和名…キリンソウ(麒麟草、黄輪草)
科名…ベンケイソウ科
属名…キリンソウ属
原産国…日本、中国、朝鮮半島、モンゴル、ロシア
花色…黄色
草丈…20㎝~50㎝
日照…日なた
難易度…

USDA Hardiness Zone:
キリンソウとは
キリンソウは、日本、中国、朝鮮半島、モンゴル、ロシアに分布するベンケイソウ科キリンソウ属の多年草です。
日本では北海道、本州、四国、九州に分布しており、山地や海岸の岩場、林縁、草原など、日当たりの良い場所に自生しています。
一部の地域では個体数が減少しており、徳島県、高知県、長崎県では絶滅危惧Ⅰ類、千葉県、兵庫県では絶滅危惧Ⅱ類に指定されています。
キリンソウ属はアジア、ヨーロッパを中心に約20種が知られていますが、最も一般的なのはキリンソウ(Phedimus aizoon var. floribundus)です。
日本にはその他に、ホソバノキリンソウ(P. aizoon var. aizoon)、キリンソウの地域変異と考えられているテカリダケキリンソウ(P. aizoon var. floribundus Mt.Tekaridake form)や、北海道以北に分布するエゾノキリンソウ(P. kamtschaticus)、四国山地固有のヒメキリンソウ(P. sikokianus)などが自生しています。
ただしこれらの種は栽培が難しく、高山植物として扱います。
ここでは栽培の容易な一般的なキリンソウについて紹介しています。
キリンソウの花期は5月~6月。
花期になると、伸びた茎の頂部に花序を出し、小さな黄色い花をまとまって多数咲かせます。
花は径1㎝前後の5弁花で、雄しべは10個。
▼キリンソウの花の様子
葉は多肉質な披針形~広倒卵形で、縁に鋸歯があり、互生します。
茎は直立し、花を咲かせながら草丈20~50㎝程度に成長します。
▼キリンソウの葉の様子
耐寒性に優れており、適地で育てれば放任でもよく育ちよく花を咲かせます。
冬場は小さな芽を株元に残して地上部を枯らします。
病害虫の発生もほとんどなく、育てやすい植物です。
キリンソウの主な品種
キリンソウ(Phedimus aizoon var. floribundus)
最も一般的に栽培されているキリンソウです。
葉は長さ2~7㎝の広倒卵形〜広倒披針形で、葉の上半分にだけ鈍い鋸歯があるのが特徴です。
ホソバノキリンソウ(Phedimus aizoon var. aizoon)
日本、中国、朝鮮半島、モンゴル、ロシアに分布するキリンソウで、日本では中部地方以北に分布しています。
キリンソウに比べると葉は細長く、長さ3.5~8㎝の披針形~卵状披針形で、鋸歯が葉の縁全体にあるのが特徴です。
※通常ホソバノキリンソウはキリンソウの基本種(ホソバノキリンソウの変種であるのがキリンソウ)とされますが、両種を区別しない見解もあります。
キリンソウの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い環境が適しています。
水はけの悪い場所ではうまく育たないので、庭植えの場合は一段高くなった花壇など、水はけの良い場所に植えて下さい。
冬越し
耐寒性は高く、特に対策の必要はありません。
冬になると小さな芽を残して地上部が枯れるので、枯れた部分を刈り取ります。
水やり
庭植えの場合は、水やりをする必要はありません。
鉢植えの場合は、用土が乾いてからたっぷりと。
冬越し中は乾燥気味に管理して下さい。
肥料
多くの肥料を必要とする植物ではありません。
庭植えの場合は、肥料を施す必要はありません。
鉢植えの場合は、3月~5月の間、液体肥料を月に1~2回程度施します。
植え付け、植え替え
適期は春の3月~4月です。
植え付け
庭植えの場合は、水はけの良いことが重要です。
長雨の時期などに根腐れを起こしやすいので、一段高くなった花壇など、水が溜まらない場所に植え付けて下さい。
用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んで植え付けます。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土に赤玉土を3割ほど混ぜ込むか、赤玉土2・鹿沼土2・腐葉土1などの配合土に少量の緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
鉢植えの場合は、一年に一度、植替えを行って下さい。
根鉢を1/3~1/2程度崩し、新しい用土で一回り大きな鉢に植え替えて下さい。
必要であれば株分けを行います。
増やし方(株分け、挿し芽)
株分けと挿し芽で増やすことができます。
株分け
春の植え替え時に、株を切り分けて植え付けます。
挿し芽
適期は5月~6月です。
茎を先端から10㎝程度に切り取って挿し穂にします。
挿し木用土に割り箸などで穴をあけ、挿し穂を挿して下さい。
水を切らさないように管理し、発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。