低木 庭木

カルーナ

  • 学名…Calluna vulgaris (L.) Hull
  • 和名…ギョリュウモドキ(御柳擬)
  • 別名…カルーナ・ブルガリス、シホウハク(四方柏)
  • 科名…ツツジ科
  • 属名…ギョリュウモドキ属
  • 原産国…ヨーロッパ、北アフリカ、トルコ、ロシア
  • 花色…ピンク、白、紫
  • 樹高…20㎝~80㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 6

カルーナとは

カルーナは、ヨーロッパ、北アフリカ、トルコ、ロシアに分布するツツジ科ギョリュウモドキ属(カルーナ属)の常緑低木です。
ギョリュウモドキ属に分類される植物は本種一種のみですが、変種の多い植物として知られています。

美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、ヨーロッパではグランドカバーに利用されるなど定番の植物で、1000種以上の園芸品種があります。
冷涼な気候を好み、ヨーロッパの他、アメリカ、カナダなどでも帰化しており、群生している姿をみることが出来ます。


夏咲きと冬咲きのタイプがありますが、夏の暑さが苦手なため、暖地・温暖地では冬咲き品種が多く流通します。

花期は夏咲きタイプで6月~9月、冬咲きタイプで12月~3月です。

花期になると、茎の上部に花序を出し、多数の花を咲かせます。
花序は総状で、小さな花が密に付きます。

▼カルーナの花序

花は直径5㎜程度。
萼片は4個あり花弁状、花弁より長くなっています。
花弁は4個、基部で合着しています。

▼カルーナの萼片と花冠

雄しべは8個、雌しべは1個。

▼カルーナの雄しべと雌しべ

萼片の基部には6~8個の小苞(しょうほう)が付きます。

※小苞(しょうほう)…個々の花に付く苞葉のこと。

▼カルーナの小苞

花色はピンク、白、紫。
一重咲きの他、八重咲き品種も流通しています。

▼白とピンクのカルーナ


果実は球形の蒴果(さくか)。

※蒴果(さくか)…乾燥して裂開し、種子を放出する果実のこと。
複数の心皮からなり、熟すと心皮と同数に裂ける。アサガオ、ホウセンカ、カタバミなどに見られる。

果時にも萼片と花弁が残るため、果実はあまり目立ちません。
果実は熟すと裂け、中の種子が零れます。


葉は長楕円状披針形~卵状披針形です。
先に出るシュートには間隔を開けて付き、後から出るシュートでは鱗片状に枝を覆うように付きます。

▼カルーナの葉の様子

枝はよく分枝し、こんもりと茂るタイプ、這うように地面に沿って伸びるタイプなどがあります。
樹高は大きくなっても80㎝程度で、多年草のように扱うことが可能です。
品種によっては冬に美しく色付きます。

▼紅葉カルーナ

「紅葉カルーナ」と呼ばれるのは、主に冬季の紅葉を楽しむ品種で、寒くなると赤や黄色に葉が染まり、春になると再び美しい緑葉に戻ります。

耐寒性は高く寒さには強い性質ですが、高温多湿の環境が苦手なため、暖地での夏越しは難易度が高く、なかなか大株には育ちません。
夏が涼しい地域では育てやすい性質で、病害虫の心配もほとんどありません。
寒冷地向きの植物です。

関連図鑑

よく似た花を咲かせる植物にエリカがあります。
カルーナは1800年代までエリカ属に分類されていましたが、ギョリュウモドキ属として独立しました。

カルーナの育て方

カルーナの育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
やせた酸性土壌でよく育つ植物で、冷涼な気候を好み、高温多湿の環境が苦手です。
風通しの良い場所で育てて下さい。

暖地で庭植えにする場合は、夏の強い西日を避けられるような場所に植えて下さい。

夏越し

鉢植えの場合は、梅雨の時期になったら雨の当たらない軒下などに移動します。
夏場は、午後からの強い西日が避けられる、風通しの良い涼しい場所で育てます。
強い日差しが一日中当たって葉が変色するようであれば遮光して下さい。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
水切れをすると葉や枝が枯れてしまうことがあるので注意して下さい。

肥料

あまり多くの肥料を必要とする植物ではありません。
春に、庭植えでは骨粉入りの固形の油粕、鉢植えでは緩効性化成肥料を置き肥する程度で十分です。

植え付け、植え替え

適期は3月~4月、10月~11月です。

植え付け

酸性の土壌を好みます。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
土壌が中性~アルカリ性の場合は、鹿沼土やピートモス(酸度未調整)を混ぜ込んで酸性の土壌を作ります。

鉢植えの場合は、鹿沼土(小粒)8・ピートモス(酸度未調整)2などの配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりを起こしやすいので、一年に一度植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して、傷んだ根があれば取り除き、一回り大きな鉢に植え替えを行います。

庭植えの場合は、植え替えの必要はありません。

剪定

伸びすぎてしまった場合は花後に剪定を行います。
樹高の1/2程度の高さでバッサリと刈り込んで下さい。

増やし方(挿し木)

挿し木で増やすことが出来ます。

挿し木

適期は春の4月~5月、秋の10月頃です。

枝の先端を3~5㎝程度に切り取って挿し穂にします。
下の方に付いている葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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