低木 庭木

ムラサキシキブ(コムラサキ)

学名…Callicarpa japonica(ムラサキシキブ)、Callicarpa dichotoma(コムラサキ)
和名…紫式部(ムラサキシキブ)、小紫(コムラサキ)
科名…クマツヅラ科
属名…ムラサキシキブ属
原産国…日本、中国、朝鮮半島、台湾
花色…ピンク(果実…紫、白)
樹高…2~3m
※コムラサキは1.2~2m
日照…日なた~半日蔭
難易度…星
USDA Hardiness Zone:5 to 8

ムラサキシキブ(コムラサキ)とは

ムラサキシキブ(コムラサキ)

ムラサキシキブは、日本、中国、朝鮮半島、台湾に分布するクマツヅラ科ムラサキシキブ属の落葉性低木です。
日本では、北海道から九州、琉球列島まで広く分布しており、各地の雑木林の中などに自生しています。

観賞用に栽培されるのは、ムラサキシキブ(Callicarpa dichotoma)より近縁種であるコムラサキ(C. dichotoma)の方が圧倒的に多く、「ムラサキシキブ」「コムラサキ」「コシキブ」の名前で流通しています。
ムラサキシキブは樹高2~3m程度に成長しますが、コムラサキは1.2~2mと比較的コンパクトにまとまり、ムラサキシキブ同様に美しい果実を実らせることから、庭木として多く利用されています。
ここではその両種を「ムラサキシキブ」として紹介しています。

ムラサキシキブの花期は6月~7月。
花期になると、上部の枝の葉の付け根、または少し上に花序を出し、小さな花を多数咲かせます。
花は径3~5㎜程度の筒状花で、花冠が4裂して平らに開きます。
雄しべは4個、雌しべは1個で、花冠から長く突出して目立ちます。
花色は淡紫色。

▼ムラサキシキブの花

ムラサキシキブの花

花後には、径3㎜程度の球形の果実を実らせます。
果実には光沢があり、秋になると淡い紫色に色付きます。
房状に実った紫の果実は美しく、高い観賞価値があります。
ムラサキシキブ、コムラサキともに白い果実を実らせる品種もあり、「シロシキブ」「シラタマコシキブ」などの名前で流通しています。

▼ムラサキシキブの果実

ムラサキシキブ(コムラサキ)

葉は先が尖った長楕円形で縁に鋸歯があり、対生します。
耐寒性、耐暑性に優れており、半日蔭の庭でも育ちます。

ムラサキシキブの主な品種

ムラサキシキブ(Callicarpa japonica)

ムラサキシキブ

北海道~沖縄に広く分布しています。
葉は長さ6~14㎝、幅2.5~6㎝の先の尖った長楕円形で、葉の縁全体に細かい鋸歯があるのが特徴です。
樹高3~5m程度に成長します。

コムラサキ(Callicarpa dichotoma)

ムラサキシキブ(コムラサキ)

本州から沖縄に分布するムラサキシキブの近縁種で、コシキブとも呼ばれます。
庭木として植栽されているものの大半は本種コムラサキです。

葉は長さ3~7㎝、幅1.5~3㎝の倒卵状長楕円形で先が尾状に尖ります。
ムラサキシキブの鋸歯が葉の縁全体にあるのに対し、コムラサキの鋸歯は葉の上半分のみにあります。
樹高1~2m程度に成長し、実付きが良いのが特徴です。

シロシキブ

シロシキブ

ムラサキシキブの白実品種(Callicarpa japonica form. albibacca)です。
同様にコムラサキの白実品種(C. dichotoma f. albifructa)も流通しています。

ムラサキシキブ(コムラサキ)の育て方

ムラサキシキブ(コムラサキ)の育て方

栽培環境

日なたから半日蔭の場所に適応します。
全くの日陰になると、花付きが悪くなり徒長します。
少なくとも半日程度は日が当たる場所で育てて下さい。
真夏の強い西日は苦手なので、西日が避けられる場所が適しています。

冬越し・夏越し

耐寒性、耐暑性に優れており、特に対策の必要はありません。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
真夏に乾燥が長く続くようなら水やりをして下さい。

鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
湿り気がある土を好む植物なので、特に夏場の乾燥には注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、年に1回、寒肥として2月頃に固形の油粕などを施します。

鉢植えの場合は、同様に寒肥を施した上で、開花後にも固形の油粕などを与えて下さい。
肥料は多すぎると花付きが悪くなるので、少な目を心がけます。

植え付け・植え替え

適期は、厳冬期を避けた落葉期です。

植え付け

庭植えの場合は、元肥として用土に腐葉土や牛糞を混ぜ込んでおきます。
鉢植えの場合は、赤玉土6・腐葉土4などの配合土を使います。

植え替え

生育が早く根詰まりをおこしやすいので、鉢植えの場合は一年に一度の植え替えを行います。
根鉢を1/3程度崩して、伸びすぎた根を切り詰めて、一回り大きな鉢に植え替えて下さい。

庭植えの場合は、特に植え替えの必要はありません。

剪定

剪定の時期は落葉期の2月~3月ですが、自然樹形が美しい樹木なので、剪定が必須という訳ではありません。
不要な枝や枯れた枝を取り除く程度で十分です。

大きくしたくない場合は、その年に伸びた枝の基部を2~3節残して切り戻して下さい。
どこで剪定してもよく芽吹きますが、強剪定をすると花芽が付かなくなるので注意して下さい。

増やし方(挿し木・種まき)

挿し木と種まきで増やすことが出来ます。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。

挿し木

適期は3月と6月頃です。

3月の場合は前年枝を使い、6月の場合はその年に伸びた枝を使います。
枝を3節程度の長さに切り取って挿し穂にします。
6月で葉が付いている場合は一番下の節の葉を取り除きます。
水揚げをして、一番下の節が埋まるように挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して、発根を待ちます。

種まき

種の採取

果実は小鳥が食べてしまうことがあるので、紫色に熟したらすぐに採取して下さい。
果肉には発芽を抑制する成分が入っているので、潰してきれいに洗い、中の種を取り出します。
種は完全に乾くと発芽能力を失ってしまいます。
洗った種は採りまきですぐに蒔きます。

種まき

採取した種は、浅鉢やポットに蒔き、覆土は種が埋まる程度に軽く。
乾かさないように管理したら、春には芽吹きます。
発芽したら2ヶ月ほど育苗し、定植して下さい。

病気・害虫

カイガラムシ

殻やロウ状のもので覆われた虫が、枝に付着します。
樹木の養分を吸い取ってしまうため、発生が多数になると生育に影響します。
見付けた場合は、歯ブラシなどでこすり落として下さい。
薬剤を散布することで駆除できますが、殻をかぶった成虫には効き辛いです。
幼虫には薬剤が有効なので、幼虫が卵から孵化する5月~7月頃に何度か薬剤を散布すると効果があります。

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