低木 庭木

ナツロウバイ

  • 学名…Calycanthus chinensis
    Synonyms:Calycanthus chinensis、Sinocalycanthus chinensis
  • 和名…ナツロウバイ(夏蠟梅)
  • 科名…ロウバイ科
  • 属名…クロバナロウバイ属
  • 原産国…中国
  • 花色…淡桃色
  • 樹高…1.5m~3m
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:6 to 8

ナツロウバイとは

ナツロウバイ

ナツロウバイは、中国東部・浙江省に分布するロウバイ科クロバナロウバイ属の落葉低木です。
分布域は中国東部・ 浙江省 の標高600~1000mの山岳地帯にあり、渓流の近くの木々の中などに自生しています。

中国では絶滅危惧種の指定を受けていますが、栽培種の苗木は多く流通しており、世界で広く栽培されている花木の一つとなっています。
※ナツロウバイは分類学者によってはナツロウバイ属に分類されることがあります。


ナツロウバイの花期は5月~6月。
花期になると、分枝した枝先に花径7~10㎝程度の花を一輪咲かせます。
花はカップ状で、大きな外側の花被片と小さな内側の花被片の二重構造になっています。
外側の花被片は10~14個あり、長さ1.4~3.6㎝、幅1.2~2.6㎝の卵形で、多くの場合、縁に向かって薄桃色を帯びています。
内側の花被片が7~16個あり、淡い黄色をしており、基部に向かって白くなっていきます。
花弁はやや肉厚で、花に香りはほとんどありません。

▼ナツロウバイの花

ナツロウバイの花
ナツロウバイの花

雄しべは16~19個、雌しべの柱頭は糸状に細く分かれています。
雌性先熟で、雌しべが成熟した後、雄しべが成熟して花粉を出します。

▼ナツロウバイの雄しべ

ナツロウバイの雄しべ
雄性期で雄しべが成熟し裂けた葯から花粉が出ている

葉は対生し、長さ11~26㎝、幅8~11㎝の程度の先の尖った卵形から楕円形です。
葉柄は長さ1.2~1.8㎝、葉の表面には光沢があり、縁には不規則な鋸歯があります。

▼ナツロウバイの葉の様子

ナツロウバイの葉の様子

果実は長さ3~4.5㎝、幅1.5~3㎝の円柱形の偽果です。
果実は秋になると熟し、下面に開いた穴から種がこぼれます。

▼ナツロウバイの果実

ナツロウバイの果実
ナツロウバイの果実

枝はよく分枝して樹高1.5~3m程度に成長します。
地際から多数の枝を出して株立ちとなります。

▼花を咲かせたナツロウバイの木

ナツロウバイの木

耐寒性、耐暑性に優れており、丈夫な性質です。
日なた~半日蔭の場所に適応しますが、日なたで育てる場合は、強い西日が株元に当たらないような環境が適しています。
成長が比較的遅いので、剪定作業はあまり必要ではありません。
病害虫の発生もほとんど無く、育てやすい花木です。

ロウバイ科の植物

ナツロウバイが属するロウバイ科の植物は、ロウバイ属、クロバナロウバイ属の2属約10種が知られています。
観賞用として栽培されているロウバイ科の植物には本種の他以下のようなものがあります。

ナツロウバイの花の大きさと、クロバナロウバイの花色と芳香を併せ持つ交配種も作出されています。

ナツロウバイの育て方

ナツロウバイの育て方

栽培環境

日なたから半日蔭の場所で、腐植質に富んだ水はけの良い土壌を好みます。
基本的には日当たりを好みますが、強い乾燥を嫌います。
株元に西日が当たらないような場所で育てて下さい。

土壌がアルカリ性だとうまく育たないので注意して下さい。
※日本の土壌の多くは酸性です。

冬越し

高い耐寒性がありますが、ロウバイ比べるとやや寒さに弱い性質です。
寒冷地の場合は、強い寒風の当たらない場所で育てて下さい。 

水やり

ほぼ降雨のみで大丈夫ですが、夏場に乾燥が続くような場合は、水やりをして下さい。

肥料

冬の2月~3月頃に寒肥として、固形の油粕、または緩効性化成肥料を施します。

植え付け

適期は厳冬期を避けた落葉期の10月~11月、2月下旬~3月です。

根鉢の2~3倍程度の植穴を掘り、用土に腐葉土や完熟たい肥をたっぷりと混ぜ込みます。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて根と土を馴染ませて下さい。

剪定

ナツロウバイの花芽は7月以降の夏に作られます。
剪定の適期は花後すぐの6月頃です。
剪定が遅れると翌年の花芽を落としてしまうことになるので、注意して下さい。

ロウバイに比べると成長が遅く、剪定の作業は必ずしも必要ではありません。
内向枝や絡み枝などの不要な枝を切り落とします。
必要な場合は、枝先を軽く刈り込んで全体の樹形を整えます。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、発芽率は低く、開花までには4~6年かかります。

花後に独特の形をした果実が実り、中に種が出来ます。
秋になると種が熟すので果実ごと採取して、種を取り出して下さい。
採取した種は一晩水に付けてから、すぐに蒔きます。

種は平鉢やポットに一粒ずつまき、覆土は5~10㎜程度。
土が凍らない場所で管理し、水を切らさないように注意します。
発芽は翌春になります。
発芽率は良くないので、多めに蒔いておくと良いと思います。 

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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