多年草・宿根草 一年草・二年草

スカビオサ(マツムシソウ)

  • 学名…Scabiosa
  • 和名…マツムシソウ(松虫草)
  • 科名…スイカズラ科
  • 属名…マツムシソウ属
  • 原産国…アジア、アフリカ、ヨーロッパ
  • 花色…青、白、紫、ピンク、赤、黄
  • 草丈…20㎝~100㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:4 to 9

スカビオサ(マツムシソウ)とは

スカビオサ(マツムシソウ)

スカビオサは、スイカズラ科マツムシソウ属の一・二年草、または多年草です。
スカビオサが属するマツムシソウ属の植物は、ヨーロッパ、アフリカ、アジアに約100種が分布しており、花の美しい幾つかの種が観賞用として栽培されています。

主に栽培されるものには、日本固有種であるマツムシソウ(Scabiosa japonica)の他、セイヨウマツムシソウ(Scabiosa atropurpurea)、コーカサスマツムシソウ(Scabiosa caucasica)、セイヨウイトバマツムシソウ(Scabiosa columbaria)などがあり、ハイブリッド品種も多数流通しています。
花壇や切り花、鉢物としても幅広く利用されています。


スカビオサの花期は品種や地域によって異なります。
春咲き、秋咲き、四季咲き性の品種などがありますが、多くは春と秋に開花のピークを迎えます。

花期になると、伸びた茎の頂部に花径3~7㎝程度の頭花(トウカ)を咲かせます。

頭花(トウカ)…花序の形の一種で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。

▼スカビオサの頭花

スカビオサの頭花

中心小花は筒状で、先が小さく5裂しています。

▼スカビオサの中心小花

スカビオサの中心小花

周辺小花は筒状で先が5裂しており、下側3裂片が大きく外側に伸びています。

▼スカビオサの周辺小花

スカビオサの周辺小花

小花は外側から内側へと咲き進みます。

個々の小花には萼と小苞(しょうほう)があります。
萼はトゲ状で花が落ちた後も残ります。

※小苞(しょうほう)…個々の花に付く苞葉のこと。

▼スカビオサの萼の様子

スカビオサの萼の様子

花色は写真の青、白、紫、ピンク、赤、黄など。

▼白い花を咲かせるスカビオサ

白い花を咲かせるスカビオサ

果実は筒形で小苞に包まれ大きくなり、上部のトゲで動物の体にくっつきます。

▼スカビオサの果実

スカビオサの果実

葉は根際から出るものは羽状複葉でロゼット状になり、茎葉は対生し細く深裂します。
草丈20㎝程度の矮性種から1mになる高性種まで、バラエティーに富んだ品種が揃います。

▼たくさんの花を咲かせるスカビオサ

たくさんの花を咲かせるスカビオサ

耐寒性は高く育てやすい植物ですが、暑さと蒸れが苦手です。
暖地では宿根草タイプでも夏に枯れることが多いので一年草として扱うのが一般的です。

スカビオサ(マツムシソウ)の主な品種

マツムシソウ(Scabiosa japonica)

マツムシソウ

北海道、本州、四国、九州に分布する日本固有種の二年草です。

花期は8月~10月で薄紫色の美しい花を咲かせます。
白花品種の「シロバナマツムシソウ」や、草丈の低い「ソナレマツムシソウ」などの変種が知られています。

写真は「タカネマツムシソウ」で、本州以北や四国の高山に分布する高山型変種のマツムシソウです。

セイヨウマツムシソウ(Scabiosa atropurpurea)

セイヨウマツムシソウ

ヨーロッパ南部から北アフリカにかけて分布するスカビオサです。

頭花は半球状で、花色は白~ピンク~暗紫色と多彩です。
枝分かれしながら成長し、春から次々と花を咲かせます。

数多くの園芸品種が流通し、花色も非常に豊富です。

コーカサスマツムシソウ(Lomelosia caucasica Syn. Scabiosa caucasica)

コーカサスマツムシソウ

コーカサス地方に分布する多年草です。
※現在はマツムシソウ属からロメロシア属に分離されていますが、長年マツムシソウ属に分類されていたためコーカサスマツムシソウの名前で呼ばれています。

四季咲き性があり、花径5㎝~8㎝程度の花を次々と咲かせます。
基本種の花色は淡紫色。
こちらも数多くの園芸品種が流通しています。

セイヨウイトバマツムシソウ(スカビオサ・コルンバリア:Scabiosa columbaria)

セイヨウイトバマツムシソウ

ヨーロッパからアフリカ、アジア北西部に分布する多年草です。

花色は淡紫色~ピンク~白色。
分枝しながら直径3㎝程度の頭花を多数付けます。
茎葉は分裂し、裂片は線状になります。

多数の品種が流通しており、草丈20㎝程度の矮性種も数多くあります。

▼矮性種のスカビオサ・コルンバリア ‘ブルーバルーン(Blue Balloon)’

スカビオサ・ブルーバルーン

スカビオサ・オクロレウカ(Scabiosa columbaria subsp. ochroleuca)

スカビオサ・オクロレウカ

セイヨウイトバマツムシソウの亜種で、淡いクリーム色の花を咲かせます。
花は花径3㎝程度と小さく、細い葉と共に繊細な印象です。

スカビオサ・ステラータ(Lomelosia stellata Syn. Scabiosa stellata)

スカビオサ・ステラータ

ヨーロッパ原産で、花後の果実を楽しむ変わった品種です。
※現在はマツムシソウ属からロメロシア属に分離されています。

花は一般的なスカビオサに比べると小さく白~淡いブルー~ピンク色で、花後には写真のようなユニークな果実を実らせます。
果実はドライフラワーにすると長期間楽しむことができ、切り花としても流通しています。

スカビオサ(マツムシソウ)の育て方

スカビオサ(マツムシソウ)の育て方

栽培環境

日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
蒸れに弱いので風通しも良ければ最適です。

冬越し、夏越し

冬越し

耐寒性は高いので戸外で対策無しで冬越し可能です。
土まで凍るような寒冷地では株元を敷き藁などでマルチングして、凍結から根を守って下さい。

※品種によっては比較的寒さに弱い品種もあります。

夏越し

高温多湿な環境が苦手なため、多年草タイプのものであっても暖地での夏越しは困難な場合があります。
鉢植えの場合は、半日蔭の涼しい場所に移動して下さい。
庭植えの場合は、株元を敷き藁などで覆い地温の上昇を防ぎます。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

鉢植えの場合は、土が乾いたらたっぷりと。
過湿な環境が苦手です。
水のやりすぎには注意して下さい。

肥料

庭植えの場合は、元肥として腐葉土や堆肥などを用土に混ぜ込んで下さい。
追肥の必要はありません。
鉢植えの場合は、春と秋に少量の緩効性化成肥料を置き肥します。

多肥にすると草丈が高くなり倒れやすくなるので注意して下さい。

植え付け、植え替え

適期は3月中旬~4月、9月中旬~10月です。

植え付け

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込み、水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として堆肥を混ぜ込んでおきます。
西洋マツムシソウとして流通している洋種の品種は、酸性土壌を嫌います。
あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて酸性度を中性~アルカリ性に傾けて下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土4などの配合土を使います。
多年草タイプのものを鉢植えにする場合は、水はけの良い山野草の培養土がオススメです。

植え替え

宿根草タイプで鉢植えの場合は、根詰まりしているようなら植え替えを行います。
庭植えの場合は、植え替えの必要はありません。

花がら摘み、支柱立て

花が咲き終わった花茎は早目に切り取って下さい。
草丈が高くなると倒れやすくなるので、支柱を立てたり、株元を紐で結ぶなどして対策をして下さい。

増やし方(種まき)

種まきで増やすことが出来ます。

種の採取

花後の果実が茶色く乾燥したら採取のタイミングです。
晴れた日を選んで種を採取して下さい。
触ってみて硬くない種子はシイナ(発芽能力のない未熟種子)です。
スカビオサの種にはこれが結構あります。
多目に採取した方が安全です。

採取した種はシイナを取り除き、紙袋などに入れて涼しい場所で保管して下さい。

種まき

適期は9月中旬~10月です。
寒冷地の場合は春まきで、3月中旬~4月が適期です。

種が大き目なので、箱にばらまきします。
覆土は5㎜程度で、発芽温度は18℃前後です。
水を切らさないように管理したら、7~10日ほどで発芽します。
発芽したら日なたで管理し、本葉が3~4枚程度になったらポット上げします。
そのまましばらく育て、根が回ってきたら定植して下さい。

病気・害虫

灰色かび病

葉茎、花などにシミのような斑点が発生し、病気が進行すると腐ってきて灰色のカビに覆われます。
蒸れから発生することが多いので、風通しの良い環境を保ち、発生を予防して下さい。
発生した場合は、早目に患部の葉や茎を切り取る事で発生の拡大を防ぐことが出来ます。

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