ヒサカキ

ヒサカキとは

ヒサカキは、日本、朝鮮半島、中国に分布するモッコク科ヒサカキ属の常緑低木～小高木です。
日本では青森県を除く本州、四国、九州、沖縄に分布しており、山地の林内に自生しています。

耐寒性に劣るサカキの代用として、神事や仏事に用いられるほか、庭木としても植栽されます。
ヒサカキの名前は、サカキより小さいことを表す「ヒメサカキ(姫榊)」が訛ったとする説、サカキでないの意で「非榊」とする説などがあります。

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ヒサカキの花期は3月～4月。
花期になると、上部の枝の葉腋に、小さな花を多数咲かせます。
花は径5㎜前後の大きさで、下向きに1～3個が束生します。

雌雄異株。
花には独特の臭気があります。

▼ヒサカキの花の様子

花は淡い黄色を帯びた白色～淡紅色の5弁花です。
雄花は壺形で、12～15個の雄しべがあり、雌しべは退化しています。

▼ヒサカキの雄花

雌花は雄花はよりやや小さく、花弁が開いた杯状です。
雄しべは退化しており、雌しべの花柱は先が3裂しています。

▼ヒサカキの雌花

▼淡紅色のヒサカキの花

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果実は直径5㎜程度の球形の液果で、秋になると黒く熟します。
中には細かい種子が多数入っています。

▼ヒサカキの果実

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葉は互生し、長さ3～7㎝、幅1.5～3㎝の楕円形～長楕円形です。
革質で表面にはツヤがあり、縁には浅い鋸歯があります。
葉柄は2～3㎜。

▼ヒサカキの葉の様子

樹皮は暗褐色～灰褐色で、滑らかです。
樹高4～8ｍに成長します。

▼大きく育ったヒサカキ

丈夫な性質で、育てやすい樹木です。
花は観賞用ではありません。

成長が比較的緩やかで、樹形もそれほど乱れません。
刈り込むことが出来るので、生垣にも利用することができます。

関連図鑑

近縁種にハマヒサカキがあります。
ハマヒサカキは千葉県以西の海岸に多く分布するヒサカキ属の常緑低木で、葉が丸いのが特徴です。
庭木としてはヒサカキよりもハマヒサカキの方がよく植栽されます。

サカキは同じモッコク科ですが、サカキ属に分類されている常緑高木です。
葉に鋸歯が無いのが特徴です。

ヒサカキの育て方

栽培環境

本来の自生地は林内などの半日蔭の環境ですが、日なた～日陰の幅広い環境に適応します。

耐寒性

自生地は青森県を除く本州以南の地域です。
東北地方の山地などでは寒さで枯れてしまうことがあるので、注意して下さい。

水やり

根付けばほぼ降雨のみで大丈夫です。

肥料

木が幼い内は、2月～3月頃に、株元に緩効性化成肥料や固形の油粕などを施します。

あまり多くの肥料を必要とする樹木ではありません。
成長に問題が無いようであれば、大きく育ってからは肥料を施す必要はありません。

植え付け

適期は3月下旬～4月、9月下旬～10月です。

根鉢の2～3倍の植穴を掘り、用土に腐葉土を混ぜ込みます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませます。

必要であれば支柱を立てます。

剪定

適期は真夏を避けた春～秋の間です。

花を観賞する樹木では無いので、必要であれば適宜剪定を行います。
枯れ枝や不要な枝を取り除きます。
生垣の場合は、伸びて形が乱れているようであれば刈り込みます。

増やし方

挿し木で増やすことが出来ます。

枝を2～3節程度の長さに切り取って挿し穂にします。
水揚げをしっかりとし、挿し木用土に挿して下さい。

水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。

病気・害虫

カイガラムシが発生することがあります。
数が増えるとすす病を併発するので、早めに対処します。

ホタルガの幼虫が発生することがあります。
分泌液に触れるとかゆみを伴う発疹がでるので、注意が必要です。

関連記事…カイガラムシの種類と駆除方法、毛虫の種類と駆除方法