多年草・宿根草 低木 庭木

アブチロン

学名…Abutilon
別名…ウキツリボク、チロリアンランプ、ショウジョウカ
科名…アオイ科
属名…イチビ属(アブチロン属)
原産国…熱帯、亜熱帯
花色…赤、白、黄、オレンジ、ピンク
樹高…20㎝~150㎝
日照…日なた(夏場は半日蔭)
難易度…星
USDA Hardiness Zone:品種による

アブチロンとは

アブチロン

アブチロンは、主にアメリカ、アフリカ、アジア、オーストラリアの熱帯から亜熱帯地域にかけて約200種が分布するアオイ科アブチロン属の植物です。
その形態は多年草、つる性低木などがありますが、主に流通しているのは、常緑性低木タイプのものと常緑性半つるタイプのもの、両種の中間タイプのものです。
熱帯植物ですが比較的耐寒性の高い性質で、品種によりますが暖地であれば戸外での冬越しも可能です。

アブチロンの主な花期は5月~10月。
※温度があれば一年を通して開花します。
花期になると、上部の葉の付け根から花柄を出し、枝からぶら下がるように花を咲かせます。
多くの品種は、5枚の花弁が合着した釣り鐘形の花で、独特の花姿は愛らしいものです。
原種の多くは黄色、またはオレンジ色の花ですが、流通している品種には赤、白、ピンク色などの花を咲かせるものも数多くあります。

▼黄色い花を咲かせるアブチロン

アブチロン

しべの様子は同科のハイビスカスフヨウによく似ています。
多数の雄しべが癒合して筒状になっており、その先端部分に雌しべがあります。

▼アブチロンのしべの様子

アブチロン

葉の形は卵形からモミジ形まで品種により異なります。
葉色も緑葉のものの他、美しい斑入り品種もあります。

耐寒性は高くありませんが、基本的に丈夫な性質で育てやすい植物です。
ハマキムシなどによる葉の食害が時々発生することがありますが、他のアオイ科の植物に比べると頻度はかなり少なめです。

アブチロンの主な品種

ウキツリボク(浮釣木:Abutilon megapotamicum)

ウキツリボク

USDA Hardiness Zone:8b to 11

アルゼンチン、ブラジル、ウルグアイに分布するアブチロンで、チロリアンランプの名前でよく流通しています。
比較的耐寒性が高く、関東以西の暖地で暖かい場所に植えれば、戸外で冬越し可能です。
霜で落葉しますが、春になるとまた芽吹くことが多いです。
中国地方(平野部)の管理人宅では、霜よけ無しで冬越ししています。
一部枝が寒さで枯れることがありますが、大部分は春になれば芽吹きます。

⇒ウキツリボクの詳しいページはこちら

ドワーフ・レッド(A. ‘Dwarf Red’)

アブチロン ドワーフ・レッド

USDA Hardiness Zone:9 to 11

木立性の品種です。
花径3㎝と他の品種に比べると花が小さいのですが、分枝、花付きが非常によく華やかな印象です。
暖地であれば戸外での冬越しも可能ですが、心配な場合は室内での管理をオススメします。

ホワイト・キング(A. ‘White King’)

アブチロン ホワイト・キング

USDA Hardiness Zone:9 to 11

木立性の品種です。
生育旺盛で樹高1m以上になり、花径5㎝ほどの白い花を咲かせます。
暖地であれば戸外での冬越しも可能ですが、心配な場合は室内での管理をオススメします。

スウィング・ベル(A.  ‘Swing Bell’)

アブチロン スウィング・ベル

USDA Hardiness Zone:Not Applicable

半つる性の品種です。
花径3㎝の小さな花を咲かせます。
矮性品種で、ハンギングバスケットや寄せ植え向きです。

アブチロンの育て方

アブチロンの育て方

栽培環境

日当たりを好みますが、真夏の強い西日が当たる場所は避けて下さい。
庭植えの場合は、午前中日が当たる半日蔭の場所で育てます。
暖地で戸外で冬越しを考えている場合は、北風の当たらない場所が適しています。

夏越し・冬越し

夏越し

鉢植えの場合は、夏場は半日蔭に移動して下さい。

冬越し

耐寒性が最も高いのはウキツリボクです。
ウキツリボクであれば、関東以西の暖地での冬越しが可能です。
霜にあたると葉が傷んだり落葉したりしますが、枝が生きていれば春にまた芽吹きます。
庭植えで心配な場合は、株元を腐葉土や敷き藁で覆い、霜よけを設置して下さい。
鉢植えの場合は、霜や凍結の心配のない場所に移動するか、室内で管理します。

その他の品種はやや耐寒性に劣ります。
上で紹介している品種は暖地であれば冬越し可能な場合が多いですが、強い霜や冷え込みが心配される場合は室内に取り込んだ方が安心です。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬越し中はやや乾燥気味に管理して下さい。

肥料

生育期間中は肥料を切らさないように注意します。

庭植えの場合は、元肥として緩効性化成肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は5月~9月の間に、月に一回程度、緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

鉢植えの場合も5月~9月の間に、緩効性化成肥料を置きします。
花がよく咲いているようなら、さらに液体肥料も併用して下さい。

植え付け・植え替え

植え付け

適期は4月~6月、9月です。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込み、元肥として緩効性化成肥料も施しておきます。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土を使います。
大きな鉢に植える場合は、赤玉土を中粒にします。

植え替え

適期は4月~6月です。
鉢植えの場合は、毎年の植え替えが必要になります。
根鉢を軽く崩して、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。

切り戻し、剪定

適期は4月~5月です。

花芽は新しく伸びた枝の先に付きます。
前年に伸びた枝を1/2~1/3の位置で切り戻して下さい。
不要な枝を剪定するだけなら5月~9月の間にも行うことができます。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は4月~6月です。
切り戻した枝を使うことも出来ます。
枝の先端を8~10㎝程度の長さに切り、水揚げをしてから挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理すれば、1ヵ月ほどで発根します。

病気・害虫

アブラムシ

新芽や蕾に発生します。
見つけ次第、駆除して下さい。

ハマキムシ

アオイ科の植物に発生しやすい害虫です。
葉がクルっと巻いていたり、糸で綴り合わせられていたら中にハマキムシが潜んでいます。
見つけ次第捕殺するか、数が多いようなら薬剤で対処して下さい。

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