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ヘリオトロープ

学名…Heliotropium
和名…キダチルリソウ(木立瑠璃草)
別名…ニオイムラサキ、コウスイボク
科名…ムラサキ科
属名…キダチルリソウ属
原産国…ペルー
花色…紫、白
草丈…30㎝~70㎝
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:10 to 11

ヘリオトロープとは

ヘリオトロープ

ヘリオトロープは、世界の熱帯から温帯にかけて250~300種が分布するムラサキ科キダチルリソウ属の植物です。
花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されますが、ヘリオトロープとして主に流通するのはキダチルリソウの和名を持つコモンヘリオトロープ(Heliotropium arborescens)と、ビッグヘリオトロープ(H. europaeum)です。

前者のキダチルリソウは、花にバニラのような甘い芳香があるため、ポプリなどに利用できるハーブとして流通しています。
かつてはこのキダチルリソウの花から抽出された香油が香水の原料として使用されていました。
この香油は揮発性の高さ、収油率の低さというデメリットがあり、現在では合成香料で代用されています。

ビッグヘリオトロープは、花が大きく美しいため、園芸的に栽培されることが多い品種です。
園芸店にヘリオトロープとして並ぶのは、こちらのビッグヘリオトロープが一般的です。

ここではこの2種のヘリオトロープについて紹介しています。

ヘリオトロープの花期は5月~10月。
花期になると、茎の上部から花序を出し、花径3~5㎜程度の小さな花を多数咲かせます。
花は基部が筒状で花冠が5裂しており、5枚の花弁を持っているように見えます。

▼ヘリオトロープ

ヘリオトロープ

花は長い花期の間次々と開花します。
花色は紫、白。

▼白花のヘリオトロープ

ヘリオトロープ

葉は先の尖った卵形で葉脈の部分がくっきりと窪み、茎に互生します。
葉裏、茎には短毛があり、茎は分枝しながら花を咲かせ、草丈30~70㎝程度に成長します。

▼ヘリオトロープの葉の様子

ヘリオトロープ

高温多湿に強い性質で、乾燥を嫌います。
耐寒性は低く、冬越しには5℃以上の気温が必要です。
強い霜に当たると枯れてしまうので、キダチルリソウを冬越しさせる場合は、暖地であっても室内に取り込んだ方が安全です。

ヘリオトロープの主な品種

キダチルリソウ(Heliotropium arborescens)

ペルーに分布する小低木のヘリオトロープです。
花にはバニラのような甘い香りがあり、古くから香水の原料として利用されてきました。
園芸店の店頭に並ぶことはほとんど無く、ハーブとして流通しています。
花色は紫、白。

ビッグヘリオトロープ(Heliotropium europaeum)

ヘリオトロープ

ヨーロッパ、北アフリカ、アジアに分布する一年草のヘリオトロープです。
現在では北米、オーストラリアなど他の地域でも帰化植物として定着しています。
園芸店でヘリオトロープとして販売されているのは、大半は本種です。
香りはあまり強くありません。
花色は紫、白。

ヘリオトロープの育て方

ヘリオトロープの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
高温多湿には強い性質ですが、乾燥が苦手です。
夏場の強い西日が当たる場所では乾燥しやすいので、真夏には西日が避けられる場所だと理想的です。
キダチルリソウの冬越しを考えている場合は、鉢植えにすると管理が比較的容易です。

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。

冬越し

耐寒性はあまり高くなく、0℃以下になると枯死する可能性があります。
霜に当たると枯れ、寒風で株が傷みます。
関東以南の平地であれば、霜の避けられる日当たりの良い場所で冬越しをすることも可能ですが、心配な場合は室内に取り込んで下さい。
室内では5℃以下にならない日当たりの良い場所で管理します。
15℃以上の気温があれば、周年開花します。

水やり

鉢植えの場合は、用土の表面が乾きかけたらたっぷりと水やりをして下さい。
水切れをするとすぐに葉が萎れ、ひどい場合には落葉してしまいます。
特に夏場の乾燥には注意して管理して下さい。

庭植えの場合は、乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

肥料

元肥として用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
追肥は、庭植え鉢植え共に、3月下旬~6月、9月~10月の間に、緩効性化成肥料を定期的に置き肥するか、液体肥料を施します。
花期が長いので、真夏を除く生育期間中は肥料切れをさせないように注意して下さい。
冬越し中の株には肥料を施す必要はありません。

植え付け、植え替え

適期は3月下旬~6月、9月~10月です。

植え付け

酸性土壌を嫌います。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておいて下さい。
水はけが悪いようなら、腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作ります。
さらに元肥として、用土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・パーライト1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

キダチルリソウを冬越しさせる場合は、花後の秋か、冬越し後の春に植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えて下さい。

花柄摘み、切り戻し

小さな花が次々と咲きますが、花は短命です。
こまめに取り除くと常に美しい花姿で楽しむことが出来ます。

花が咲き終わった茎は、1/2程度の高さで切り戻して下さい。
脇芽が伸びて再び花を咲かせます。

枝が伸びて草姿が乱れた場合は、花が一段落した頃に草丈の1/2程度の高さで切り戻しを行って下さい。

増やし方(挿し芽)

挿し芽(挿し木)で増やすことが出来ます。

挿し芽(挿し木)

適期は5月~6月、9月です。

茎の先端を6~8㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下の節の葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
発根には1か月程度かかります。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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