- 学名…Brugmansia
- 和名…キダチチョウセンアサガオ(木立朝鮮朝顔)、コダチチョウセンアサガオ
- 別名…ブルグマンシア、オオバナチョウセンアサガオ,カシワバチョウセンアサガオ
- 科名…ナス科
- 属名…キダチチョウセンアサガオ属
- 原産国…南アメリカ
- 花色…オレンジ、黄、白、ピンク
- 樹高…1m~3m
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
エンジェルストランペットとは
エンジェルストランペットは、南アメリカ原産のナス科キダチチョウセンアサガオ属の常緑低木です。
キダチチョウセンアサガオ属には約5種の植物が分類さいれいます。
分布域はコロンビアからチリ北部のアンデス山脈地方、ボリビア、ブラジルに広がっています。
美しい花を咲かせることから世界で広く栽培されており、栽培逸出したものが野生化し、北アメリカ、アフリカ、オーストラリア、アジアなどを中心に帰化分布しています。
エンジェルストランペットの花期は6月~11月。
花期になると、上部の枝の葉の付け根から、長い萼を持った大きなトランペット形の花を下向きに咲かせます。
花は20~30㎝の長さで花冠の先が5裂しており、裂片の尖った先端が反り返ります。
※反り返らない品種もあります。
▼エンジェルストランペットの花
雄しべは5個、雌しべは1個。
雌しべの花柱は長く伸びており、雄しべは花柱を取り巻くよう寄り添います。
▼エンジェルストランペットの雄しべと雌しべ
花付きが非常に良く、大株になると一度に50輪以上の花を咲かせることがあります。
花色は白、黄色、オレンジ、ピンク。
▼ピンク色の花を咲かせるエンジェルストランペット
果実は長さ10~15㎝の蒴果です。
熟すと茶色に変色し、中には多数の種子が入っています。
葉は互生し、長さ20㎝以下、幅15㎝以下の楕円形です。
▼エンジェルストランペット葉の様子
枝は多数分枝し、樹高1~3m程度に成長します。
▼大きく育ったエンジェルストランペット
熱帯植物の中では比較的耐寒性があり、耐寒温度は0℃程度と言われています。
関東以西の太平洋側の暖地では、戸外で冬越しが可能な場合が多いです。
寒さで落葉したり地上部が枯れたりしますが、根が生きていれば春にまた芽吹きます。
※エンジェルストランペットには全草に強い毒性があります。
触ったり匂いを嗅ぐ程度では問題はありませんが、扱いには注意が必要です。
日本へは江戸時代に「朝鮮朝顔」として渡来しました。
以前はチョウセンアサガオ属(ダチュラ属)に分類されていたため「ダチュラ」と呼ばれることもありますが、現在ではキダチチョウセンアサガオ属(ブルグマンシア属)に分類されており、大半は英名の「エンジェルストランペット」の名前で流通しています。
エンジェルストランペットの主な品種
キダチチョウセンアサガオ(Brugmansia suaveolens)
ブラジル南東部の熱帯雨林に分布するエンジェルストランペットです。
南アメリカでは庭木として多く植栽さています。
花色は通常白色ですが、黄色やピンク色の花を咲かせるものもあります。
花には強い芳香があります。
ブルグマンシア・ウェルシコロル(Brugmansia versicolor)
ブラジル東部に分布するエンジェルストランペットです。
花は長さ30~50㎝の大きさで、咲き始めは白く、咲き進むに従ってピンク~アプリコット色に変化します。
※白のままのものもあります。
樹高3~5mに成長します。
こちらも南アメリカではごく一般的な庭木です。
花には強い芳香があります。
バーシカラーとも呼ばれています。
コダチチョウセンアサガオ(Brugmansia x candida)
コロンビア、エクアドル原産のブルグマンシア・アウレア(Brugmansia aurea)とブルグマンシア・ウェルシコロルの自然交雑種です。
花の長さは20~32㎝で、通常花筒部が萼の空洞を満たすように広がっています。
花色は白。
花に芳香があります。
園芸品種ではピンク色や黄色の花を咲かせるものもあり、また花冠が二重になった品種などもあります。
エンジェルストランペットには1000を超える登録品種があり、この他にも様々な品種が流通しています。
エンジェルストランペットの育て方
栽培環境
日当たりの良い場所が適しています。
強風に当たると花が傷んでしまうので、強い風の当たらない場所で育てて下さい。
鉢植えの場合は、生育旺盛なので10号鉢以上の大きな鉢に植え付けて下さい。
冬越し、夏越し
冬越し
耐寒温度は0℃です。
霜の心配のない暖地では、そのまま戸外で冬越し可能です。
関東以西の太平洋沿いの暖地なら戸外で冬越し可能ですが、霜に当たって地上部は枯れてしまいます。
花が終わった晩秋に株元から20㎝~30㎝程度の高さでバッサリと剪定して下さい。
鉢植えの場合は、日の当たる軒下などに移動します。
寒さの厳しい時期は寒冷紗で鉢ごと覆い、防寒対策をすると春の芽吹きが早くなり、長期間花を楽しむことができます。
庭植えの場合は、株元を腐葉土や敷き藁で厚めにマルチングして防寒対策を施して下さい。
その他の寒い地方では、戸外の冬越しは難しい植物です。
秋に剪定をして室内に取り込み、日の当たる暖かい場所で管理して下さい。
または挿し木苗を作って室内で冬越しさせ、春に定植します。
いずれの場合も、冬越し中は乾燥気味に管理します。
夏越し
熱帯植物で暑さに強いと思われがちですが、自生地は2000~3000mの高山帯が中心で、夏の暑さで花付きが悪くなることがあります。
耐暑性は品種により異なります。
鉢植えの場合は、夏に極端に生育が悪くなるようなら、半日蔭の涼しい場所に移動して下さい。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫ですが夏場に乾燥が続いて葉が萎れてくるようなら水やりをして下さい。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。
株が充実する夏場は朝夕の水やりが必要になります。
肥料
庭植え、鉢植えともに、春から秋にかけて、緩効性肥料の置き肥を月に1回程度、施します。
多数の花を咲かせるためには、肥料が必要です。
肥料が切れると開花に影響するので、生育期間中は肥料を切らさないように注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は4月~6月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥を多めに混ぜ込んで水はけが良く、肥沃な土壌を作っておきます。
さらに元肥として、緩効性化成肥料も混ぜ込んで下さい。
鉢植えの場合は、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・堆肥1の配合土に、緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。
大きく育つので、最低でも10号鉢以上の鉢に植えて下さい。
植え替え
生育旺盛で根詰まりを起こしやすい植物です。
鉢植えの場合は、基本的に毎年植え替えを行って下さい。
庭植えの場合は、特に必要ありません。
剪定
霜の心配の無い暖地の場合
花が終わったら、伸びすぎてバランスの悪くなった枝を剪定して樹形を整えます。
冬を越して春になったら、枯れた枝などを切り取って下さい。
その他の地域
冬越しに備えて、株元50㎝~100㎝の高さでバッサリと切り戻します。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は4月~8月ですが、生育期であれば簡単に発根します。
枝を3~4節分の長さに切り取って挿し穂にします。
大きな葉は1/2程度にカットして、水揚げをしたら挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
水挿しでも発根します。
切り取った枝を水に挿しておき、水が腐らないように管理して発根を待って下さい。
水挿しの場合は、夏場は水の温度が上がりすぎないように注意が必要です。
病気・害虫
ヨトウムシ
ヨトウムシによる食害が見られます。
見付け次第駆除して下さい。