多年草・宿根草 多肉植物

月下美人

学名…Epiphyllum oxypetalum
和名…月下美人(ゲッカビジン)
別名…ゲッカコウ(月下香)、シロクジャク(白クジャク)
科名…サボテン科
属名…エピフィルム属(クジャクサボテン属)
原産国…メキシコ~中米
花色…白
草丈…1m~2m
日照…日なた(夏は半日陰)
難易度…星
USDA Hardiness Zone:11

月下美人とは

月下美人

月下美人は、メキシコから中米の熱帯雨林にかけて分布するサボテン科クジャクサボテン属の多肉植物です。
自生地は高温多湿の森林で、大木の幹や枝に根をまとわりつかせて着生して生育します。
流通している株はすべてジャングルに自生する原種(Epiphyllum oxypetalum)で、品種改良が施されたものではありません。

月下美人の花期は6月~11月。
花期になると、分枝した茎葉の縁から蕾を出し、純白の花を咲かせます。
蕾は最初下を向いていますが、花が咲くころには上向きになります。
花は径12㎝程度、長さ20㎝前後と大きく、多数の花弁を螺旋状に付け、中心には糸のように細い多数の雄しべと、一本の雌しべがあります。
花は夕方から徐々に咲き始め、数時間で開花して強い芳香を周囲に漂わせ、朝までには萎んでしまいます。
この性質は、花粉を媒介する小型コウモリが夜行性であることに適応したと考えられています。

▼月下美人の花

月下美人

花は焼酎に漬けることで咲いた状態で保存することが可能で、台湾ではスープの具材として利用されることもあります。
花は花期の間、まとまって数度開花を繰り返します。

▼多数の花を咲かせた月下美人

月下美人

花後は受粉していれば果実が実り、この果実も食べることができますが、自家受粉では結実しません。
月下美人は自家不和合性の性質を持つ植物で、結実には他の株からの受粉が必要になります。
近年まで流通していた月下美人の全ての株は、原産地から導入された株から挿し葉などで増やされたクローン株だったため、結実することはありませんでした。
1980年代になって他の株のクローンが流通するようになっており、現在では国内でも結実することが可能になっています。
「食用月下美人」の名前で流通している株は、以前から流通している株とは別個体であるため、受粉することが出来れば結実します。

果実は熟すと赤くなり、白い果肉の中に黒いゴマのような種がたくさん入っています。
果実の形が違いますが、味、見た目ともにトゲの無いドラゴンフルーツといった感じです。

茎は扁平で葉のような形をしており、葉状茎(ヨウジョウケイ)と呼ばれます。
葉状茎にはトゲは無く、よく分枝し、大きく成長すると蕾を付けるようになります。

▼月下美人の葉状茎

月下美人

耐寒性は低く、冬越しには最低でも5℃以上の気温が必要になります。
夏の強い日差しも苦手なため、真夏は半日陰の場所での管理になります。

月下美人の育て方

月下美人の育て方

栽培環境

5~6月頃までは良く日の当たる場所で育てて下さい。
長雨の時期に雨に当たると蕾が落ちてしまうことがあるので、雨の避けられる場所だと理想的です。

日光を好みますが、夏の強い日差しに当たると葉焼けを起こします。
梅雨明けから9月の彼岸頃までは半日陰の場所で管理します。

9月の彼岸以降は再びよく日に当て、霜に当たる前に室内に取り込みます。
5℃以下になると株が傷むので注意が必要です。
室内では日当たりが良く、7℃以上の気温が保てる場所で管理して下さい。

水やり

用土の表面が乾いたらたっぷりと。
冬越しで室内に取り込んだ株は、乾燥気味に管理します。
用土が乾いてから数日後に、軽く湿る程度に水を与えて下さい。

肥料

生育期の5月~9月の間に、緩効性化成肥料を月に1回程度、株元に置き肥して下さい。
または液体肥料を定期的に施します。
窒素分が多いと葉ばかりが茂って花付きが悪くなるので、リン酸やカリ分の多い肥料を使用して下さい。

植え付け、植え替え

適期は5月~9月です。

植え付け(用土)

水はけの良い土が適しています。
市販のシャコバサボテンの培養土を使うか、赤玉土(小粒)5・腐葉土3・パーライト2などの土を使います。
鉢は通気性の良い、素焼きの鉢が適しています。

植え替え

自然環境では樹木に着生して生育しているため、鉢で育てると根腐れを起こしやすい性質です。
根腐れを起こすと、葉茎に皺がよって萎びます。
鉢から株を抜いて、腐った根を取り除き、新しい用土で植え替えて下さい。

根腐れを起こしていない場合でも、2年に一度は植え替えを行って下さい。

支柱立て

株元からシュートと呼ばれる茎を勢いよく伸ばして枝垂れます。
早い時期に支柱を立てて、葉茎が上に伸びるように固定して下さい。

切り戻し

秋の9月頃に、枯れた葉茎を取り除きます。
高さを抑えたい場合は切り戻しを行いますが、ある程度大きく育ったほうが花付きがよくなります。
長く伸びたシュートが邪魔になることがありますが、付け根から切り落とすとその後の生育に影響します。
古いシュートも1m程度は残すようにして切って下さい。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は5月~9月の生育期です。
葉を15~30㎝程度にカットして下さい。
葉は新しいものより古いものの方が適しています。
よく切れるナイフなどでカットし、2~3日ほど明るい日陰で陰干しして切り口を乾燥させます。
切り口が乾いたら、赤玉土などを入れた鉢に浅めに挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理すれば、1か月程度で発根します。
発根したら徐々に日光に慣らし、春になったら植え替えて鉢増しをします。

開花までには2~3年かかります。

病気・害虫

赤枯れ病

根詰まりや水のやりすぎで根腐れを起こすと発病します。
葉が茶色くなって枯れてしまいます。
傷んだ葉は健全な部分まで切り詰めて植え替えを行って下さい。
根腐れを起こしている根を取り除いて、新しい用土で植え替えを行います。

酷い場合は、健全な部分を使って挿し木をし、株を更新して下さい。

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