- 学名…Alstroemeria sp.
- 別名…アルストロメリア
- 科名…ユリズイセン科
- 属名…ユリズイセン属
- 原産国…南アメリカ
- 花色…ピンク、白、黄、オレンジ、赤など
- 草丈…30cm~1m
- 日照…日なた~半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:品種による
アルストロメリアとは
アルストロメリアは、ユリズイセン科ユリズイセン属の多年草です。
「アルストロメリア」というのはユリズイセン属の学名ですが、一般的にユリズイセン属の観賞用品種の総称として用いられています。
ユリズイセン属には約60種の植物が分類されていますが、主に栽培されるのは、アルストロメリア・アウレア(Alstroemeria aurea)から作出された系統の品種です。
アルストロメリア・アウレアは、アルゼンチンおよびチリを原産とする原種です。
アルゼンチン南部からチリ南部、およびチリ中央部にかけて分布しており、森林の中の湿り気のある場所、河川や沼地などに自生しています。
アウレアの他にも美しい花を咲かせる種が多数あり、数多くのハイブリッド品種が作り出されています。
品種改良は18世紀にイギリスで始まり、現在ではオランダが中心となっています。
日本に園芸品種が導入されたのは1970年代になってからですが、切り花の他、花壇の花としても広く普及しています。
アルストロメリアの主な花期は5月~7月。
花期になると、伸びた茎の頂部から花序を出し、数個の花をまとまって咲かせます。
▼アルストロメリアの花序
花は直径5~8㎝程度の大きさで、内花被片3個と外花被片3個から構成されています。
※花被(かひ)…花において雄しべと雌しべの外側にある葉的な要素。
通常内外2列になっており、外側にある外花被(がいかひ)と、内側にある内花被(ないかひ)からなる。
外花被は「萼」、内花被は「花冠」と呼ばれますが、アルストロメリアのように不明瞭なものは外花被・内花被と呼びます。
▼アルストロメリアの花の外花被と外花被
内花被片には褐色の斑点が入っており、蜜を集める昆虫を誘う役目を持っています。
▼アルストロメリアの花
雄しべは6個、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は3裂しています。
▼アルストロメリアの雄しべと雌しべ
花色はピンク、赤、紫、黄、白など。
近年では条斑の無い品種も作出されています。
切り花にしても花持ちが良く、花束やフラワーアレンジメントでも多用されます。
▼様々な花色のアルストロメリア
葉は互生し、槍のような形をしています。
葉柄が捻じれており、葉表が下に、葉裏が上に向いています。
▼アルストロメリアの葉の様子
地中に塊根を持ち、広がり、多数の茎を出します。
花を咲かせながら草丈30~100㎝に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるアルストロメリア
耐寒性は品種により異なりますが、概ね暑さ寒さにやや弱い性質です。
適した環境で育てれば地下茎を伸ばして塊根を作り、よく増えます。
アルストロメリアには一季咲きと四季咲きの品種があります。
一季咲きの品種は夏と冬に休眠、四季咲きの品種は冬に休眠します。
休眠中は地上部が枯れたり、生育が止まったり遅くなったりします。
関連図鑑
アルストロメリアが属するユリズイセン属の植物は南アメリカに約60種が知られています。
アルストロメリア・アウレアの他では、ユリズイセンが栽培されています。
アルストロメリアの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
高温多湿の環境が苦手な性質です。
風通しの良い場所で育てて下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
高温多湿の環境は苦手な性質です。
蒸れないようにこまめに枯れた茎や葉を取り除いて下さい。
鉢植えの場合は、風通しの良い明るい日陰に移動します。
冬越し
耐寒性は品種によって異なります。
四季咲き品種は寒さに弱い性質のものが多く、冬場は室内での管理になります。
一季咲き品種は比較的寒さに強い品種が多く、関東以南の平地であれば戸外での冬越しが可能な場合が多いです。
(※一部寒さに弱い品種もあります。)
何度も霜に当たると葉が傷んでしまいます。
鉢植えの場合は霜に当たらない場所に移動して下さい。
庭植えの場合は、根が大きく育っているならそのままでも冬越し出来ますが、株元をマルチングするなどして防寒対策を施して下さい。
霜による傷みが気になる場合は、霜よけを設置します。
霜で葉が枯れても、根が生きていれば春にまた芽吹きます。
水やり
乾燥気味の環境を好みます。
庭植えの場合はほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏に地上部が枯れて休眠期に入ったりした場合は、水やりの必要はありません。
夏に生育が鈍った場合は控えめに水やりをして下さい。
休眠期に水を与え続けると根腐れを起こす場合があります。
冬の間も夏同様に乾燥気味に管理します。
肥料
庭植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
鉢植えの場合も同様で、春と秋に緩効性化成肥料を施すか、液体肥料を月に3回程度施して下さい。
植え付け、植え替え
適期は9月~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土を混ぜて、水はけの良い環境を作って下さい。
覆土は10㎝程度です。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土にパーライトを1割ほど混ぜるか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土を使います。
覆土は5~8㎝程度です。
根は折れやすいので、丁寧に扱って下さい。
植え替え
鉢植えの場合には2~3年に一度、植替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けをして植え付けます。
庭植えの場合は、混み合っているようなら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
花がら摘み
花の終わった花茎は早目に取り除きます。
株が込み合って来た場合は、細い茎を切って風通しを良くして下さい。
増やし方(株分け、種まき)
株分けか種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
株分け
適期は9月~10月です。
地下茎の先の芽を傷つけないようにして株分けします。
根は乾燥を嫌うので、株分けをしたらすぐに植え付けて下さい。
種まき
種はあまり流通しないので、自家採取することになります。
種を実らせると株が弱ってしまうことがあります。
あまりたくさんの種を実らせないように注意して下さい。
※親株と同じ花が咲くとは限りません。
種の採取
花後に付け根の部分が膨らんできます。
茶色くなってきたら種が熟しているので、花茎ごと切り取って採取して下さい。
中から種を取り出し、種まき時期まで保管します。
種まき
適期は9月下旬~10月です。
種はポットなどに蒔き、覆土は5㎜程度。
発芽までは明るい日陰で乾かさないように管理します。
発芽後は日なたで管理し、ポットに根が回ったら鉢植えにします。
庭に定植する場合は、春になってから植え付けて下さい。
開花までには2~3年かかります。
病気・害虫
灰色かび病
高温多湿の環境になると、灰色カビ病が発生しやすくなります。
酷くなると枯れてしまうので、発生しにくい環境を作ることが大切です。
花がらは早目に摘み、枯れた葉などもこまめに取り除くようにします。
アブラムシ
生育期間中に発生しやすい害虫です。
見つけ次第、駆除して下さい。