トピックス

アジサイの花色とPH(酸性度)の関係

アジサイの花色とPH(酸性度)の関係

こちらは管理人宅の裏庭、果樹園の様子です。
主に果樹と生け花用の花材、アジサイと宿根草を植栽していて「紫陽花の小路」と勝手に呼んでいるお気に入りの場所です。

裏庭の土壌はアルカリ性で、数年前まではもっとド派手なピンクのアジサイで埋め尽くされていました。
ピンクの紫陽花ばかり見ていると「やっぱりアジサイはブルーよね…」と無いものねだりしたくなるのが人の性(笑)

ブルーの紫陽花を咲かせようと土壌改良に着手したのが2年前です。
…とは言うものの、バラの世話に追われてなかなか裏庭まで手が回らない…というのが現状なのですが。
徐々にではありますが、ブルーに近づいています……よね?(笑)

アジサイの花色と土壌のPH(酸性度)の関係

アジサイの花色とPH(酸性度)の関係

アジサイの花色が土壌のPH(酸性度)によって変化するというのは、よく知られている事です。
酸性土壌だと青い花、中性~アルカリ性だとピンクの花。
栽培環境によって色んな花色を見せてくれるのもアジサイの魅力の一つです。

ではそのメカニズムはどうなっているのでしょうか?

アジサイの花色変化のメカニズム

アジサイの花の発色には、花に含まれるアントシアニンという色素と、土壌に含まれるアルミニウムが深く関係しています。

もともと日本の土壌にはアルミニウムが豊富に含まれています。
土壌が酸性だと水に溶けやすくなったアルミニウムが根から吸収され、アジサイが持つアントシアニンと結合。
青色を発色します。

中性~アルカリ性だとアルミニウムは溶けにくく、アジサイはアントシアニン本来の色味である赤色を発色します。

…というのが花色変化の基本メカニズムですが、実際にはもっと多くの要素が関係しています。
土壌の酸度調整だけで思う色に発色する場合もあれば、そうでない場合も多々ある、というのが現実です。

アジサイの花色変化に影響するその他の要素

品種が持つ花色

アジサイの花色とPH(酸性度)の関係

写真のアジサイは「アナベル」
花房が大きいものだと30㎝にもなる、人気の白花品種です。

このアナベルのような白花品種は、色素のアントシアニンを持っていないので土壌のPH(酸性度)に影響を受けることなく、常に白い花を付けます。
※ヤマアジサイ系の品種もPHの影響を受けにくいと言われています。

また品種元来の花色が青いものをアルカリ土壌で育てても、綺麗なピンクを発色する場合は少なく、どうしてもブルーが混ざり紫色を発色します。
逆に、元来の花色がピンクのものを酸性土壌に植えても、ピンクが混ざって紫色を発色します。

従って、元来の花色に合った土壌で育てることで、美しい青、鮮やかなピンクを発色させることが出来ます。

水分量

アジサイは地中に存在するアルミニウムをそのまま吸収することは出来ません。
水に溶け出して初めて、根から吸収します。

そのため、土壌の水分量が少ないと酸性土壌であっても綺麗な青色を発色することはできません。

土に残った肥料の成分(生理的酸度)

植物は、与えた肥料のすべての成分を吸収できる訳ではありません。
残った肥料の成分が土壌のPHに大きく影響を与えます。
これを生理的反応と言い、肥料自体のPHとは別に分類されています。
生理的酸性の肥料を続けて使っていると土壌は酸性に傾き、生理的アルカリ性の肥料だと土壌はアルカリ性に傾いていきます。

▼生理的酸性の肥料
硫安、硫酸カリ、塩化カリなど

▼生理的アルカリ性の肥料
石灰窒素、硝酸ソーダ、硝酸石灰、ようりんなど

これらの肥料を使い続けることで、土壌の酸度が変化していきます。

肥料に含まれるリン酸

土の中にリン酸が多いと、アルミニウムが吸収されにくくなります。
そのため、リン酸を多く含む肥料を使い続けると青い色は発色しにくくなってしまいます。

肥料に含まれるリン酸にも注意が必要です。

他にも花色に影響を与える要素はいくつかありますが、土壌のPH、品種元来の花色、肥料、水切れ、この3点に注意すればアジサイの花色をコントロールすることもある程度は可能だと言えます。

アジサイの花色調整

難しい話はここまでにして、具体的なアジサイの花色調整について書いてみたいと思います。

青い花をキレイに咲かせたい…!

日本の土壌は酸性土壌が多いので、多くは青い花が咲くと思われます。
青花品種の発色が悪い、最初は青かったのに徐々に赤みを帯びてきた…という場合に次の方法を試してみて下さい。

土壌を酸性に傾けます。
春先から用土にピートモスを混ぜ込んだり、土の表面に敷き詰めたりして下さい。
ピートモスには「酸度調整済み」のものと「酸度無調整」のものがありますが、この場合は「酸度無調整」のものを使用します。
酸度が調整されたものは中性になっているので、効果がありません。
表記が無い場合は店員さんに聞いてみて下さい。

肥料はリン酸の少ないものを使い、水切れに注意して管理します。

ピンクの花をキレイに咲かせたい…!

土壌を中性~アルカリ性に傾けます。

春先に消石灰や苦土石灰を株元にすき込んで下さい。
量は30~50g程度を1回です。

肥料はリン酸の多いものを使います。

※土壌の酸度を変えても元来の花色などの影響で必ずしも青、またはピンクが発色するわけではありません。

ちなみに花色調整をするためのアジサイの培養土や肥料も販売されています。
簡単に花色を調整したいのであれば、市販の商品を使うもの一つの方法ですが、庭植えにしている場合はなかなか難しいですね。

まとめ

アジサイの花色は様々な要素が影響して変化します。
上には書いていませんが、花の老化もその一つで「アナベル」は白から緑へ、「紅」は白から深紅へと花色が変化していきます。
そんな所もアジサイの魅力の一つですよね。

さてさて、我が家の裏庭のアジサイなんですが。
一昨年から無調整ピートモスをばらまいて、何とか青花を咲かせようと頑張っています。
…とは言うものの、本数が多くなかなか「敷き詰める」という事が出来ない現状で。
さらに深刻なのが水不足。
水やりはほぼ天に任せている状態で、思うようにはなりません。

それでも来年か再来年あたりには青花が咲くのではなかろうかと希望的観測。
その折には、またここに写真をアップする予定です。

-トピックス