多年草・宿根草

グラジオラス

  • 学名…Gladiolus hybridus
  • 別名…トウショウブ(唐菖蒲)、オランダショウブ(阿蘭陀菖蒲)
  • 科名…アヤメ科
  • 属名…グラジオラス属
  • 原産国…南アフリカ
  • 花色…赤、白、オレンジ、黄、紫、ピンク、青、複色
  • 草丈…50㎝~130㎝
  • 日照…日なた
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:7 to 10

グラジオラスとは

グラジオラス

グラジオラスは、アヤメ科グラジオラス属の多年草です。
グラジオラス属の植物は、アフリカ、ヨーロッパ、西アジア、マダガスカルに約260種が分布しており、その内約170種がサハラ砂漠以南のアフリカに分布しています。

現在流通する多くの品種は、南アフリカと熱帯アフリカに自生する原種約10種を元に品種改良されたものです。
グラジオラスの品種改良が始まったのは約200年前になり、現在では2000種以上の品種が作出されています。

日本へは江戸時代末期に渡来していますが、栽培されるようになったのは明治時代に再渡来してからだと言われています。

グラジオラスには夏咲きと春咲きの品種がありますが、単に「グラジオラス」というと一般的に夏咲き品種を差します。
春咲き品種は「春咲きグラジオラス」「早咲きグラジオラス」と呼ばれて区別されます。
ここでは夏咲き品種の育て方について紹介しています。


グラジオラスの花期は6月~10月。
※開花は球根を植える時期によってコントロールすることが可能です。

花期になると、伸びた茎の上部に花序を出し、多数の花を穂状に咲かせます。
多くの品種では花は花序の片側に付き、下から上へと咲き進みます。

▼グラジオラスの花序

グラジオラスの花序

花は漏斗状で花径5~15㎝程度、内花被片(ないかひへん)3枚と外花被片(がいかひへん)3枚を持ちます。

※花被(かひ)…花において雄しべと雌しべの外側にある葉的な要素。
通常内外2列になっており、外側にある外花被(がいかひ)と、内側にある内花被(ないかひ)からなる。
外花被は「萼」、内花被は「花冠」と呼ばれますが、グラジオラスのように不明瞭なものは外花被・内花被と呼びます。

▼グラジオラスの内花被片と外花被片

グラジオラスの内花被片と外花被片

雄しべは3個、雌しべは1個。
グラジオラスには雄性先熟の性質があり、最初に雄しべが成熟し、その後雌しべが成熟します。
未熟な雌しべは上を向いており、雄しべが成熟した後に垂れ下がって柱頭が3裂します。

▼グラジオラスの雄しべと雌しべ

グラジオラスの雄しべと雌しべ

花色は赤、白、ピンク、オレンジ、紫、黄色、複色など。

▼様々な花色のグラジオラス

様々な花色のグラジオラス
白いグラジオラス
紫色のグラジオラス
赤いグラジオラス

葉は茎の下部に1~9個付き、葉身は剣状です。
グラジオラスの名前は、ラテン語で剣を意味する「グラディウス:gladius」に由来しています。

▼グラジオラスの葉の様子

グラジオラスの葉の様子

シャープな葉と真っ直ぐに伸びる華やかな花序は、花壇に縦のラインを演出します。
夏花壇を代表する花の一つです。

▼たくさんの花を咲かせるグラジオラス

たくさんの花を咲かせるグラジオラス

育てやすい性質ですが寒さに弱く、連作障害も出やすいので、基本的には冬に球根を掘り上げて春に植え付ける、というサイクルを繰り返します。
暖地の場合は数年は植えっ放しでも花を咲かせますが、連作障害が出やすいので注意が必要です。
庭植えの場合でも数年に一度は必ず植え替えを行って下さい。

グラジオラスの育て方

グラジオラスの育て方

栽培環境

日当たりの良い場所が適しています。
日照時間が少ないと花が付きにくくなります。
少なくとも半日程度は日が当たる場所に植えて下さい。

多湿な環境が続くと球根が腐ってしまう事があります。
水はけの悪い場所に植える場合は、土壌を改良したり、盛り土で高植えにするなどして水はけの良い環境を作って下さい。

草丈が高くなるので、強い風の当たる場所は適していません。
強い風の当たらない場所に植えて下さい。

冬越し(球根を掘り上げない場合)

暖地であれば球根を掘り上げないで冬越しすることも可能です。
葉が枯れて来たら地際で葉を切り取り、凍結防止のため、球根の上に盛り土(10㎝程度)をします。
中国地方の筆者宅(最低気温-3℃、積雪無し)ではこの方法で冬越ししています。

掘り上げなかった場合は、6月~7月に開花を迎えます。

水やり

鉢植えの場合は、土の表面が乾いたらたっぷりと。
乾燥気味な環境を好むので、水のやりすぎには注意して下さい。

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。

肥料

庭植えの場合は、元肥として腐葉土や緩効性化成肥料を用土に混ぜ込みます。
追肥は、花後のお礼肥として同じく緩効性化成肥料を置き肥して下さい。

鉢植えの場合は、元肥の他、葉が茂っている間は、月に1回程度、緩効性化成肥料の置き肥をして下さい。

植え付け、植え替え

植え付け

適期は3月下旬~7月です。
霜には弱いので、霜の心配が無くなってから植え付けるようにして下さい。

庭植えの場合は、あらかじめ用土に苦土石灰を混ぜて土壌を中和しておきます。
さらに腐葉土や堆肥を混ぜて、水はけの良い環境を作って下さい。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの配合土などを使います。

球根の間は10㎝以上空けて、球根の高さの2倍程度の深さに植えます。
草丈が10~20㎝程度に育ったら、株元に盛り土をしたり、支柱を立てたりして風によって倒れてしまうのを防ぎます。

植え付けてから花が咲くまでに80~120日かかります。
植え付け時期をずらすことで、開花時期を調節できます。

植え替え

鉢植えの場合は、秋に球根を掘り上げて春に新しい土に植え付けます。
庭植えの場合も、基本的には毎年、少なくとも数年に一度は新しい場所に植え替えを行って下さい。

球根の掘り上げ

暖地の場合でも、連作障害を予防するために数年に一度は必ず球根を掘り上げて下さい。

秋になって葉が黄色くなり始めたら球根を傷付けないように掘り上げます。
グラジオラスの球根には木子(きご)と呼ばれる球根の赤ちゃんが沢山付いています。
葉に少し緑が残っている時期に掘り上げることで、木子がバラバラにならずに済みます。

掘り上げた球根は日陰でよく乾燥させます(1カ月程度)。
完全に乾いたら葉茎を切り取って下さい。
春に植えた古い球根は処分して、新しい球根と木子を取り外します。
ネットや段ボールに入れて春まで凍らない場所で保管して下さい。

増やし方(分球)

分球で増やすことが出来ます。

分球

新しい球根の回りに出来た木子を取り外して、春に植え付けて下さい。
植え付けの深さは、木子の高さの2倍程度です。

花が咲くのは、木子が球根として育って十分に充実してからになるので、早くとも翌年以降です。
開花する株と同じように管理して、球根を充実させて下さい。
日照時間が足りないとなかなか球根は充実しないので、日当たりの良い場所で管理することが大切です。

病気・害虫

ハダニ、ナメクジなど

発生したら駆除して下さい。

フザリウム腐敗病、首腐れ病

土中にいる菌から感染して、球根が腐り、枯れてしまいます。
発病したら可哀想ですが処分するしかありません。

多湿な環境や、連作障害から発生しやすくなります。

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