多年草・宿根草

カワラナデシコ

  • 学名…Dianthus superbus var. longicalycinus
  • 和名…カワラナデシコ(河原撫子)
  • 別名…ナデシコ
  • 科名…ナデシコ科
  • 属名…ナデシコ属
  • 原産国…日本、朝鮮半島、台湾、中国
  • 花色…ピンク、白、複色
  • 草丈…30㎝~80㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:

カワラナデシコとは

カワラナデシコ

カワラナデシコは、日本、朝鮮半島、台湾、中国に分布するナデシコ科ナデシコ属の多年草です。
日本では本州、四国、九州の他、沖縄諸島に分布しており、日当たりの良い草原や川原などに自生しています。

秋の七草の一つで、古くから親しまれている身近な草花です。
ただし現在では、外来種の影響や園芸目的の収集、自生地の開発などによる環境の変化で、減少している地域もあります。
環境省レッドデータブックでは、沖縄県で絶滅危惧IA類、鹿児島県、東京都、埼玉県で絶滅危惧II類に分類されています。


カワラナデシコの花期は5月~8月。
花期になると、分枝した茎の頂部に花序を出し、数個の花をまばらに咲かせます。

▼カワラナデシコの花序

カワラナデシコの花序

花は直径4~5㎝の大きさす。
花弁には萼筒の中にある細い部分と、萼筒から出て広がった部分があり、それぞれを爪部(そうぶ)、舷部(げんぶ)と呼びます。

カワラナデシコの舷部は先半分ほどが糸状に深裂しており、舷部基部に毛が生えています。

▼カワラナデシコの花弁の様子

カワラナデシコの花弁の様子

雄しべは10個、花柱は2個。

▼カワラナデシコの雄しべと雌しべ

カワラナデシコの雄しべと雌しべ

萼筒は長さ3~4㎝、苞(ほう)は3~4対。
苞の先端は尖ります。

▼カワラナデシコの萼筒と苞

カワラナデシコの萼筒と苞

花色は淡紅紫色。
白い花を咲かせる品種もあり、シロバナカワラナデシコ(Dianthus superbus var. longicalycinus f. albiflorus)と呼ばれます。

▼シロバナカワラナデシコ

シロバナカワラナデシコ

果実は萼筒の中にでき、長さ2.5~3㎝の細い円筒形です。
種子は2~2.5㎜の大きさで、熟すと黒くなります。


葉は対生し、長さ3~9㎝の線形~披針形で、基部は茎を抱くように2枚の葉が合着しています。

▼カワラナデシコの葉の様子

カワラナデシコの葉の様子

茎は藪生して上部で分枝し、草丈30~80㎝に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるカワラナデシコ

たくさんの花を咲かせるカワラナデシコ

耐寒性、耐暑性に優れており、丈夫な性質です。
病害虫の発生もほとんど無く、放任でもよく花を咲かせます。

カワラナデシコの育て方

カワラナデシコの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
蒸れると病気が発生しやすくなるので、風通しを良くすることも大切です。

冬越し

耐寒性は高く、暖地、温暖地であれば特に対策の必要はありません。

凍結の心配があるような寒冷地の場合は、凍結対策を行って下さい。
鉢植えの場合は、凍らない場所に移動します。
庭植えの場合は、霜よけを設置して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
比較的乾燥気味な環境を好みますが、根張りが早く花付きも良いので、水切れさせないようにして下さい。
ただし、過湿な環境が続くと根腐れや病気が発生しやすくなるので、注意します。

肥料

庭植え、鉢植え共に、3月~5月、9月~10月の間に、月に1回程度の置き肥を施します。
肥料が切れると株の勢いがなくなります。

植え付け・植え替え

適期は3月~5月、9月~10月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土にあらかじめ少量の苦土石灰を混ぜて、酸度を中和しておきます。
水はけが悪いようなら腐葉土を混ぜ込み、元肥として完熟堆肥や緩効性化成肥料も混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土にパーライトを1割ほど混ぜて使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・山砂2(または鹿沼土2)などの水はけの良い配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、生育旺盛で根詰まりを起こしやすいため、一年に一度、春か秋に植替えを行います。
増えすぎているようなら株分けを行い、根鉢を崩して新しい用土で植え替えて下さい。

切り戻し

花が終わった茎を株元から切り戻します。
蒸れると病気が発生しやすくなります。
蒸れ対策のためにも、花が終わった花茎は早目に株元から切って取り除きます。

増やし方(さし芽、株分け、種まき)

挿し芽、株分け、種まきで増やすことが出来ます。

花をたくさん咲かせると株が劣化していきます。
株の勢いが無くなって来たと感じたら株の更新をして下さい。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し芽

適期は4月~6月、9月~10月です。
花のついていない芽を切りとり、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

株分け

適期は3月~5月、9月~10月です。
掘り上げた株を、一株に2~3芽つくように切って植え付けます。

種まき

種の採取

花後に萼筒の中に果実が実ります。
子房が茶色く変色したら、中の種子が熟しています。
放っておくと裂けて種子が落ちてしまうので、袋などを被せて種を採取します。

種まき

適期は秋の9月~10月、春の3月~4月です。
暖地では秋まき、寒冷地では春まきが一般的です。

種は播種箱かポットに蒔き、覆土はごく薄く2㎜程度。
播種箱に蒔いた場合は、種が重ならないようにバラまきし、ポットの場合は2粒ずつ蒔きます。
本葉が2~3枚になったらポット上げし、根が回ったら定植して下さい。

病気・害虫

時々アブラムシが発生するので、見つけ次第駆除して下さい。

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