中・高木 庭木

ロウヤガキ

学名…Diospyros rhombifolia
和名…ロウヤガキ(老鴉柿)
別名…ツクバネガキ(衝羽根柿)
科名…カキノキ科
属名…カキノキ属
原産国…中国
花色…白~淡黄色
樹高…5m~8m
日照…日なた
難易度…星
USDA Hardiness Zone:Not Applicable

ロウヤガキとは

ロウヤガキ

ロウヤガキは、中国原産のカキノキ科カキノキ属の落葉小高木です。
分布域は、安徽省、福建省、江蘇省、江西省、浙江省など中国中東部に広がっており、主に標高300~800mの雑木林の斜面、川沿いの森林の中などに自生が見られます。

日本へは、京都府立植物園の初代園長である菊地秋雄氏が、第二次大戦中に中国から持ち帰ったものが最初です。
以来、庭木や盆栽として利用されています。

ロウヤガキの花期は4月~5月上旬。
雌雄異株で、花期になると先の葉腋から花柄を出し、花を咲かせます。

雄花は多くの場合、数個がまとまって付いており、花冠は凹形で、中には16個の雄しべがあります。
4個の萼片は小さく、あまり目立ちません。

雌花は単生し、花冠は凹形で4裂しており、反り返ります。
4個の萼片は長さ約1㎝の披針形で、雄花よりはるかに長く目立ちます。

▼ロウヤガキの雌花

ロウヤガキの雌花

果実は幅約2㎝の先が尖った楕円形で、秋になると橙色に熟します。
味は非常に渋く、食用ではありません。
中には長さ1㎝程度の焦げ茶色の種子が2~4個入っています。

果実の色や形の異なる品種が多数作出されています。

▼ロウヤガキの果実(品種不明)

ロウヤガキの果実

葉は互生し紙質で、長さ4~8.5㎝、幅1.8~3.8㎝、基部は楔形で先が尖ります。
葉表は暗緑色をしており、葉脈上に細かい毛が生えており、葉の縁にも毛があります。
葉裏は淡い色をしており、全体的に先の寝た細かい毛が生えています。

ロウヤガキの葉の様子

幹は淡褐色~灰色で、小枝には毛が生えており、枝先は目立たない棘状になっています。
また、時には枝先付近に太く短い横棘がある場合もあります。

枝は分枝しながら、樹高5~8m程度に成長します。

▼ロウヤガキの枝先の横棘の様子

ロウヤガキの枝先の横棘

小枝にぶら下がる小さな果実が愛らしい樹木です。
一般的な柿の木に比べるとやや耐寒性に劣りますが、基本的に丈夫な性質です。

雌雄異株なので、雄木が無いと受粉できず結実しません。
ジベレリン処理を行うと多数の実が付くので、雄木が入手できない場合や、植えるスペースが無い場合などに利用すると良いかもしれません。

ロウヤガキの育て方

ロウヤガキの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
夏場の強い乾燥を嫌います。
夏場に西日が株元まで差し込むような環境では乾燥しすぎるので、敷き藁などで乾燥しすぎるのを防ぎます。

冬越し

鉢植えの場合は、鉢土が凍らないような場所で管理するか、凍結対策を行ってください。
庭植えの場合は、特に対策の必要はありません。

ロウヤガキは、通常のカキノキに比べると、やや耐寒性に劣ると言われています。
ロウヤガキの詳細な耐寒温度等は不明ですが、カキノキ(ヤマガキ)は本州以南で自生しています。
ちなみにカキノキ(ヤマガキ)の耐寒温度は-13℃程度です。

水やり

庭植えの場合は、根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に酷く乾燥するようなら、水やりを行ってください。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場は乾きやすいので、水切れに注意して管理してください。

肥料

庭植えの場合は、落葉期の2月頃に寒肥として骨粉入りの油かすを株元に施します。
追肥は7月頃に、同様の肥料を株元にバラ撒きます。

鉢植えの場合は、2月、7月に加え、さらに10月にも、緩効性化成肥料、または骨粉入りの油かすを株元に施します。

植え付け、植え替え

適期は2月中旬~3月です。

植え付け

庭植えの場合は、根鉢の2~3倍の植え穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込みます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませます。
必要であれば、支柱を立てて下さい。

鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、2~3年に一度、植え替えを行います。
根鉢を軽くほぐし、一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けて下さい。

剪定

適期は落葉期の2月頃と、開花後から花芽分化までの間である6月頃です。

葉が大きく茂るので枝ぶりを見やすい落葉期に、樹形を整える剪定を行います。
枝が混み合っている場合は、間引き剪定を行って不要な枝を落とします。
また、6月頃に不要な枝が目立つようであれば、切り取ります。

ロウヤガキの花芽は前年に伸びた枝の枝先近くに多数付くので、前年枝を切りすぎないように注意します。

増やし方

ロウヤガキは、根伏せ、実生、取り木などで増やすことが出来ますが、根伏せが最も成績が良く、親株の性質も引き継がれます。
また、実生の発芽率も高いので、種を採取して植えてみても良いと思います。
※実生では親株の性質が受け継がれるとは限りません。

挿し木も可能ではありますが、活着率が極端に悪いのでお勧めしません。

根伏せ

植え替え時に、鉛筆程度の太さがある根を10㎝ほど切り取ります。
鉢などに用土を入れて、根を用土の表面から1㎝以上、頭が出るように植え付けます。
乾燥防止のため、水苔を被せ、たっぷりと水やりをします。

乾燥しないように管理すれば、2ヶ月~3ヶ月程度で芽が出てきます。
早い場合は3年~4年で開花します。

種まき

種の採取

12月~1月頃になってしっかりと熟した果実を採取し、中の種を取り出します。
果肉には発芽を抑制する成分が含まれているので、しっかりと洗い流して下さい。

ロウヤガキの種は乾燥すると発芽しなくなります。
保存する場合は、乾燥に注意して冷蔵庫などに入れて下さい。

種まき

種は採取してすぐ撒くか、保管しておいたものを3月~4月頃に撒きます。
種はポットなどに撒き、乾燥させないように管理して下さい。
発芽は5月~6月頃になります。

発芽後はしばらくポットで育て、秋か翌春に鉢などに植え替えます。
開花は品種や生育状況などで大きく異なりますが、最短で4~5年後になります。

病気・害虫

一般的な甘柿と異なり、病害虫の発生はほとんどありません。

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