和名…ヤマブキ(山吹)
科名…バラ科
属名…ヤマブキ属
原産国…日本、中国
花色…黄色
樹高…1~1.5m
日照…日なた~半日蔭
難易度…
USDA Hardiness Zone:4 to 9
ヤマブキとは
ヤマブキは、日本、中国に分布するバラ科ヤマブキ属の落葉性低木です。
一属一種の植物で、ヤマブキ属に分類されていのは本種ヤマブキ(Kerria japonica)のみです。
日本では、北海道から九州にかけて分布しており、柔らかな日差しが差し込む森林の端や斜面、渓流沿いの崖などに自生しています。
美しい花を咲かせることから古くから庭木と親しまれており、万葉集では愛しい人の面影をヤマブキに重ね、「恋の花」として多くの歌に詠まれています。
ヤマブキの花期は4月~5月。
花期になると、旧枝から伸びた短い枝の頂部に、花径3~5㎝程度の花を一輪咲かせます。
花は5枚の花弁を持ち、中央には多数の雄しべと5本の雌しべがあります。
ヤマブキの名の通り、目に鮮やかな山吹色の花が美しい花木です。
基本種は一重咲きですが、華やかな八重咲き品種も人気で、よく植栽されます。
花色は山吹色のみ。
▼満開の八重ヤマブキ
葉は先の尖った卵形で縁に鋸歯があり、葉柄を持って枝に互生します。
枝は細く長く伸び、株立ちになって樹高1.5~2m程度に成長します。
細い枝は風にそよそよと揺れ、美しい春の風景を作り出します。
▼ヤマブキの葉
耐寒性、耐暑性ともに高く、育てやすい樹木です。
病害虫の発生もほとんど無く、剪定の手間もあまりかかりません。
放任でもよく花を咲かせ、よく茂ります。
ヤマブキの主な品種
ヤエヤマブキ(Kerria japonica ‘Pleniflora’)
ヤマブキの八重咲き品種で、華やかな山吹色の花を咲かせます。
雄しべが花弁化し、雌しべは退化しているため結実しません。
万葉集の中で、ヤマブキが結実しないことが描写されており、この時代にはヤエヤマブキが存在したと考えられています。
樹高2m程度と、普通種のヤマブキに比べるとやや大きくなり、株は直立します。
フイリヤマブキ(Kerria japonica ‘Variegata’)
葉の縁に白い覆輪が入る斑入り品種です。
花は一重咲きで、成長が遅く、樹高もやや低く育ちます。
※シロヤマブキはヤマブキの白花品種と思われがちですが、属の異なる別種の植物です。
同じバラ科の樹木ですが、ヤマブキはヤマブキ属、シロヤマブキはシロヤマブキ属に分類されています。
ヤマブキの育て方
栽培環境
日なたから半日蔭の、水はけが良い場所が適しています。
日当たりが良い方が花付きは良くなりますが、乾燥に弱い性質のため、強い西日が当たらない場所だと最適です。
半日程度の日照があれば十分に育ちます。
地下茎を伸ばして新しい枝がどんどん芽吹くので、それなりのスペースがある場所に植えて下さい。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性ともに優れており、特に対策の必要はありません。
水やり
庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
特に夏場の乾燥には注意して下さい。
肥料
庭植え、鉢植えともに、落葉期の2月~3月の間に、寒肥として固形の油粕などの有機肥料を施します。
植え付け、植え替え
適期は厳冬期を避けた落葉期の、11月~12月、2月下旬~3月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、完熟たい肥を混ぜ込んで下さい。
植え付けたら、水をたっぷりと注ぎ、根と土を馴染ませます。
株元を腐葉土などでマルチングすると、乾燥を防ぐことが出来ます。
鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりをしているようなら植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に、新しい用土で植え付けます。
剪定
適期は落葉期の11月~2月です。
ヤマブキの剪定の基本は間引き剪定です。
ヤマブキは一本の枝の寿命が短い樹木で、古枝になると勢いが無くなってきます。
3~5年程度経過した古い枝を基部から切り取って、新しい枝で更新するようにして下さい。
全体を強剪定してしまうと、枯れ込んでしまうことがあります。
刈り込み剪定は避けて、枯れ枝や古枝を取り除く程度に留めて下さい。
増やし方
挿し木と株分けで増やすことが出来ます。
挿し木
適期は6月上旬~7月ですが、冬と真夏を除けはいつでも可能です。
枝を5~10㎝程度の長さに切り取って、挿し穂にします。
下の節の葉を取り除き、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
株分け
適期は植え替え時の、11月~12月、2月下旬~3月です。
地下茎が伸びて芽が出ているので、根を付けて掘り上げ、植え付けて下さい。
病気・害虫
夏場にハダニが発生することがあります。
ハダニは水を嫌うので、水やりの際に葉裏まで水をかけてやることで、ある程度は発生を抑制できます。
発生量が多い場合は、薬剤で対処して下さい。