- 学名…Liriope muscari (Decne.) L.H.Bailey
- 和名…ヤブラン(藪蘭)
- 別名…サマームスカリ、リリオペ
- 科名…キジカクシ科
- 属名…ヤブラン属
- 原産国…日本、東アジア
- 花色…紫、白
- 草丈…20㎝~40㎝
- 日照…日なた~日陰
- 難易度…
- USDA Hardiness Zone:5 to 10
ヤブランとは
ヤブランは、日本、中国、台湾など東アジアに分布するキジカクシ科ヤブラン属の常緑多年草です。
日本では本州、四国、九州、沖縄に分布しており、山野や林床に自生しています。
「ラン」と名前に付きますがランの仲間ではありりません。
「ヤブラン」の名前は、藪などに自生し葉がランに似ていることに由来しています。
ヤブランの花期は8月~10月。
花期になると、葉の間から花茎を伸ばして花序を出し、小さな藤色の花を多数咲かせます。
花茎は長さ12~100㎝、花序は長さ8~45㎝の総状です。
花序には小さな花が3~8個ずつ束生します。
▼ヤブランの花序
花は径7㎜前後大きさで、6個の花被片があります。
外側3個の外花被片は、内花被片3個よりもやや細く小さくなっています。
▼ヤブランの花の花被片の様子
雄しべは6個、雌しべは1個。
雌しべの柱頭は小さく、わずかに3裂しています。
▼ヤブランの花の雄しべと雌しべ
基本種の花色は淡紫色ですが、白い花を咲かせる品種もあります。
ヤブランの果実は蒴果ですが、早い段階で破れて脱落し種子が残ります。
種子は6~7㎜の球形で、光沢のある黒紫色に熟します。
▼ヤブランの種子
葉は根生し、長さ25~65㎝、幅0.8~2㎝の線形です。
▼ヤブランの葉の様子
▼ヤブランの株の様子
日本に自生するだけあって、暑さ寒さにも強く強健な性質です。
日なたから日陰の場所まで幅広い環境に適応し、病害虫の発生もほとんどありません。
乾燥にも強く、手がかからない育てやすい植物です。
ヤブランの主な品種と近縁種
斑入りヤブラン(Liriope muscari ‘Variegata’)
葉の縁に白い覆輪が入る品種です。
緑葉の品種よりも広く普及しています。
コヤブラン(Liriope spicata)
日本、朝鮮半島、台湾、中国に分布するヤブランの近縁種です。
日本では関東地方以西の、山地の林内などに自生しています。
ヤブランと比べると葉が細くやや短いのが特徴です。
葉は長さ25~60㎝、幅は4~8㎜の線形です。
花は淡紫色でヤブランほど密に付きません。
ヤブラン同様に斑入り品種や花色の違う品種などが流通しています。
ヒメヤブラン(Liriope minor)
日本、台湾、中国に分布するヤブランの近縁種です。
日本では全土に分布しており、日当たりの良い草地などに自生しています。
コヤブランよりさらに小型で、葉は長さ7~20㎝、幅2~3㎜の線形です。
花茎は6~15㎝の長さになります。
花色が薄く、花もあまり密に付きません。
緑葉の品種が稀に流通することがあります。
ヤブランの育て方
栽培環境
半日蔭の場所が最も適していますが、日なたから日陰まで幅広い環境に適応します。
土質も特に選びません。
乾燥にも強いので、他の植物の植栽が難しい場所などでも元気に育ちます。
日陰でも十分に育ちますが、葉がやや徒長し花数が少なくなります。
一日中陽が当たる場所では、株がしまった感じになり花数が多くなりますが、直射日光で葉焼けをすることがあります。
冬越し
関東以西の地域であれば、そのまま対策無しで冬越し可能です。
強い霜で葉が傷むことがありますが枯れることはありません。
鉢植えの場合は、軒下などの霜を避けられる場所に移動すれば、葉が傷むのを防ぐことが出来ます。
水やり
庭植えの場合は、ほぼ降雨のみで大丈夫です。
鉢植えの場合は、用土が乾いたらたっぷりと。
根が多肉質になっており、かなりの乾燥に耐えることが出来ます。
肥料
庭植えの場合は、元肥として腐葉土や堆肥などを用土に混ぜ込んでおけば、追肥の必要はほとんどありません。
鉢植えの場合は、春と秋に緩効性化成肥料を置き肥します。
植え付け、植え替え
適期は3月~6月、9月~11月です。
植え付け
庭植えの場合は、用土に腐葉土や堆肥などを混ぜ込んでおくと、植え付け後の生育が良くなります。
鉢植えの場合は、市販の草花用培養土を使うか、赤玉土(小粒)7・腐葉土3などの一般的な配合土を使います。
特に土質を選ばないので、細かく気にする必要はありません。
植え替え
鉢植えの場合は、根詰まりや用土が古くなることで生育が悪くなるので、2~3年を目安に植え替えを行います。
根鉢を軽く崩して一回り大きな鉢に植え替えるか、株分けを行います。
庭植えの場合は、混み合っているようなら株分けを兼ねて植え替えを行って下さい。
増やし方(株分け)
株分けで増やすことが出来ます。
株分け
適期は3月~6月、9月~11月です。
植え替えの時に株分けをして植え付けます。
掘り上げた株を、1株に3芽~5芽が付くように手で裂いて株分けして下さい。
病気、害虫
病害虫の発生はほとんどありません。