注意が必要です。
掃除機を丁寧にかけて、毒針毛を取り除いて下さい。
または50℃以上のお湯で洗うか、洗濯後にスチームアイロンをかけると毒性がなくなります。

その他の毛虫の駆除

毛虫の発生が少なければ、樹木用の殺虫スプレーが簡単です。
発生が多い、または広範囲に及んでいる場合は、スミチオン乳剤などの液体殺虫剤を使用します。
葉裏などに潜んでいる場合もあるので、丁寧に散布して下さい。

どちらの場合も使用方法、適用のある植物などをよく読んで使用して下さい。

毛虫の予防

薬剤による予防

毎年発生するようなら、オルトラン液剤の使用が効果的です。
適用のある樹木は、バラ、サクラ、クチナシ、サンゴジュ、ツバキ類、ツツジ類、マサキ、ハナミズキ、クロトンです。

幼虫発生の早い時期に、樹全体に散布して下さい。
念のため、2週間ほど間をあけて2回散布すると安心です。

※薬剤の使用は、使用方法をよく読んで使用して下さい。

卵やマユの除去

冬の落葉期に、幹や枝、葉裏などにある卵や繭を除去します。

▼チャドクガの卵

チャドクガの卵

卵の付着した葉を切り取って処分します。
卵にも毒針毛が付着しているので、注意して下さい。

▼イラガの繭

イラガの繭

▼ヒロヘリアオイラガの繭

ヒロヘリアオイラガの繭

木の幹に擬態しています。
中には幼虫、もしくは蛹が入っています。

▼ヒロヘリアオイラガの繭の中

ヒロヘリアオイラガの繭

幼虫は繭の中で越冬しそのまま蛹になるので、毛虫になることはありませんが駆除しておきます。
ヘラや草削りなどでこそぎ落して下さい。

卵や繭の除去では、見落としなどもあるため完全に発生を予防できるわけではありませんが、抑制には効果的です。

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