低木 庭木

ロウバイ

  • 学名…Chimonanthus praecox (L.) Link
  • 和名…ロウバイ(蝋梅)
  • 科名…ロウバイ科
  • 属名…ロウバイ属
  • 原産国…中国
  • 花色…黄色
  • 樹高…2m~5m
  • 日照…日なた~半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 9

ロウバイとは

ロウバイ

ロウバイは、中国に分布するロウバイ科ロウバイ属の落葉低木です。
分布域は中国・南東部を中心に広がっており、海抜500~1100mの山地の森林の中に自生しています。

中国では1000年以上に渡り栽培されている歴史のある花木で、日本、韓国、ヨーロッパ、オーストラリア、米国など世界各国でも観賞用に植栽されています。
日本には江戸時代初期に朝鮮半島を経由して渡来し、冬枯れの庭を彩る花木として古くから愛されてきました。

一般的に栽培されるのは、ロウバイの品種であるソシンロウバイ(Chimonanthus praecox f. concolor)です。
ソシンロウバイはロウバイに比べ花がやや大きく、花被片の内側が赤紫色を帯びないのが特徴です。

ここではソシンロウバイをロウバイとして紹介しています。


ロウバイの花期は12月~2月。
花期になると葉の展開に先駆けて、前年に伸びた枝に1個、あるいは2個の花を咲かせます。

▼ロウバイの花の様子

ロウバイの花

花は直径1.5~4㎝の大きさで、花被片は15~21個。
内側の花被片は円形~楕円形、中間の花被片は楕円形~長楕円形、外側の花被片は円形~倒卵形になります。

▼ロウバイの花の様子

ロウバイの花

花被片は蝋細工のように透き通った黄色をしています。
ロウバイの名前は、蜜蝋のような色の花が梅と同じ時期に咲くからだと言われています。
花には甘い芳香があります。

雄しべは5~8個、雌しべは数個。
雌しべの柱頭を取り囲むように仮雄しべ2~15個があります。

雌性先熟で、雌しべが成熟した後、雄しべか成熟して花粉を出します。
雌性期では雄しべは広がっており、花粉はまだ出ていません。

▼雌性期のロウバイの花

雌性期のロウバイの花

雄性期になると、雄しべが中央に集まり、葯から花粉が放出されます。

▼雄性期のロウバイの花

雄性期のロウバイの花

花後には花托(かたく)が肥大して偽果(ぎか)となります。

花托(かたく)…花被や雄しべ・雌しべを支えている部分。
偽果(ぎか)…子房以外の部分が成長して大きくなった果実。

ロウバイの偽果は長さ2~6㎝、幅1~2.5㎝の卵状楕円形~倒卵状楕円形です。
先端には9~10個の付属体が付いています。

果実には有毒成分が含まれているので、食用にはなりません。

▼ロウバイの果実

ロウバイの果実

中には3~11個の痩果(そうか)が入っています。
痩果は長さ15~16.5㎜、幅5~5.6㎜の楕円形~腎形です。

古くなった偽果は網状になり、先端の穴から痩果がこぼれ落ちるようになります。

▼古くなったロウバイの偽果

ロウバイの偽果

葉は長さ5~29㎝、幅2~12㎝の卵形~楕円形~長楕円形です。
先は尖り、葉柄は0.3~1.8㎝。

▼ロウバイの葉

ロウバイの葉

幹は薄い灰褐色で、分枝しながら樹高2~5mに成長します。
葉色は濃緑色で、夏の姿はやや暑苦しい印象ですが、厳冬期に咲く花の美しさにはそれを大きく上回る観賞価値があります。

▼ロウバイの夏の様子

夏のロウバイ

耐寒性、耐暑性共に優れており、育てやすい花木です。
若木の内は樹形が乱れることがありますが、成木になると自然に樹形が整うので、剪定の手間もそれほどかかりません。
病害虫の発生もほとんどありませんが、鳥による花や蕾の食害が発生することがあります。

名前に「梅」とついているので梅の仲間「バラ科サクラ属」と誤解されやすいですが、ロウバイは「ロウバイ科ロウバイ属」の植物です。

ロウバイとソシンロウバイ

ロウバイ(Chimonanthus praecox)

ロウバイ

花がやや小さく、花被の内側が赤紫色になります。

ソシンロウバイ(Chimonanthus praecox f. concolor)

ソシンロウバイ

ロウバイの園芸品種とされ、やや大輪で花被の内側が赤紫色にならないのが特徴です。
ソシンロウバイの漢字表記は「素心蝋梅」で、ソシンの名は花の中心まで黄色一色な花色に由来しています。

庭木として植栽されるのは、主にソシンロウバイです。

ロウバイ科の植物

ロウバイが属するロウバイ科の植物は、ロウバイ属、クロバナロウバイ属の2属約10種が知られています。
観賞用として栽培されているロウバイ科の植物には本種の他以下のようなものがあります。

ロウバイの育て方

ロウバイの育て方

栽培環境

日なたから半日蔭の場所に適応しますが、日当たりが良い方が花付きが良くなります。
ロウバイは過湿に弱く、根腐れを起こしやすいので、水はけの良い場所で育てて下さい。
移植を嫌う性質のため、苗木の場合を除き、移植は難しい樹木です。
植え場所は熟考の上で決定をして下さい。

冬越し、夏越し

日本の気候によく合った樹木なので、特に気を使う必要はありません。

水やり

植え付けた時にはたっぷりと水やりをし、その後2週間程度は乾燥しないように気を付けて下さい。
一旦根付けば、極端な乾燥が続く時以外は降雨のみで大丈夫です。

肥料

2月下旬~3月、8月下旬~9月上旬に緩効性化成肥料か、固形の油粕や骨粉などを施します。
窒素分の多い肥料を与えると、葉ばかりが茂るので注意して下さい。

植え付け、植え替え

適期は厳冬期を避けた落葉期です。

植え付け

落葉期に行いますが、厳寒期は枝枯れする可能性があるので避けた方が無難です。

根鉢の2倍程度の植え穴を掘り、用土に腐葉土や堆肥をたっぷりと混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
水はけの悪い土地の場合は、株元がやや高くなるように盛り土をして高植えにすると効果的です。
植え付け後はしっかりと水やりをし、棒などで突いて土を馴染ませます。

鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの水はけの良い土を使います。

植え替え

鉢植えの場合は、2年に1回程度、木の生育に合わせて鉢増しをして下さい。

庭植えの場合は、移植はできません。
どうしても必要な場合は、1年くらい前から根回しをする必要があります。

剪定

成木になると自然に樹形が整うので剪定の必要はあまりありません。
若木で樹形が乱れる場合は、花後の3月に剪定を行います。

花は当年伸びた枝に付くので、その枝を残すように剪定します。
幹から伸びる長い枝には花が付きにくく、短い枝に花が付きやすい樹木です。
樹形を乱さないようにしながら、長い枝を切り詰めます。

ロウバイは接ぎ木で増やされていることが多く、台木から「ひこばえ」が出やすいので、不必要な芽が出た場合は切り取って下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ますが、花色や花の形に変化が出ることがあります。
一般に流通しているロウバイは接ぎ木で増やされたものなので、種を蒔いても同じ花が咲くとは限りません。

種まきの適期は9月です。
果実が秋に熟すので、中の種を取り出して採り蒔きします。
種まき用土に種の3倍程度の深さに蒔きます。
その後は乾かさないように管理して下さい。
気温が高ければ年内に、低ければ春になってから発芽します。

ロウバイは花が咲くまでに長い時間がかかります。
一般的には6~7年、長ければ10年かかることもあるので気長に育てて下さい。

病気、害虫

病害虫の心配はほとんどありませんが、蕾や花を鳥に食べられてしまうことがあります。

鳥害

ヒヨドリなどによる蕾や花の食害が発生します。
酷い場合は、丸裸にされることもあります。

防鳥ネットを張ると効果的ですが、景観が損なわれます。
目玉風船を吊るしてみましたが、効果はいまひとつでした。
何か良い対策があると良いのですが…

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