多年草・宿根草

ミヤコワスレ

  • 学名…Aster savatieri Makino ‘Miyakowasure’
  • 和名…ミヤマヨメナ(深山嫁菜)、ミヤコワスレ(都忘れ)
  • 科名…キク科
  • 属名…シオン属
  • 原産国…日本
  • 花色…濃紫、薄紫、白、ピンク、青
  • 草丈…20㎝~30㎝
  • 日照…半日蔭
  • 難易度…星
  • USDA Hardiness Zone:Not Applicable

ミヤコワスレとは

ミヤコワスレ

ミヤコワスレは、キク科シオン属の多年草です。
日本に自生するミヤマヨメナの品種で、古くから栽培されています。

ミヤマヨメナは日本固有種の野菊です。
通常野菊は秋に開花するのが一般的ですが、ミヤマヨメナは春から初夏にかけて花を咲かせます。

ミヤマヨメナの品種改良は江戸時代から行われていましたが、本格的な改良が始まったのは昭和以降です。
現在では、濃紫の「江戸紫」、薄紫の「青空」「瀬戸の小波」、ピンクの「桃山」「浜乙女」、白の「瀬戸の白雪」などの様々な園芸品種が「ミヤコワスレ」として流通しています。


ミヤコワスレの花期は4月~6月。
花期になると、細く伸びた茎の頂部に、花径3~4㎝程度の頭花(トウカ)を咲かせます。

頭花(トウカ)…主にキク科の植物に見られる花序の形で、頭状花(トウジョウカ)とも呼ばれます。
花序は一つの花のように見えますが、2種類の小さな花で構成されています。
中心部分の管状花(カンジョウカ)と、周辺の舌状花(ゼツジョウカ)です。

ミヤコワスレの頭花は、舌状花の花冠が原種のミヤマヨメナに比べるとやや幅広く、鮮やかな色をしています。

▼ミヤコワスレの頭花

ミヤコワスレの頭花

舌状花は、濃紫、薄紫、白、ピンク、青色などの品種があります。
管状花は黄色。

▼ミヤコワスレの舌状花と管状花

ミヤコワスレの舌状花と管状花

管状花は筒状で先が5裂しており、外側から中心へと咲き進みます。

▼ミヤコワスレの管状花

ミヤコワスレの管状花

▼様々な花色のミヤコワスレ

紫色のミヤコワスレ
ピンク色のミヤコワスレ
白いミヤコワスレ

葉は互生し、卵状楕円形~長楕円形で縁に荒い鋸歯があります。

▼ミヤコワスレの葉の様子

ミヤコワスレのの葉の様子

茎はよく分枝して花を咲かせながら草丈20~30㎝程度に成長します。
濃緑の葉色と清楚な花のコントラストが美しい植物です。

▼たくさんの花を咲かせるミヤコワスレ

たくさんの花を咲かせるミヤコワスレ

夏の暑さにやや弱い性質ですが、環境が合えば育てやすく手がかかりません。
素朴な花に派手さはありませんが、優しい和の雰囲気が魅力です。

ミヤコワスレの名前の由来

ミヤコワスレの名前の由来には諸説あります。

鎌倉時代に承久の乱で佐渡に流された順徳天皇が、この花の可憐さを見て都への思いを忘れることが出来た、という話から「都忘れ」と名付けられたという説。

原種のミヤマヨメナが江戸時代に入って品種改良され、都を忘れるほど美しいという意味で「ミヤコワスレ」と改名された説。

いずれにしろ、都を忘れるほど美しい花という意味に変わりはありません。

ミヤマヨメナ(Aster savatieri)

ミヤマヨメナ

ミヤコワスレの原種です。
日本固有種の野菊で、分布域は本州の箱根以南の地域、四国、九州にあり、山地の木陰などに自生しています。

花期は4月~6月。
頭花は直径3~4㎝、舌状花は淡青紫色~白色、管状花は黄色です。
ミヤコワスレより舌状花の幅が狭く、間に隙間が見られます。

草丈20~50㎝に成長します。

ミヤコワスレの仲間

シオン属はかつて600種の植物を含む大きな属でしたが遺伝子解析が進み、多くの種が他属に移されています。
ここではシオン属および旧シオン属の植物を仲間として紹介しています。

ミヤコワスレの育て方

ミヤコワスレの育て方

栽培環境

水はけの良い、半日蔭の場所が適しています。
庭植えの場合は、午後から日陰になる場所や、落葉樹の下などに植えて下さい。

冬越し、夏越し

冬越し

ロゼット状の葉を出して冬越しします。
耐寒性はかなり高く、余程の寒冷地でなければ防寒対策無しで冬越し可能です。

夏越し

暑さには弱いので、鉢植えの場合は風通しの良い半日蔭の場所で管理して下さい。
強い西日が当たるような場所では日よけを設置します。

水やり

庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いたらたっぷりと。

肥料

元肥として、用土に緩効性化成肥料を混ぜ込みます。
追肥は3月~6月の間に1~2回程度、緩効性化成肥料を株元に置き肥します。

植え付け、植え替え

適期は5月~6月、9月~10月です。

植え付け

弱酸性の土壌を好みます。

庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作って下さい。
さらに元肥として緩効性化成肥料を混ぜ込んでおきます。

鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)6・腐葉土3・ピートモス(酸度調整済)1などの配合土に緩効性化成肥料を混ぜ込んで土を作ります。

植え替え

鉢植えの場合は、根詰まりしやすいので、鉢底から根が伸びているようなら植え替えを行います。

庭植えの場合は、数年はそのままで大丈夫ですが、年数が経つと徐々に生育が悪くなってきます。
放っておくと知らない間に無くなってしまったり、強い品種だけが残る…ということもあるので、数年に一度は植え替えを行って下さい。

切り戻し

花が一通り終わったら、地際で切り戻します。
切り戻した茎は、挿し木に利用することが出来ます。

増やし方(株分け、挿し木)

株分け、挿し木(挿し芽)で増やすことが出来ます。

株分け

適期は5~6月、9~10月です。
掘り上げた株を切り分けて、植え付けて下さい。

挿し木(挿し芽)

適期は4月~6月です。

切り戻した茎も挿し穂として使うことが出来ます。
しっかりした茎を選んで、2節ほどの長さで切り取り挿し穂にします。
花がらと下葉を取り除いて一晩水揚げをしてから、挿し木用土に挿して下さい。
水を切らさないように明るい日陰で管理して発根を待ちます。

病気・害虫

アブラムシ、ナメクジ、ヨトウムシの被害が時々発生します。
見付け次第、駆除して下さい。

-多年草・宿根草