- 学名…Salvia rosmarinus Schleid.
Synonym:Rosmarinus officinalis L. - 和名…マンネンロウ(迷迭香)
- 別名…ローズマリー
- 科名…シソ科
- 属名…アキギリ属
- 原産国…地中海沿岸地域
- 花色…薄紫、紫、青、ピンク、白
- 樹高…20㎝~200㎝
- 日照…日なた
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:8 to 10
ローズマリーとは
ローズマリーは、地中海沿岸地域を中心に分布するシソ科アキギリ属の常緑低木です。
分布域は地中海沿岸地域、スペインおよびポルトガルの北西部にあり、海抜1500m以下の沿岸部や丘陵地帯で、やや砂質の場所に自生しています。
ローズマリーは、葉茎に爽やかな芳香を持ち、抗酸化作用があることでも広く知られているハーブです。
ヨーロッパでは、肉料理や魚料理の香り付けに利用される他、悪魔から守る神秘的な力を持つ植物として祭事や結婚式、葬儀などにも登場します。
また、密に茂る性質から生垣にもよく利用されており、ヨーロッパでは古代の時代より生活に深く関わりを持った植物です。
日本には江戸時代に渡来しており、マンネンロウ(迷迭香)の和名を持ちます。
※ローズマリーは2017年にマンネンロウ属からアキギリ属に再分類され、学名が Rosmarinus officinalis から Salvia rosmarinus に変更になっています。
ローズマリーの花期は品種によって異なりますが、主に晩秋から初夏。
花期になると、上部の枝の葉の付け根から短い花序を出し、小さな花を咲かせます。
▼ローズマリーの花序
花は長さ1~1.5㎝の唇形花(しんけいか)です。
※唇形花(しんけいか)…シソ科、ゴマノハグサ科の植物に多く見られる花の形。
筒状に合着した花弁の先が上下2つに分かれ、唇のような形になっている。上部を上唇(じょうしん)、下部を下唇(かしん)と呼ぶ。
ローズマリーの唇形花は、上唇が2裂しており裂片は卵形。
下唇は3裂しており、中央裂片は類円形、左右の裂片は長楕円形です。
▼ローズマリーの花
雄しべは2個、雌しべは1個。
上唇の基部から湾曲して長く突出します。
▼ローズマリーの雄しべと雌しべ
花色は薄紫、紫、青、ピンク、白。
▼ピンク色の花を咲かせるローズマリー
果実は分離果(ぶんりか)。
※分離果(ぶんりか)…複数に縦に分かれた雌しべの子房に由来し、複数の単位に分かれる果実のこと。
分かれた単位は分果(ぶんか)と呼ぶ。
▼ローズマリーの果実
葉は密に対生し、長さ1~2.5㎝、幅1~2.5mm程度の線形です。
▼ローズマリーの葉の様子
葉裏には細かい毛が密生しています。
▼ローズマリーの葉の裏側
葉に斑の入る斑入り品種もあります。
▼斑入りのローズマリー
樹高は品種によって様々ですが、概ね、立性の品種は1m以上で茎が真っ直ぐ伸び、左右にはあまり広がりません。
▼立性のローズマリー
ほふく性の品種は樹高20~40㎝、地面を這うように横に広がります。
鉢植えにして枝を枝垂れさせたり、グランドカバーとしても利用されます。
半木立性の品種は樹高30~60㎝、立性とほふく性の品種の中間のタイプです。
いずれも年数が経つと枝が木質化します。
▼ほふく性のローズマリー
過湿な環境がやや苦手ですが、丈夫な性質です。
病害虫の発生もほとんど無く、育てやすい植物です。
関東地方以南の地域であれば、戸外での冬越し可能です。
ローズマリーの育て方
※花期は品種により異なります。
栽培環境
日当たりと水はけの良い場所が適しています。
基本的には日当たりを好みますが、明るい日陰でも問題なく育ちます。
酸性土壌を嫌うので、植え場所が酸性の場合は、あらかじめ苦土石灰をまいて土壌を中和しておいて下さい。
夏越し、冬越し
夏越し
やや過湿に弱い性質です。
暑さには強いのですが、蒸れると下葉が枯れ込んで来ます。
梅雨前に込み入った枝を剪定して、風通しを良くしてやって下さい。
冬越し
耐寒性はそこそこあり、暖地、温暖地の場合は、対策無しでそのまま戸外で冬越し可能です。
最低気温が-10℃を下回るような地域の場合は、枯死する可能性が高いので、鉢植えにして室内で冬越しをします。
水やり
多湿な環境を嫌い、乾燥を好む植物です。
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いて白くなって来たらたっぷりと。
肥料
あまり多くの肥料を必要としません。
庭植えの場合は、元肥として油粕などの有機肥料を用土に混ぜ込んでおきます。
追肥は春に、緩効性化成肥料を少量、株元に施す程度です。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を少量、置き肥して下さい。
植え付け、植え替え
適期は3月中旬~5月、9月~10月です。
植え付け
庭植えの場合は、植え穴を掘り、用土に赤玉土と腐葉土を混ぜ込んでおきます。
さらに元肥として有機肥料を混ぜ込んで下さい。
水はけが悪い土地の場合は、一段高くなった花壇に植えたり、盛り土をして高植えにすると効果的です。
鉢植えの場合は、ハーブ用の培養土を使うか、赤玉土5・腐葉土3・パーライト2などの配合土に緩効性肥料を混ぜ込んで土を作ります。
植え替え
根詰まりを起こすと、下葉が枯れ込んできます。
生育旺盛なので、鉢植えの場合は1~2年に一度は植え替えを行って下さい。
庭植えの場合は、特に必要ありません。
増やし方(挿し木、種まき)
挿し木と種まきで増やすことが出来ますが、種は発芽率が低い上、大きく育つまでに時間がかかります。
種まきについては下記「種まき」の項目を参照下さい。
挿し木
適期は5月~6月中旬、9月頃です。
枝を10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
土に埋まる部分の葉を取り除いて水揚げをし、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して、発根を待ちます。
発根までは1カ月程度かかります。
種まき
種の採取
花が落ちると残ったガクの部分が膨らんで、中に種が出来ます。
茶色くなると完熟ですが、すぐに落ちてしまいます。
落下した果実の中に種が残っているものもあるので、それを探すか、種の落下前に袋などをかけて採取して下さい。
採取した種は、乾燥剤などと一緒にビンや缶に入れて涼しい場所で保管します。
種まき
種まきの時期は4月~5月、9月頃です。
発芽には20℃前後の温度が必要です。
低温処理をすると発芽率が上がります。
種を濡らしたティッシュやキッチンペーパーで包み、さらにラップなどで包んで冷蔵庫に2晩ほど入れておきます。
その後、取り出した種を蒔いて下さい。
種は播種箱に、出来るだけ均一になるように注意して蒔いて下さい。
覆土はごく薄く。
水やりは底面給水で行い、発芽までは水を切らさないように管理します。
発芽には2週間~1ヶ月ほどかかります。
発芽後は本葉が6~7枚になるまで育苗し、定植して下さい。
適切な環境であっても発芽率は悪く、大きく育つのは2年目以降になります。
増やすのなら挿し木の方が格段に簡単です。
病気、害虫
病害虫の発生はほとんどありません。