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グレコマ

  • 学名…Glechoma hederacea L. subsp. hederacea
  • 和名…セイヨウカキドオシ(西洋垣通し)
  • 科名…シソ科
  • 属名…カキドオシ属
  • 原産国…ヨーロッパ、ロシア、中国
  • 花色…紫色
  • 草丈…10㎝~17㎝(ツルは1m以上)
  • 日照…半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 9

グレコマとは

グレコマ

グレコマは、ヨーロッパ、ロシア、中国原産のシソ科カキドオシ属の常緑多年草です。
グレコマとはカキドオシ属の学名ですが、観賞用として流通するセイヨウカキドオシ(Glechoma hederacea)の流通名として定着しています。

セイヨウカキドオシは、ヨーロッパでは草原や林、荒れ地などにごく一般的に自生する植物で、かつてはハーブとして広く利用されていました。
そのため世界各地に導入され、現在では一部の地域で帰化植物として定着しています。
特に北アメリカでは広い地域で野生化しており、ロッキー山脈以外のほとんどの地域で普通に見られる草花の一つとなっています。

セイヨウカキドオシの近縁種であるカキドオシ属の植物は日本にも自生しています。
道端などでよく見かけるカキドオシ(Glechoma hederacea ssp. grandis)は、セイヨウカキドオシの亜種で、草姿も酷似しています。
「カキドオシ(垣通し)」の名前は、茎が垣根を通って伸びてくることに由来しています。

ここではセイヨウカキドオシをグレコマとして紹介しています。


グレコマの花期は4月~5月。
花期になると茎の先端部分を立ち上げ、葉の付け根に花序を出し、小さな花を咲かせます。
花序には2~4個の花が付き、輪散花序になります。

▼グレコマの花序

グレコマの花序

花はシソ科の植物に多く見られる唇形花(しんけいか)です。

唇形花(しんけいか)とは、筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれている花のことで、この様子を口に見立て、上部を上唇(ジョウシン)、下部を下唇(カシン)と呼びます。


グレコマの唇形花は長さ1㎝程度の大きさです。
唇形花は筒部が真っすぐな漏斗形。
上唇は2裂、下唇は3裂しています。

▼グレコマの唇形花

グレコマの唇形花

下唇の中央裂片は大きく、中央が窪み、濃色の斑点が入ります。

グレコマの唇形花

葉は長さ0.8~1.3㎝、幅2㎝の腎形~円状腎形です。
葉の縁には丸く粗い鋸歯があります。
葉柄は基部の葉で3.5~4㎝、上部の葉で0.8~1.3㎝。

▼グレコマの葉

グレコマの葉の様子

基本種の葉色は緑ですが、流通している品種の大半は白い斑入りのバリエガタ(Glechoma hederacea ‘Variegata’)です。
明るい緑の葉色に入る白い斑が美しく、グレコマの代名詞のような品種で広く普及しています。

▼原種のセイヨウカキドオシ

原種のグレコマ(セイヨウカキドオシ)

茎は地面を這うように伸びるため、グランドカバーとして利用されます。
斜上する茎は高さ10~17㎝に伸びます。

▼成長して広がったグレコマ

成長して広がったグレコマ

葉茎には短い毛が生えており、爽やかな芳香があります。
ビールの製造にホップが使われるようになる16世紀までは、グレコマが利用されていたそうです。
※グレコマの食用に対する安全性は確立されていません。

▼大きく成長したグレコマ

大きく成長したグレコマ

耐寒性、耐暑性ともに高く、丈夫な性質で育てやすい植物です。
放任でもよく増えて広がります。
常緑で冬を越し、寒くなると葉茎がほんのり紫に色付きます。

▼冬場のグレコマの葉

冬場のグレコマの葉

グレコマの育て方

グレコマの育て方

栽培環境

日なたから半日蔭まで対応しますが、夏の強い日差しが苦手です。
乾燥から葉焼けを起こしたり、枯れてしまうこともあります。
夏場は強い西日が当たらない場所で育てて下さい。

庭植えの場合は、強い西日が避けられる半日蔭の場所が適しています。
一日中強い日差しが当たるような場所では乾燥しやすく、葉焼けを起こして生育が悪くなり枯死することもあります。

冬越し

耐寒温度は-10℃程度です。
寒さに非常に強い性質で、そのまま戸外で冬越し可能です。
ただ、強い霜に何度も当たると地上部は枯れてしまうこともあります。
その場合でも根が生きていれば、春になると再び芽吹きます。

土まで凍ってしまうような寒冷地では、凍結対策を施して下さい。

水やり

乾燥がやや苦手な性質です。
鉢植えの場合は用土が乾き始めたらたっぷりと。
庭植えの場合は、乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。

肥料

庭植えの場合は、肥料はほとんど必要ありません。
鉢植えの場合は、葉色や生育が悪くなったら緩効性化成肥料や液体肥料を施して下さい。

植え付け、植え替え

適期は3月~6月、10月~11月ですが、真夏と真冬を除けばいつでも植え付け可能です。

植え付け

土質は特に選びません。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土や、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土が使えます。

植え替え

鉢植えの場合は、鉢の底から根がのぞいて根詰まりを起こしているようなら植替えを行って下さい。

庭植えの場合は、数年に一度植え直しを行った方が美しい草姿を保てます。
放置していると、伸びたツルの中心部分の生育が悪くなって来ます。
腐葉土を混ぜて土壌改良を行い、元気なツルを植え直して下さい。

先祖返り

斑入り品種は、先祖返りで斑の入らないツルが出ることがあります。
緑葉だけのツルは繁殖力が非常に強いので、早目に切り取って下さい。

増やし方(株分け、挿し芽)

株分け、挿し芽で簡単に増やせます。
伸びたツルの節から自然に発根するので、切り分けて植え付けます。

病気・害虫

病気はほとんどありませんが、アブラムシ、ヨトウムシなどの被害が時々あります。
見つけ次第駆除して下さい。
ヨトウムシは植え付け直後の軟らかい土に寄って来るので、植え付け直後は注意が必要です。

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