- 学名…Gardenia jasminoides Ellis
- 和名…クチナシ(梔子)
- 別名…ガーデニア
- 科名…アカネ科
- 属名…クチナシ属
- 原産国…日本、中国、台湾、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、インド、ネパール、パキスタン
- 花色…白色
- 樹高…1m~2m
- 日照…半日蔭
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 11
クチナシとは
クチナシは、東アジア、東南アジア原産のアカネ科クチナシ属の常緑低木です。
分布域は日本、中国、台湾、タイ、ラオス、ベトナム、カンボジア、インド、ネパール、パキスタンにあり、日本では本州の静岡県以西、四国、九州、南西諸島に自生しています。
美しい葉と花を持つことから、観賞用として世界で広く栽培されています。
英名はガーデニア(Gardenia)。
クチナシの花期は6月~7月。
花期になると、上部の葉の付け根から短い柄を出し、白い花を咲かせます。
花は基部が筒状、先は深く5~7裂し平らに開きます。
▼クチナシの花
雄しべは通常6個あり、開花時には花粉を放出し、倒れた状態になります。
雌しべは淡黄色で、柱頭は大きな棍棒状です。
▼クチナシの雄しべと雌しべ
花には強い芳香があり、庭を甘い香りで包みます。
ジンチョウゲ、キンモクセイと並んで三大香木の一つとなっています。
花色は白のみ。
基本種は一重咲きですが、八重咲き品種も流通しており、バラのような花姿から近年人気です。
▼八重咲きのクチナシ
果実は長さ2~3㎝の楕円形の液果(えきか)。
側面には5~7の陵があり、上部には萼片が残ります。
※液果(えきか)…果皮の一部が多肉質、または液質(果肉)となる果実。多肉果(たにくか)とも呼ばれる。
▼クチナシの果実
果実は秋になると熟して橙色になります。
※八重咲きの品種では結実しません。
▼熟したクチナシの果実
漢方ではクチナシの果実を乾燥させたものを山梔子(サンシシ)と呼び、消炎、利尿、止血作用のある薬として用いられます。
また、果実から採れる染料は奈良時代から使われており、現在でも沢庵やきんとん、ゼリーやグミの着色料として広く利用されています。
葉は対生、または三輪生し、長さ5~12㎝の長楕円形~倒披針形です。
葉は革質で表面には美しい光沢があります。
葉柄は短く、付け根に托葉が付きます。
托葉は4個が合着して筒状となります。
▼クチナシの葉の様子
樹高1~2m程度に成長します。
▼たくさんの花を咲かせるクチナシ
寒さはやや苦手な性質で、寒冷地での冬越しは室内が基本になります。
オオスカシバの幼虫による葉の食害が発生しやすいので、注意が必要です。
発見が遅れるとあっという間に丸裸になります。
クチナシの主な品種
様々な品種が流通しています。
ヤエクチナシ(Gardenia jasminoides f. ovalifolia)
クチナシの八重咲き種です。
かつては西洋でコサージュに使うために広く栽培されていましたが、花持ちが良くないため現在ではその座をランに奪われています。
強い芳香から庭木としての人気は不動で、現在でも多くのヤエクチナシが植栽されています。
樹高1~2mに成長し、花径5~6㎝程度の花を咲かせます。
結実しないことが多いです。
コクチナシ(Gardenia jasminoides var. radicans)
クチナシの変種で、樹高30㎝程度と小さいのが特徴です。
クチナシに比べると葉も花も小さく、ヒメクチナシとも呼ばれます。
樹高が低く横に枝を広げる性質のため、グランドカバーとして利用されることもあります。
一重咲きの他、八重咲き品種も多く流通しています。
※写真は八重咲き品種。
オオヤエクチナシ(ガーデニア:Gardenia jasminoides 'Fortuniana')
ガーデニアの名前で近年人気の八重咲き品種です。
樹高1~2mで葉も大きく、大輪の花は10㎝前後にもなり、見ごたえがあります。
雄しべが花弁のように変化しているため、結実しないことが多いです。
その他にも丸く小さな葉が特徴の「マルバクチナシ」、斑入り品種、結実する「ミナリクチナシ」など、数多くの品種が流通しています。
クチナシの育て方
栽培環境
強い西日が避けられる半日蔭程度の場所が適しています。
日照時間が足りないと花付きが悪くなるので、半日程度は日が当たる場所で育てて下さい。
冬場の乾燥した冷たい風に当たると枝先が枯れ込むことがあるので、冬場に風を避けられる場所だと最適です。
冬越し
関東南部以西の暖地であればそのまま戸外で冬越し可能です。
暖地であっても鉢植えの場合は、冷たい風があまり当たらない場所に移動します。
関東北部から北陸でも庭植えで栽培可能ですが、防寒対策が必要です。
枝を軽く縛り、ビニールやわらを被せます。
ビニールの場合は空気穴を、わらの場合は南側を空けて日光を取り込むようにして下さい。
その他の地域では鉢植えにして、冬場は室内に取り込んで下さい。
水やり
庭植えの場合は、夏場に乾燥が続くようなら水やりをします。
暑い時期に極端に水切れをさせると葉焼けしてしまうので、注意して下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥に弱い性質なので、夏場は朝夕に水やりをして下さい。
肥料
庭植えの場合は、3月頃に元肥(寒肥)として骨粉入りの油粕を株元に施します。
追肥は花後に同様の肥料を与えて下さい。
鉢植えの場合も同様で、3月と花後に骨粉入りの油粕や緩効性肥料を株元に施します。
植え付け・植え替え
適期は4月~5月です。
植え付け
庭植えの場合は、元肥として用土に腐葉土や堆肥、緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。
根を切らないように注意しながら根鉢を1/3程度崩して植え付けて下さい。
根付くまでは乾燥に注意します。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで用土を作って下さい。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりを起こすので、2~3年に一度植え替えを行います。
根鉢を1/3程度崩して、伸びすぎた根があるようなら切り詰めます。
一回り大きな鉢に新しい用土で植え付けて下さい。
剪定
クチナシの花芽は、花後に伸びた枝に作られます。
真夏を挟んで花後と秋に花芽分化し、翌年に花を付けます。
剪定の適期は花後の出来るだけ早い時期です。
自然に樹形が整うので、大きな剪定は必要ありません。
混み合った枝や枯れた枝を切り取り、ひこばえがあれば切り落として下さい。
古い枝には花芽が付きにくいので、枝分かれしている部分で切り、枝を更新します。
増やし方(挿し木)
挿し木で簡単に増やすことが出来ます。
挿し木
挿し木が可能な時期は何度かありますが、最適期は6月~7月です。
その年に伸びた枝を10㎝~15㎝の長さに切り取り、下の節の葉を取り除きます。
残った葉が大きいようなら半分程度にカットし、水揚げをして下さい。
挿し木用土に挿したら、明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。
1ヵ月程度で発根するので、芽が伸び始めてから1~2か月程度そのまま育て、鉢上げをして下さい。
病気・害虫
オオスカシバ
幼虫が葉を食害します。
大きくなるとあっという間に丸裸にされるので、注意して下さい。
早期発見を心掛け、捕殺するか殺虫剤で対処します。