多年草・宿根草

トクサ

学名…Equisetum hyemale
和名…トクサ(砥草、木賊)
科名…トクサ科
属名…トクサ属
原産国…北米、ヨーロッパ、北アジア
草丈…50~120㎝
日照…日なた~半日蔭
難易度…星
USDA Hardiness Zone:4 to 9

トクサとは

トクサ

トクサは、北米、ヨーロッパ、北アジアに分布するトクサ科トクサ属のシダ植物です。
日本では北海道から本州中部地方にかけて分布しており、山間部の森林の開口部、池や湿地など、湿り気の多い場所に自生しています。
同属にはスギナ(Equisetum arvense)などがあり、ツクシの仲間ということになります。

トクサはユニークな草姿から観賞用として栽培されており、日本庭園などによく植栽されています。
地中の地下茎を横に伸ばし、地上茎を直立させます。
近縁種であるスギナは胞子を放出するツクシを成長させた後、全く姿の異なった茎を伸ばして光合成を行いますが、トクサは地上茎で光合成を行い胞子を放出するため、年間を通じて草姿に大きな変化はありません。

地上茎は分枝せず、真っ直ぐに伸びて草丈50~120㎝程度に成長します。
茎は触るとザラザラしています。
これは茎の表皮細胞の細胞壁にケイ酸が蓄積して硬化したもので、煮込んで乾燥させたものを使い、砥石のように物を研ぐことが出来ます。
トクサ(砥草)の名前は茎のこの性質に由来します。
トクサの茎は現在でもやすりとして利用されており、つげぐしや漆器の加工の他、クラリネットやサックスのリード調整に使われています。

▼トクサの茎の様子

トクサ

葉は無いように見えますが、節に付いている袴状のものが葉に当たります。
茎は引っ張ると節の部分でスポッと抜けます。

▼トクサの節の様子

トクサ

夏になると、地上茎の先端部分につくしに似た胞子葉群を付け、胞子を放出します。

▼トクサの胞子葉群

トクサ

耐寒性、耐暑性に優れており、丈夫な性質です。
湿地にも自生地があるように、湿り気の多い場所を好みますが、極端に乾燥しない場所であれば適応します。
病害虫の発生もほとんどなく、育てやすい植物です。

地下茎から多数の地上茎を伸ばして株立ちとなります。
爆発的に広がるわけではありませんが、環境が合っているとよく増えるので、庭植えにする場合は少し注意が必要です。

トクサの近縁種

ヒメトクサ(姫砥草:Equisetum variegatum)

ヒメトクサ

北半球に広く分布するトクサの近縁種です。
全体的に小型で、草丈10~30㎝程度に成長します。
和名はチシマヒメドクサですが、ヒメトクサの名前で流通していることが多いです。

トクサの育て方

トクサの育て方

栽培環境

日なた~半日蔭の環境に適応しますが、強い乾燥を嫌います。
自生地は湿地が多く、酷く乾くような環境だと茎の上部が枯れこんだりします。
美しい草姿を保つためには、半日蔭の環境が適しています。

鉢植えの場合は、夏場は日差しが避けられるような場所に移動すると、茎が枯れこむことがありません。
その他の季節はよく日の当たる場所で育てます。

半日蔭の場所など適した環境下で育てると地下茎でよく増えます。
増えても困らないような場所に植えるか、根域制限を行うなど、対策をしておいた方が無難です。

冬越し

耐寒性は非常に高く、特に対策の必要はありません。
寒冷地では地上部が枯れることがありますが、地下茎が凍らなければ春に再び芽吹きます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
夏場に乾燥が続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
夏場の水切れには注意して下さい。
冬場は生育が止まるので、やや乾燥気味に育てます。 

肥料

生育に問題がないようであれば、肥料を施す必要はありません。 

植え付け、植え替え

適期は真夏を避けた生育期の4月~6月、9月~10月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで、水はけの良い環境を作って下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりをしているようなら植え替えを行って下さい。
一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。

庭植えの場合は特に植え替えの必要はありませんが、増えすぎているようなら株分けを行って下さい。

増やし方(株分け、挿し芽)

株分けと挿し芽で増やすことが出来ます。

株分け

適期は植え替え時の4月~6月、9月~10月です。
地上茎が2~3本以上付くように、地下茎を切り分けて植え付けます。

挿し芽

適期は梅雨時期の6月~7月です。

茎を2節が付くように切り取って挿し穂にします。
よく切れる刃物を使って、切り口がつぶれないように注意して下さい。
しっかりと水揚げをし、上下を間違えないように挿し木用土に挿します。

水やりは底面給水で、水を切らさないように明るい日陰で発根を待ちます。
発根したら新しい芽が伸びてきます。 

病気・害虫

病害虫の発生はほとんどありません。

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