多年草・宿根草 ハーブ

セイヨウカノコソウ(バレリアン)

  • 学名…Valeriana officinalis L.
  • 和名…セイヨウカノコソウ(西洋鹿の子草)
  • 別名…バレリアン、ホワイトバレリアン、コモンバレリアン
  • 科名…スイカズラ科
  • 属名…カノコソウ属
  • 原産国…ヨーロッパ、コーカサス地方
  • 花色…白~ピンク色
  • 草丈…50㎝~150㎝
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 8

セイヨウカノコソウ(バレリアン)とは

バレリアン(セイヨウカノコソウ)

セイヨウカノコソウは、ヨーロッパからコーカサス地方原産のスイカズラ科カノコソウ属の多年草です。
主に海岸や小川のほとり、広葉樹林、林縁、休耕田や荒れ地などで見られる野草です。

根や茎には、鎮静作用や抗不安作用がある成分が含まれる可能性があり、ヨーロッパでは不眠症の伝統薬として利用されてきました。
少なくとも古代ギリシャ、ローマ時代から利用されており、長い栽培の歴史を持つハーブです。
英名はバレリアン。

ハーブとして利用される他、観賞用として宿根草ガーデンなどに植栽されます。


セイヨウカノコソウの花期は5月~7月。
花期になると、分枝した茎の頂部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は散形花序。

▼セイヨウカノコソウの花序

セイヨウカノコソウ(バレリアン)

花は長さ4~6㎜の漏斗状で、基部がわずかに膨らみ、先は5裂して平らに開きます。

▼セイヨウカノコソウの花

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の花

雄しべは3個、雌しべの柱頭は3裂しており、共に花冠から突出します。

▼セイヨウカノコソウの雄しべと雌しべ

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の雄しべと雌しべ

花は白~淡いピンク色。
花には甘い香りがあります。

▼ピンク色の花を咲かせるセイヨウカノコソウ

ピンク色の花を咲かせるセイヨウカノコソウ(バレリアン)

果実は長さ4~5㎜の痩果(そうか)。

※痩果(そうか)…果実の種類で、果皮が乾いて1個の種子を包み、裂開しないもの。キク科、キンポウゲ科などに見られる。

痩果の頭には冠毛が生えています。

▼セイヨウカノコソウの果実

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の果実

葉は対生し、奇数羽状複葉です。

羽状複葉(うじょうふくよう)…葉軸の左右に小葉が並んだ葉の形。

小葉は長さ5~15㎝、幅3~8㎝の狭楕円形~広卵形です。
縁に粗い鋸歯があり、葉柄は0~8㎝。

▼セイヨウカノコソウの葉の様子

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の葉の様子

茎は多数分枝し、花を咲かせながら草丈50~150㎝に成長します。

▼たくさんの花を咲かせるセイヨウカノコソウ

たくさんの花を咲かせるセイヨウカノコソウ(バレリアン)

寒さに強く、基本的に丈夫です。
高温多湿の環境がやや苦手な性質なので、暖地・温暖地では夏場に午後から日陰になるような場所が適しています。

環境が合えば、病害虫の発生もほとんど無く、育てやすい植物です。

関連図鑑

草姿の似た植物にセントランサスがあります。
セントランサスは同じスイカズラ科の植物で、レッドバレリアンとも呼ばれています。

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の育て方

セイヨウカノコソウ(バレリアン)の育て方

栽培環境

日なた~半日蔭で、水はけが良く、乾燥しすぎない環境が適しています。
暖地・温暖地の場合は、夏場に午後から日陰になるような半日蔭の場所が適しています。

完全な日陰では茎が弱くなり、倒れやすくなるので、ある程度の日照時間は必要です。

弱アルカリ性の土壌を好みます。
庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を弱アルカリ性にしておいて下さい。

冬越し、夏越し

冬越し

寒さには強い性質で、特に対策の必要はありません。

根まで凍るような寒冷地の場合は、株元に敷き藁を敷くなどして防寒対策を施して下さい。
鉢植えの場合は、凍結の心配のない場所で管理して下さい。

夏越し

日本の高温多湿の環境が苦手な性質です。
花後に切り戻し、風通しを良くして下さい。

鉢植えの場合は、夏場は日陰の場所に移動します。
庭植えで一日中陽が当たるような場合は、遮光します。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、長く乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
冬場はやや乾燥気味に管理します。

肥料

多くの肥料を必要とする植物ではありません。

庭植え、鉢植え共に、春と秋に少量の緩効性化成肥料を施します。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は春の4月~5月、秋の9月~10月です。

庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜ込んで土壌を弱アルカリ性にしておきます。
さらに腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、1~2年に一度、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行って下さい。

庭植えの場合も、3年ほど経って株が混み合って来たら、株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。

切り戻し

花が終わった茎は切り戻します。
時期が早ければ、わき芽が伸びて、再び開花します。

種まき

適期は9月下旬~10月です。
寒冷地の場合は、春の4月~5月頃にまいて下さい。
発芽温度は15℃~20℃です。

種は播種箱にまき、覆土は無し。
発芽までには2~4週間程度かかります。
本葉が4~6枚程度になったらポット上げして下さい。
ポットに根が回ったら、花壇や鉢に定植します。

秋まきで苗が小さい場合は、霜よけを設置すると安心です。

増やし方

株分けと種まきで増やすことが出来ます。
※種まきについては上記「種まき」の項目を参照してください。

株分け

適期は植え替え時の4月~5月、9月~10月です。
掘り上げた株を分けて、植え付けて下さい。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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