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セツブンソウ

学名…Shibateranthis pinnatifida(Eranthis pinnatifida)
和名…セツブンソウ(節分草)
科名…キンポウゲ科
属名…セツブンソウ属(エランティス属)
原産国…日本
花色…白
草丈…5㎝~15㎝
日照…半日蔭~明るい日陰
難易度…星
USDA Hardiness Zone:Not Applicable

セツブンソウとは

セツブンソウ

セツブンソウは、日本に自生するキンポウゲ科セツブンソウ属の多年草です。
分布域は関東以西の本州、四国、九州、沖縄にあり、落葉樹林の中などに自生しています。

セツブンソウは石灰質の土壌(アルカリ土壌)を好むため、酸性土壌の多い日本での自生地は点在する状況でしたが、盗掘や環境破壊のために減少し、現在では環境省レッドデータブックで準絶滅危惧種(NT)として記載されています。
自生地としては、埼玉県小鹿野町、栃木県栃木市(星野の里)、広島県庄原市などが有名で、群生するセツブンソウが地面を埋め尽くす様子を見ることが出来ます。

セツブンソウの花期は2月~3月。
晩秋から冬の間に芽を出し、伸ばした花茎の先に、花径2㎝前後の花を一輪咲かせます。
5枚の花弁のように見えるのは咢片が花弁状に変化したものです。
本来の花弁は花の中央に黄色に見える部分で、退化して蜜腺になっています。
雌しべは2~5個で多数の雄しべがあり、葯は淡い紫色をしています。
「セツブンソウ」の名前はちょうど節分の頃に花を咲かせることに由来します。

▼セツブンソウの花の構造

セツブンソウの花の構造

花の下には不規則に深裂した苞葉があります。
根出葉は五角形で大きく3裂したものがさらに細かく羽状に裂けており、長い葉柄を持ちます。
苞葉、根出葉ともに白味を帯びた緑色をしています。

▼群生するセツブンソウ

セツブンソウの群生

山野草の中では育てやすい部類の植物です。
自生地は落葉樹林の下なので、自然状態に近い環境で管理すれば、よく花を咲かせます。
晩春には地上部を枯らせて休眠し、晩秋から冬にかけて再び芽を出します。

セツブンソウの仲間

セツブンソウが属するセツブンソウ属(エランティス属)の植物は、ヨーロッパ、アジアの温帯に7種が分布しています。
その内の数種がセツブンソウの仲間として流通します。

キバナセツブンソウ

キバナセツブンソウ

エランティス・ヒエマリス種(Eranthis hyemalis)、エランティス・シリシカ種(E. cilicica)、またはこれらの交配種(E. × tubergenii)が「キバナセツブンソウ」または「オオキバナセツブンソウ」の名前で流通します。
ヨーロッパ原産のセツブンソウで、5~6枚の咢花弁を持つ鮮やかな黄色の花を咲かせます。

ヒナマツリソウ(Shibateranthis byunsanensis(E. byunsanensis))

韓国原産のセツブンソウで、「韓国セツブンソウ」または「大輪セツブンソウ」の名前で流通します。
日本のセツブンソウに比べると全体的に大柄で、蜜腺の縁が緑色に色付くのが特徴です。
※日本在来種のセツブンソウは、蜜腺の縁が黄色に色付いています。

セツブンソウの育て方

セツブンソウの育て方

栽培環境

自生地は落葉樹林の中の傾斜地などです。
セツブンソウは、木々が芽吹く前に芽を出して開花し、木々の葉が出てくる頃に葉を茂らせ、木々が茂ってくる頃には結実して地上部を枯らします。
それに近い環境を作ることがポイントになります。

鉢植えの場合

芽が動き出す晩秋から開花までは、日当たりが良い場所が適しています。

花後から地上部が枯れるまでの間は、明るい日陰で管理します。
直射日光に当たると葉が痛むので、柔らかな木漏れ日が差し込むような場所だと最適です。

地上部が枯れて休眠に入ったら、涼しい日陰に移動して夏越しをさせて下さい。
暑さに強い性質ではありません。
鉢土の温度が上がると球根が傷んでしまうことがあるので注意して下さい。

庭植えの場合

西日の当たらない、落葉樹の下などに植えて下さい。
水はけの良い環境を好むので、傾斜がある場所や、高植えになっている落葉樹の下などだと最適です。
適した環境に植えれば、2~3年は植えっぱなしでもよく花を咲かせます。

冬越し

自生地は関東地方以西の地域です。
寒さには強く、少しくらいの雪や霜は影響ありません。
戸外で冬越しが可能です。

水やり

鉢植えの場合は、地上部がある生育期の間は、用土の表面が乾いたらたっぷりと水やりをします。
多湿な環境を嫌うので、水をやりすぎないようにして下さい。
地上部が枯れて休眠に入ったら、乾燥気味に管理しますが、完全に乾かしてしまわないように注意します。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
開花期に乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。

※種を採取する場合は、開花中に花に水がかからないように注意して下さい。
水がかかると結実しにくくなります。

肥料

花後から地上部が枯れ始める前までの間、薄めの液体肥料(2000倍に希釈)を1週間に1回施します。
肥料を施さなくても育ちますが、翌年の花が少なくなります。

植え付け、植え替え

適期は8月下旬~9月です。
動き出した根を傷めないように、植え付け、植え替えは必ず休眠中に行います。

植え付け

セツブンソウの球根は小さなものですが、意外と深い場所で育ちます。
鉢植えの場合は、通気性の良い深めの鉢で栽培して下さい。
用土は、赤玉土(小粒)5・鹿沼土(小粒)4・軽石(小粒)1など、水はけの良い土を使います。
覆土は3~4㎝程度です。
球根はとがった方が上なので、上下を間違えないようにして下さい。

植え替え

鉢植えの場合は1~2年に一度、植え替えを行って下さい。
古い土を落とし、新しい用土を使って植え替えます。

庭植えの場合も2~3年に一度、植え替えを行うと生育が良くなります。

増やし方(種まき)

セツブンソウの球根はほとんど分球しません。
繁殖は種まきが基本です。

種の採取

種を採取する場合は、開花中に花に水をかけないように注意します。
水がかかると結実しにくくなります。
確実に種を採りたい場合は、他の株に受粉してやるとよく結実します。

花後にできた果実がやや茶色く色づき、サヤの先端が割れてきたら種を採取して下さい。
採取した種は日陰で追熟させます。
種が熟すとサヤが開き、種が見えるようになるので、採取して下さい。
セツブンソウの種は、保存すると発芽率が落ちるので、採取したらすぐに蒔きます。

種まき

開花までには早くて3年かかり、その間は植え替えを行いません。
種まきの用土は植え付けと同じもの使い、親株と同様の鉢に種をまいて下さい。
覆土は5㎜程度です。
発芽は翌年の早春になります。
それまでは乾かさないように注意して管理して下さい。

一年目は小さな楕円形の葉を一枚出して球根を作り、二年目に本葉を一枚展開し、3年目以降に開花します。

病気・害虫

軟腐病

多湿が原因で発生しやすい病気です。
発生すると地上部が溶けるように腐ってしまいます。
水はけの良い環境で、水のやりすぎに注意して、発生を抑制して下さい。

炭疽病

多湿、または連作によって発生しやすくなります。
発生すると芽が黒くよじれて発芽します。
鉢植えの場合は、1~2年に一度、植え替えを行って発生を抑制して下さい。
放っておくと他の株にも感染するので、発病した株は処分して下さい。

ナメクジ、ヨトウムシ

ナメクジやヨトウムシの食害が発生することがあります。
どちらも夜行性の害虫なので、夜間に見回って捕殺するか、薬剤で駆除します。

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