一年草・二年草

ヒャクニチソウ

  • 学名…Zinnia elegans Jacq.
  • 和名…ヒャクニチソウ(百日草)
  • 科名…キク科
  • 属名…ヒャクニチソウ属
  • 原産国…メキシコ
  • 花色…黄、赤、ピンク、白、オレンジ、緑、複色
  • 草丈…10㎝~90㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:2 to 11

ヒャクニチソウとは

ヒャクニチソウ(ジニア)

ヒャクニチソウは、メキシコ原産のキク科ヒャクニチソウ属の一年草です。
原産地はメキシコですが、観賞用として世界で広く栽培されており、南アメリカの他、アメリカやオーストラリア、イタリアなどで帰化しています。

ヒャクニチソウはジニアとも呼ばれます。
ジニアとは正確にはヒャクニチソウ属の学名ですが、園芸的にはヒャクニチソウ属の中で最も普及している本種ヒャクニチソウ(Zinnia elegans)とその園芸種をジニアと呼ぶことが一般的です。
学名であるジニア・エレガンスの名前で流通することもあります。

ヒャクニチソウが日本に渡来したのは江戸時代末期の1862年です。
当初お盆などの仏壇花として利用されることが多かったヒャクニチソウですが、品種改良が盛んに行われた近年では、夏花壇の定番植物として定着しています。


ヒャクニチソウの花期は5月~10月。
花期になると、伸びた茎の頂部に、頭花(とうか)を咲かせます。

頭花(とうか)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(かんじょうか)と、周辺の舌状花(ぜつじょうか)です。

▼ヒャクニチソウの頭花

ヒャクニチソウの頭花

舌状花は筒状になった花弁の片側が舌状に大きく広がっており、管状花は先が5裂した筒状です。
舌状花は雌性、管状花は両性。

▼ヒャクニチソウの舌状花と管状花

ヒャクニチソウの管状花と舌状花

管状花には細かな毛が密生しており、基部には苞(ほう)がそれぞれ一つずつ付いています。
苞は基本種では紅紫色で、先が不規則に小さく裂けています。

※苞(ほう)…花序や花の基部に付く特殊化した葉。苞葉(ほうよう)とも呼ばれる。

▼ヒャクニチソウの管状花と苞の様子

ヒャクニチソウの管状花と苞の様子

管状花は外側から内側へと一列ずつ咲き進みます。
蕾の時期は苞の下に隠れています。

▼咲き進むヒャクニチソウの管状花

咲き進むヒャクニチソウの管状花

花は長い花期の間、次々と開花します。
ヒャクニチソウの名前は、開花期間の長いことに由来しています。
筒状花は多くの品種で黄色~オレンジ色、舌状花は黄、赤、ピンク、白、オレンジ、緑、複色など、多彩な花色が揃います。
一重咲きの他、ダリア咲き、ポンポン咲きなど、変わり咲き品種も数多く流通しています。

▼ポンポン咲きのジニアの花

ポンポン咲きのヒャクニチソウ

果実は長さ7~8㎜の痩果(そうか)。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。


葉は対生し、長卵形で葉柄は無く、葉の基部は茎を抱く形になります。

▼ヒャクニチソウの葉の様子

ヒャクニチソウの葉の様子

茎はよく分枝し、花を咲かせながら草丈10㎝~90㎝に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるヒャクニチソウ

たくさんの花を咲かせるヒャクニチソウ

耐暑性があり、真夏の直射日光の下でも次々と花を咲かせます。
うどん粉病にかかりやすい傾向がありますが、最近では耐性のある品種も流通するようになっています。
春に種をまいて夏から秋に花を楽しむ、春まき一年草です。

ヒャクニチソウの主な品種と近縁種

ジニア・ドリームランド(Zinnia elegans ‘Dreamland’)

ジニア・エレガンス・ドリームランド

花径9㎝程度の巨大輪の矮性品種。
舌状花が多数付き、ボリューム感のある頭花が特徴です。

花色は赤、緋赤、桃、黄、白。
※写真の品種は緋赤です。

草丈20~30㎝に成長します。

ジニア・ジャイアントライム(Zinnia elegans ‘Benary's Giant Lime’)

ジニア・ジャイアントライム

花径10㎝程度の巨大輪の品種です。
ライム色の舌状花が幾重にも重なる頭花が印象的です。

草丈90~120㎝程度に成長します。

ジニア・リネアリス(ホソバヒャクニチソウ:Zinnia angustifolia)

ホソバヒャクニチソウ

アメリカ南東部からメキシコの北部、および西部に分布するヒャクニチソウの近縁種です。
和名はホソバヒャクニチソウ。

葉は長楕円形で細く、茎はよく分枝して花を咲かせながら草丈30㎝前後に成長してこんもりとまとまります。
花はやや小輪ですが、花付きが非常に良いのが特徴です。

⇒ジニア・リネアリスの詳しい育て方はこちら

ジニア・プロフュージョン(Zinnia Profusion)

ジニア・プロフュージョン

ヒャクニチソウとホソバヒャクニチソウの種間交雑種です。

矮性でコンパクトにこんもりとまとまり、花付きが良いのが特徴です。
うどんこ病に対する耐性があり、近年人気となっている品種です。

オレンジ、黄色、白、赤、ピンクなど、豊富な花色が揃います。

ジニア・ハーゲアナ(メキシコヒャクニチソウ:Zinnia haageana)

メキシコ原産のヒャクニチソウの近縁種です。

オレンジと赤の蛇の目模様の花弁が特徴的です。
一重咲きの他、八重咲き品種もあります。
病害虫に強く強健な性質で、花期がやや遅く、霜が降りる頃まで花を咲かせます。

ジニア(ヒャクニチソウ)の育て方

ジニア(ヒャクニチソウ)の育て方

栽培環境

日当たりが良く、風通しの良い場所が適しています。
日照時間が足りないと徒長し、花付きが悪くなってしまいます。
よく日の当たる場所で育てて下さい。

夏越し

エレガンスは梅雨の時期に病気が発生しやすいので、鉢植えの場合は軒下に移動します。
庭植えの場合は、株元をマルチングして泥はねを防ぐと病気の予防効果が期待できます。

水やり

庭植えの場合は、夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
水を与える場合は、葉や花に水をかけないようにすると病気の予防になります。

肥料

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
鉢植え、庭植え共に追肥は、5月~9月の生育期間中、緩効性化成肥料を月に1回程度株元に施すか、液体肥料を月に3回程度施して下さい。

花期が長いので肥料は切らさないようにします。

植え付け

庭植えの場合は、腐葉土や堆肥を用土に混ぜ込んでおきます。
株間は高性品種で30㎝、中~矮性品種で25㎝、小輪品種(リネアリス)で20㎝程度です。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

※連作障害が出やすいので、庭植えの場合は少なくとも1年以上の期間をあけて植えるか、用土をごっそりと入れ替えて植え付けて下さい。

花がら摘み、切り戻し

花がら摘み

エレガンスは花後に花がらを摘みます。
花が咲き進んで来たら、一番上の芽から数節下で切り戻して下さい。
脇芽が育ち再び花を咲かせます。

切り戻し

リネアリスとプロフュージョンは、7月下旬~8月中旬頃に切り戻しを行うと、美しい草姿で秋の花を楽しむことが出来ます。
草丈の1/3位の位置で、必ず葉を残した状態で切り戻して下さい。
葉を残しておかないと生育が遅れたり、枯れてしまうことがあるので注意して下さい。

増やし方(挿し芽、種まき)

挿し芽(挿し木)と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し芽(挿し木)

適期は5月下旬~7月上旬です。
茎を先端から6㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
水揚げをして挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。

種まき

種の採取

花が枯れたら花茎ごと切り取って乾燥させて、筒状花をそっと抜き取ると下に種が付いています。
面倒な場合は、花がらをバラバラにしてよく揉みほぐし、そっと息を吹きかけて種を採取します。
採取した種は、封筒などに入れて涼しい場所で保管して下さい。

種まき

適期は4月中旬~5月です。
発芽温度は品種によってやや異なりますが、20℃~25℃と高めなので、暖かくなってから蒔いて下さい。

種は播種箱などにまき、覆土は5㎜程度。
乾かさないように管理して発芽を待ちます。
発芽までは1週間程度かかります。
本葉が2~3枚程度になったらポット上げし、本葉が8~10枚程度になったら定植します。

病気、害虫

うどんこ病、立枯病

蒸れから発生しやすい病気です。
風通しの良い場所で育てることで病気をある程度予防することが出来ます。
水やりの際には葉茎に水をかけないようにし、株元をマルチングして泥はねを防ぎます。
エレガンスはうどんこ病に対する耐性が低く、発生すると拡大してしまいます。
発生前に薬剤などで予防しておくと安心です。

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