和名…モクビャッコウ(木百紅、木百香)
科名…キク科
属名…モクビャッコウ属
原産国…中国、フィリピン、台湾、日本
花色…黄色
樹高…30㎝~50㎝
日照…日なた
難易度…
USDA Hardiness Zone:Not Applicable
モクビャッコウとは
モクビャッコウは、中国、フィリピン、台湾、日本に分布するキク科モクビャッコウ属の常緑性低木です。
日本では鹿児島県のトカラ列島以南から琉球列島にかけて分布しており、海岸沿いの岩場、隆起したサンゴ礁の上などで自生を見ることが出来ます。
観賞用として栽培するための盗掘から自生種は激減しており、環境省レッドデータで絶滅危惧Ⅱ類(VU)に指定されています。
モクビャッコウは、シルバーリーフが美しい常緑性小低木です。
葉はヘラ状、先端が深く2~4裂することもあり、枝の上部に集まって互生します。
葉には細かい毛が密生しているため、葉色は美しい灰白色となっています。
葉には独特の香りがあります。
枝はよく分枝し、こんもりと茂って樹高30~50㎝程度に成長します。
▼モクビャッコウの葉の様子
主に美しい葉を観賞するモクビャッコウですが、冬になると花を咲かせます。
モクビャッコウの花期は12月~3月。
花期になると、上部の枝の葉の付け根から短い花柄を出し、小さな黄色い頭状花を咲かせます。
頭状花は径5㎜程度の球状で、筒状花のみで形成されており、キク科の植物によく見られる花弁のような舌状花はありません。
▼モクビャッコウの花の様子
花は小さく観賞価値の高いものではありませんが、たくさんの花をつけた株の様子は愛らしいものです。
▼多くの花を咲かせたモクビャッコウ
耐寒性は高くありませんが、基本的には丈夫な性質です。
株は自然にこんもりとまとまり、病害虫の発生もほとんどありません。
寒さにだけ気を付ければ育てやすい植物です。
モクビャッコウの育て方
栽培環境
日当たりが良く、水はけの良い場所が適しています。
自生地は海岸沿いの岩場などです。
日当たりや水はけが悪いと美しい葉色を発色しなかったり、生育が悪くなるので注意して下さい。
冬越し
耐寒温度は0℃以上で、強い霜に当たると葉が傷んでしまいます。
暖地の場合は日当たりの良い軒下などで冬越し可能ですが、その他の地域では室内に取り込んで下さい。
室内ではよく日の当たる場所で育てて下さい。
冬越し中は乾燥気味に管理します。
※南関東以南の地域であれば戸外で冬越しをしている例が多くあります。
ただしその場合も強い霜に当たらないよう、注意が必要です。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土の表面が乾いてからたっぷりと水やりをします。
乾燥に強い性質で、過湿な環境が続くと根腐れを起こしやすくなるので注意して下さい。
肥料
庭植え、鉢植え共に、生育期の4月~7月の間に、緩効性化成肥料を置き肥するか、液体肥料を定期的に施します。
秋以降に肥料を施すと冬場の葉色が悪くなるので注意して下さい。
植え付け、植え替え
適期は春の3月下旬~5月です。
植え付け
自生地は隆起したサンゴ礁など、カルシウムを多く含む岩場です。
庭植えの場合は、植え場所にあらかじめ石灰をまいておくと植え付け後の生育がよくなります。
庭植えの場合は、用土に腐葉土を混ぜ込んで水はけの良い環境を作っておきます。
ジメジメした場所では上手く育たないので、一段高くなった花壇や傾斜地に植えたり、盛り土をするなどして工夫して下さい。
鉢植えの場合は、赤玉土7・腐葉土3の配合土に川砂を1割ほど混ぜて、水はけの良い土を作ります。
植え替え
根詰まりを起こすと生育が悪くなったり、根腐れを起こしやすくなるので、鉢植えの場合は2年に一度、植え替えを行います。
一回り大きな鉢に新しい用土で植え替えて下さい。
剪定、切り戻し
花が終わって枯れこんだ枝があるようなら切り取って下さい。
大きく樹形が乱れている場合は、春に出る新芽が伸び始める頃に好みの高さで刈り込みます。
増やし方(挿し木)
挿し木で増やすことが出来ます。
挿し木
適期は5月中旬~7月上旬、9月中旬~10月中旬です。
モクビャッコウの枝は花が付くと成長が止まります。
挿し穂には花の付いていない枝を使って下さい。
枝の先端から10㎝程度の長さに切り取って挿し穂にします。
下部の葉を取り除いて水揚げをしたら、挿し木用土に挿して下さい。
明るい日陰で水を切らさないように管理して発根を待ちます。
病気・害虫
病害虫の発生はほとんどありません。