一年草・二年草

アークトチス

  • 学名…Arctotis
  • 別名…ハゴロモギク(羽衣菊)
  • 科名…キク科
  • 属名…ハゴロモギク属(アークトチス属)
  • 原産国…南アフリカ
  • 花色…白、オレンジ、黄、ピンク
  • 草丈…20㎝~70㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:9 to 10

アークトチス(ハゴロモギク)とは

アークトチス

アークトチスは、アフリカ南部を中心に約60種が分布するキク科ハゴロモギク(アークトチス)属の一年草、または短命な多年草です。
日本で主に流通しているのはアークトチス・ヴェヌスタ(Arctotis venusta)と、アークトチス・アカリウス(Arctotis acaulis)、そしてその二種の園芸品種です。
ヴェヌスタは一年草、アカリウスは多年草ですが、高温多湿の環境に弱いため、多くは一年草として扱われています。


アークトチスの花期は4月~7月。
※品種によってやや異なります。

花期になると、長く伸びた花茎の頂部に頭花を付けます。

※頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(カンジョウカ)と、周辺の舌状花(ゼツジョウカ)です。

アークトチスの頭花は直径5~10㎝程度の大きさで、ガザニアに似ています。

▼アークトチスの頭花

アークトチスの頭花

管状花は先が5裂した筒状で、舌状花は筒状になった花弁の片側が舌状に大きく広がっています。

▼アークトチスの舌状花と管状花

アークトチスの舌状花と管状花

管状花は外側から内側へと咲き進みます。
雄性先熟で、先に雄しべが成熟して花粉を出し、その後で雌しべが伸びて成熟します。

▼アークトチスの舌状花

アークトチスの管状花

花は日中開いて、夜や天気の悪い日は閉じています。
花色は白、オレンジ、黄、ピンク。

▼様々な色の花を咲かせるアークトチス

様々な花色のアークトチス

葉には羽状の切れ込みがあるものや、へら状で縁に浅い鋸歯を持つものがあります。
葉茎には柔らかく細かい毛が生えているため、白味を帯びます。

▼アークトチスの葉の様子

アークトチスの葉の様子

花を咲かせながら草丈20~70㎝に成長します。

▼アークトチスの草姿

アークトチス

耐寒性はありますが、高温多湿の環境に弱いため、暖地では夏に枯れてしまうことがあります。
秋に種をまいて春から初夏にかけて花を楽しむ一年草として扱えば、難しい花ではありません。

アークトチスの主な品種

アークトチス・ヴェヌスタ(Arctotis venusta)

アークトチス・ヴェヌスタ

南アフリカ、ナミビアに分布するアークトチスで、アークトチス・グランディスとも呼ばれます。
分布域は南アフリカ中央部のフリーステイト州からカルー盆地を通りナミビアまで広がっており、砂丘や岩の多い土壌に自生しています。
日本には昭和初期に渡来し、アークトチスとして最初に入ってきた品種と言われています。

花径は6㎝前後で、白く細い舌状花とブルーの管状花のコントラストがシックで美しい花です。
草丈50~70㎝程度に成長する高性種で、アークトチスの代名詞とも言える品種です。

※アークトチス・グランディスの名前で定着していますが、正しい学名はアークトチス・ヴェヌスタ(Arctotis venusta)です。
本種はヨーロッパの植物園で100年以上に渡って栽培されており、植物学者の混乱から当初間違った学名を付けられていました。
そのためアークトチス・グランディスの名前で広く知られています。

※アークトチス・ストエカデフォリア(Arctotis stoechadifolia)と記載される場合もありますが、こちらも混乱によるものです。

アークトチス・アカウリス(Arctotis acaulis)

アークトチス・アカウリス

南アフリカに分布するアークトチスで、草丈30㎝程度の矮性種です。
基本種の花色はオレンジ~黄色、サーモンピンク、クリーム色で、数多くの花色の園芸品種が流通しています。

ヴェヌスタ(グランディス)は品種名で流通することが多いですが、アカウリスはアークトチスとしか記載されていないことが多いです。
また、ベニジューム属との交雑種もあり、品種名の記載がない場合、グランディス種以外の同定は困難です。
交配親の分からない園芸品種も多く、それらはアークトチス・ヒブリダ(Arctotis hybrida)となります。
ヒブリダとは雑種という意味です。

アークトチス(ハゴロモギク)の育て方

アークトチスの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと徒長し、花付きが悪くなるので、しっかりと日の当たる場所で育てて下さい。

冬越し

暖地、温暖地では戸外での冬越しが可能です。
鉢植えの場合は、霜の心配のない軒下などに移動して下さい。
庭植えの場合は、強い霜で葉が痛むことがあるので霜よけを設置すると安心です。
苗が小さい場合は、必ず霜よけを設置して下さい。

寒冷地では春まきにして夏に花を楽しむ事ができます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は用土が乾いたらたっぷりと。
多湿な環境を嫌うので、水のやりすぎには注意して下さい。
特に冬場は水がなかなか蒸発しないので、やや乾燥気味に管理します。

肥料

庭植えの場合は、元肥として腐葉土や堆肥、または緩効性化成肥料を少量、用土に混ぜておきます。
追肥の必要はありません。

鉢植えの場合も同様に、用土に肥料が含まれていない場合は、緩効性化成肥料を少量混ぜ込んでおきます。
追肥は開花時期に液体肥料を定期的に施して下さい。

種まき

暖地、温暖地では9月下旬~10月、寒冷地では4月下旬~5月が適期です。
種が綿毛に包まれているので、湿った布や砂で揉んで取り除くと発芽が早く揃います。

清潔な用土を入れた播種箱に、種が重ならないように蒔いて、5㎜程度の覆土を被せます。
発芽までは水を切らさないように管理して下さい。
発芽温度は20℃前後で、発芽までは10日ほどかかります。

本葉が2~4枚程度に育ったらポット上げをして日当たりの良い場所で管理します。
本葉が6~7枚になったら定植して下さい。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として、堆肥、または緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
株間は25~30㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

花が枯れて茶色く乾燥したら種が採取できます。
熟した種は羽がきれいに開いています。
しっかりと熟した種を採取して下さい。
採取した種は、紙袋などに入れて種まきまで涼しい場所で保存します。

種まきについては上記「種まき」の項目を参照下さい。

花がら摘み

種を採取しない場合は、小まめに花がらを摘んで下さい。

病気・害虫

気温が高くなるとアブラムシが付きやすくなります。
見付け次第駆除して下さい。

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