多年草・宿根草

アメリカフヨウ

学名…Hibiscus moscheutos
別名…クサフヨウ(草芙蓉)、ローズ・マロウ
科名…アオイ科
属名…フヨウ属(ハイビスカス属)
原産国…北アメリカ
花色…赤、ピンク、白、複色
草丈…100㎝~150㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:5 to 9

アメリカフヨウとは

アメリカフヨウ

アメリカフヨウは、北アメリカに分布するアオイ科フヨウ属の多年草です。
分布域は、アメリカ東部のオンタリオ州からマサチューセッツ州、オハイオ、インディアナ、アラバマ、フロリダなどにあり、湖や河川などの周辺のやや湿り気のある場所に自生しています。

フヨウによく似ていますが、フヨウは落葉低木の花木で、アメリカフヨウは宿根草です。
そのためクサフヨウ(草芙蓉)とも呼ばれます。
同属の仲間にはフヨウの他に、ハイビスカスモミジアオイがあり、よく似た花を咲かせます。
近縁種と交雑しやすい性質から多くの変異が見られる植物で、最近ではモミジアオイとの交雑種もよく流通しています。

アメリカフヨウの花期は7月~9月。
花期になると、茎の頂部や上部の葉の付け根から短い花柄を伸ばし、フヨウやハイビスカスに似た大きな花を咲かせます。
花は5枚の花弁を持ち、中心には特徴的なしべがあります。
しべは多数の雄しべが癒合して筒状になっており、その先端部分に雌しべがあります。

▼アメリカフヨウのしべの様子

アメリカフヨウ

花は一日花ですが次々に開花し、花期の間、途切れることなく咲き続けます。
花の直径は10~30㎝で品種により異なりますが、巨大輪品種になると30㎝にも達する大きな花で、見る人に強烈な印象を残します。
花色は赤、ピンク、白、複色。

▼淡いピンクの花を咲かせるアメリカフヨウ

アメリカフヨウ

葉は先の尖った卵形で縁に細かい鋸歯があり、互生します。
茎は分枝して真っ直ぐに伸び、花を咲かせながら草丈100~150㎝程度に成長します。

▼アメリカフヨウの葉

アメリカフヨウ

熱帯植物のような印象ですが、北アメリカ原産で耐寒性が高い植物です。
冬は地上部を枯らせて宿根し、春に再び芽吹きます。
アオイ科なので害虫が発生しやすいのが難点ですが、フヨウに比べるとやや少ない印象です。
発芽率が良く、種からも容易に育てることが出来ます。

アメリカフヨウの主な品種

‘サウザンベル’ シリーズ

アメリカフヨウ サウザン・ベル

日本で作出されたアメリカフヨウの改良品種(F1)です。
花は大きいもので花径30㎝にも達する超巨大輪で、国内外で人気があります。
花色は赤、白、ピンク、複色。
草丈は150㎝ほどに育ちます。

ちなみに写真の品種は ‘ピンク&ホワイトバイカラー’ です。

‘ルナ’ シリーズ

同じく園芸品種(F1)で、やや小型のアメリカフヨウです。
ハイビスカス・ルナの名前でも流通します。
草丈は40~60㎝程度で、花径15~18㎝程度の花を咲かせます。
花色は赤、白、ピンク、複色。

‘ディスコベル’

同じく小型品種です。
草丈40~60㎝程度で、花径20㎝ほどの花を咲かせます。
花色は赤、白、ピンク、複色。

アメリカフヨウの近縁種

アメリカフヨウが属するフヨウ属(ハイビスカス属)は、熱帯・亜熱帯地域を中心に約250種が分布しています。

観賞用として栽培されているフヨウ属の代表的な植物には、本種の他以下のようなものがあります。

アメリカフヨウの育て方

アメリカフヨウの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
自生地は湿地などで、乾燥しすぎない肥沃な土壌を好みます。

鉢植えで育てることも出来ますが、小さな鉢だと水の管理が大変になります。
大きな鉢で育てて下さい。

冬越し

冬になって地上部が枯れたら、地際15㎝程度の高さでバッサリと刈り取って下さい。
耐寒性は高く、特に防寒の必要はありません。
凍結の心配がある場合は、凍結対策を施して下さい。

水やり

庭植えの場合は、雨が降らず乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場の水切れには注意して下さい。

肥料

生育が早く、肥沃な土壌を好みます。
庭植え、鉢植え共に、元肥として完熟堆肥や緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は生育期間中の9月頃まで、緩効性化成肥料を月に一回程度施して下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は4月~5月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として、完熟堆肥や緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。
株間は50㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
6~8号鉢に一株が目安です。

植え替え

適期は芽出し前の3月~4月です。

鉢植えの場合は、生育旺盛で根詰まりをしやすいので、1~2年に一度、植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

庭植えの場合は、数年経つと株が増えすぎて生育が悪くなるので、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。

花がら摘み、支柱立て

花は一日花で、花期の間は次々と咲きます。
花が終わったら花がらを摘み取っておくと、株の消耗を抑え、美しい草姿で花を楽しむことが出来ます。

高性種は強風にあおられて折れてしまうことがあるので、支柱を立てておくと安心です。

増やし方

株分けと種まきで増やすことが出来ます。

株分け

大きく育った株は、株分けをすることが出来ます。
適期は植え替え時の3月~4月です。
掘り上げた株を切り分けて植え付けて下さい。

種まき

適期は4月下旬~5月です。
発芽温度が高いので、暖かくなってから種をまいて下さい。

種はポットに2~3粒ずつまき、種が隠れる程度に覆土します。
水を切らさないように管理して、発芽後、1本に間引いて下さい。
本葉が4~5枚程度になったら定植します。

病気・害虫

ハマキムシ

アオイ科の植物に発生しやすい害虫です。
葉を綴り合せ、中に潜んで食害します。
被害が拡大しやすい害虫なので、発生したら速やかに駆除します。
捕殺するか、できればオルトラン乳剤などで防除して下さい。

フタトガリコヤガ

アオイ科の植物に発生しやすい毛虫です。
毒はありませんが、葉を食害し美観が損なわれます。
見付け次第、駆除して下さい。

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