和名…ヒュウガミズキ(日向水木)
別名…ヒメミズキ、イヨミズキ
科名…マンサク科
属名…トサミズキ属
原産国…日本、台湾
花色…黄色
樹高…2~3m
日照…日なた~半日蔭
難易度…
USDA Hardiness Zone: 6 to 8
ヒュウガミズキとは
ヒュウガミズキは、日本、台湾に分布するマンサク科トサミズキ属の落葉性低木です。
日本では、本州の石川県~兵庫県の日本海側、高知県、宮崎県の岩場など、限られた場所に自生しています。
「ヒュウガ」と名前に付きますが、宮崎県での自生は後年の発見であり、名前の由来ではありません。
ヒュウガミズキの名前の由来には諸説あります。
近縁種であるトサミズキより小型であることからヒメミズキと呼ばれており、それが訛ってヒュウガミズキとなったとする説。
または、主な自生地である近畿地方を領地としていた明智日向守光秀に因んだとする説などです。
ヒュウガミズキの花期は3月下旬~4月上旬。
花期になると葉の展開に先駆けて、分枝した枝に多数の花序を下向きに出し、小さな花を咲かせます。
花は長さ1.5㎝程度で5枚の花弁を持ち、一つの花序に1~3輪が下垂して咲きます。
花色は黄色のみ。
▼ヒュウガミズキの花
葉は長さ2~3㎝程度の幅のある卵形で、縁に浅い鋸歯があり、短い柄を持って互生します。
葉の表面には葉脈に沿って美しい陰影が浮かび上がります。
株立ちになって枝はよく分枝し、樹高1~2m程度に成長します。
▼ヒュウガミズキの葉の様子
耐寒性、耐暑性があり、育てやすい樹木です。
病害虫の発生もほとんど無く、樹形は自然に整います。
剪定は込み入った枝を間引く程度で、手間もあまりかかりません。
ヒュウガミズキの近縁種
トサミズキ(Corylopsis spicata Siebold et Zucc.)
ヒュウガミズキの近縁種で、高知県に分布する日本固有種です。
一つの花序に7~10輪の花が下垂して咲き、ヒュウガミズキの雄しべの葯が黄色なのに対し、トサミズキの葯は赤く、雄蕊が花弁より長く突出します。
葉は長さ5~11㎝程度、樹高は大きくなると4m程度とヒュウガミズキに比べると大型です。
ヒュウガミズキ同様、庭木や公園樹としてよく植栽されます。
育て方はヒュウガミズキと大差ありません。
ヒュウガミズキの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水持ち、水はけの良い環境が適しています。
基本的に日当たりを好みますが、半日蔭程度の日照があれば育ちます。
ただし、花付きは日照時間に比例します。
冬越し、夏越し
耐寒性、耐暑性、共にあり、特に対策の必要はありません。
水やり
強い乾燥を嫌います。
庭植えの場合は、雨が降らず乾燥が続くようなら水やりをして下さい。
夏場は株元に敷き藁などを敷くと乾燥を防ぐことができます。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場の水切れには注意して下さい。
肥料
庭植えの場合は、寒肥として冬の2月~3月に固形の油粕や完熟たい肥などを株元の周辺に埋め込みます。
鉢植えの場合は、寒肥の他、花後のお礼肥として固形の油粕などの有機肥料、または緩効性化成肥料を株元に施します。
植え付け、植え替え
適期は落葉期の11月下旬~3月です。
植え付け
水はけ、水持ちの良い土を好み、根を深く張ります。
植え付け時には、徒長した枝を切り詰めて下さい。
庭植えの場合は、根鉢の2~3倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込んで土を作ります。
元肥として完熟たい肥を植穴の底に入れ、植え付けて下さい。
植え付けた後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて土を馴染ませて下さい。
鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの配合土を使います。
植え替え
鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行って下さい。
根鉢を軽く崩し、一回り大きな鉢に植え替えます。
剪定
自然樹形の美しい木なので、剪定はあまり必要ではありません。
樹形を乱す徒長枝や、込み入った箇所を間引く程度で十分です。
萌芽力が強いので、スペースに限りがある場合は、刈り込み剪定も行うことが出来ます。
刈り込み剪定などの大きな剪定の適期は花後の5月~6月です。
込み入った箇所を間引く程度の剪定であれば、落葉期にも行うことが出来ます。
増やし方
挿し木、株分け、種まきで増やすことが出来ます。
挿し木
適期は6月~7月です。
挿し穂には、花後に伸びた枝を使います。
充実して硬くなった枝を選び、10~20㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下部の葉を取り除いて上部の葉を2~3枚程度残し、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理し、発根を待ちます。
ヒュウガミズキは活着率があまり良くないので、多めに挿しておくと良いと思います。
株分け
株元からひこばえが出て株立ちになります。
ひこばえを掘り分けて植え付けて下さい。
種まき
花後に果実が実り種が出来ます。
種は秋ごろに熟すので、採取して下さい。
採取した種は採りまきですぐに蒔くか、春まで保管しておき3月に蒔きます。
保管する場合は湿らせた川砂などに混ぜてビニール袋に入れ、乾燥に注意して冷蔵庫に入れておきます。
種は平鉢に蒔き、薄く覆土します。
水を切らさないように管理して発芽を待って下さい。
病気・害虫
枝が込み入っていると、うどんこ病が発生することがあります。
適宜剪定を行い、発生を抑制して下さい。